山本さんとのテンポの早い掛け合いはスポーツみたいに体力を使います(笑)(磯村さん)

俳優の磯村勇斗さん
スーツ¥467,500・ベスト¥170,500・シャツ¥99,000・ネクタイ¥30,800・靴¥159,500(グッチ クライアントサービス)
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磯村勇斗さん
俳優
(いそむら・はやと)1992年、静岡県出身。2014年にドラマ『若者たち2014』(CX)で俳優デビュー。連続テレビ小説『「ひよっこ』(17年/NHK)、『きのう何食べた?』(19年/TX)、ドラマ25『サ道』(19年/TX)、大河ドラマ『青天を衝け』(21年/NHK)など数々の話題作に出演。2022年には映画『ヤクザと家族 The Family』(21年/スターサンズ)、『劇場版 きのう何食べた?』(21年/東宝)で第45回アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。20年に配信された人気コンテンツ『サウナーーーズ』(WOWOW)はシリーズ4作目に突入。2023年は第28期 燦々ぬまづ大使に就任。市制100周年記念の公演を沼津演劇研究所の恩師らと上演した。この秋は人気ドラマ『きのう何食べた? season2』(TX)がスタートしたほか、映画『月』(スターサンズ)、『正欲』(東宝)など出演作が続々公開。

「よろしくお願いします!」という挨拶とともに大きな歩幅で足早に撮影スタジオ入りした磯村さん。筋肉を備えたモデル体型でスーツを着こなし、カメラの前で瞬時にまとう空気を塗り変えながらフォトセッションを展開。インタビューでは一転、真っ白なTシャツ姿で笑顔を見せてくれたのが印象的でした。

――まずは、『きのう何食べた? season2』が決まったときの感想から教えてください。

「実は劇場版の撮影のとき、すでに“やれたらいいね”みたいな話は現場でも出ていたんです。だからクランクインのときには純粋に、またみなさんと一緒に4人でお芝居ができることがすごく楽しみな気持ちになりました。今作では西島秀俊さんと内野聖陽さん演じる主役のふたりが、アラフィフ世代に突入したことが物語の大きなポイントになっていきます。性別を越えた人間同士の深い愛情であったり、お互いにしかわからない絆であったり、見ていてどこか心あたたまる優しい世界観が、ほろ苦くもほっこり展開されていくのです。僕が演じるジルベールこと井上航も、恋人の大ちゃん(山本耕史)をさらに振り回していくのですが、大ちゃんは航の小悪魔的なわがままを優しく受け止めてくれていて、ふたりのわちゃわちゃ感も変わらず楽しんでいただけたらと思っています」

俳優の磯村勇斗さん
クランクインのときには純粋に、また4人でお芝居ができることがすごく楽しみだった(磯村さん)

――久しぶりの“何食べ”の撮影現場で、何か印象的なエピソードはありましたか?

「思えば最初のseason1のときは本当に、内野さんや山本さんからアドバイスをいただいて、みなさんについていくのに必死だったことが思い出されます。けれども今回のseason2では、自分も一緒に役づくりのディスカッションに参加したり、提案をさせていただくことができたんですね。先輩方がすごく受け入れてくださって、距離感が縮まったのを感じました。

また、今回はシリーズが始まって5年目にして初めて、今までありそうでなかった、西島さん演じる筧さんと航がふたりきりで話すシーンがあったんですよ。僕も最初に台本を読んだときにはびっくりしました。現場でも西島さんと「僕たちふたりで芝居するの初めてですよね!」「そうだな、不思議な感じだよね」みたいに、お互いちょっとテレみたいなものがあったんです。ジルベールは基本的に筧さんのつくる料理に対して、心では“美味しい”と思っているのに、その裏返しで太るとか油っぽいとか、めちゃくちゃトゲのある表現をしてしまうヤツなんですよね。その裏腹な感情を表現するのに毎回温度感が難しいなと、現場でいつも思いながらやっているんです。

俳優の磯村勇斗さん
裏腹な感情を表現するのに毎回、温度感が難しい(磯村さん)

今回のふたりのシーンでも筧さんと航でお弁当をつつくくだりがあって、筧さんが割り箸を用意してくださっていたんですよ。でも、“航の性格だったら、割り箸は自分で割らないで相手に割らせるよな”と、本番中に急に思いついて「割って」と声をかけて筧さんにお箸を割ってもらいました。そんな細かいアドリブみたいなことも多少しながらふたりで楽しんでいる部分があるので、ぜひ注目してみてください(笑)」

――恋人役である山本さんとのシーンでは、どのようなことを大切にされていますか?

「航はわがままであることが大切なキャラだと思っているので、“とにかく相手にやらせる”ことを意識していました。筧さんとの割り箸のくだりもそうですけれど、“ジルベールらしいめんどうくささをひとつ足していく”みたいな演技を随所に入れていけたらと。特に山本さんとは “その場で突発的に生まれる勢い”も大切にしていたので、どんなに予想外のアドリブがこようが、むしろそれが毎回楽しみでしたね。1日中ずっと航家の撮影があったりする日は、山本さんとの掛け合いが朝から夜まで続くわけです。アスリート並みに速いテンポの掛け合いのラリーが続く感じで、運動していないのに運動しているみたいな感覚になるんですよ。もはや後半はナチュラルハイの域に突入して(笑)、これはほんとに面白いなと思いました。

ほかに現場で大切にしていることといえば、LGBTQ+に属するキャラクターを演じるにあたって、責任感をしっかりもつということは忘れないように心がけていました。どんな役柄でも同じですが、演じる人物に対して敬意をもつことが最も大切かなと思っています。近年、LGBTQ+が登場する作品も増えていますが、僕たちはしっかり考えてつくっているんだということを現場で共有しながら1シーン1シーン大切に取り組んでいるんです」

俳優の磯村勇斗さん
LGBTQ+に属するキャラクターを演じるにあたって、責任感をしっかりもつということは忘れないように心がけていました(磯村さん)

――チームのスタンスも素敵ですね。最後にドラマの見どころを教えてください。

「season2はこれまでよりも、よりいっそう家族や身内のことが描かれる部分が増えてきます。これまでも航が筧さんたちの前でゲイをとりまく状況に対してちょっと強いことを言ってみたり、諦めみたいなことをポロッと吐露するシーンがあったと思うのですけれども、なぜ航がそんなふうに言ったのかの背景が少し見えてきたりします。そこは見ていただける方にも深くごらんいただけるんじゃないかなと思っています。航は、やればやるほど演じていて愛おしくなってくるタイプの役どころ。 演じている僕も“おいしいけどおいしくない”みたいな彼の裏腹さがようやくかわいく思えてきたところなので、ぜひご期待ください」

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彼の裏腹さがようやくかわいく思えてきたところです(磯村さん)

■『きのう何食べた? season2』テレビ東京系にて毎週金曜深夜24時12分放送中!

「きのう何食べた? season2」
(C)「きのう何食べた? season2」製作委員会 (C)よしながふみ/講談社
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