「小賢しい」は「生意気」や「ずる賢い」といったネガティブなニュアンスを含んだ言葉です。「ちょっと賢い」だと勘違いして使用すると、相手に不快感を与えてしまいますから要注意です。今回は「小賢しい」の詳しい意味や「小賢しい人」の特徴、言い換え表現を解説します。

【目次】

少し賢いといういみではありません。
少し賢いという意味ではありません。

【「小賢しい」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「小賢しい」は「こざかしい」と読みます。

■意味

「小賢しい」にはふたつの意味があります。ひとつは、「利口ぶっていて差し出がましい。生意気である」という意味。「小賢しいことを言うのは止めろ」のように使われます。ふたつ目は、「何かにつけて要領よく振る舞っている。悪賢くて抜け目がない」という意味で、「彼は小賢しく立ち回るのがうまいよね」のように使われます。どちらも決して好意的な表現ではなく、ましてほめ言葉ではありません。

「小賢しい」は接頭語の「小(こ)」と「賢(さか)しい」からなる言葉です。接頭語「こ」は、名詞や用言などに付いて、「軽んじたり、ややばかにしたりするような意を表す」働きがあります。「こせがれ」や「小利口」なども同じ用法です。「賢しい」には「才知がすぐれ判断力があるさま。賢明である」「気丈である」といった意味のほか、「才知のあるように見せかけるさま」という意味ももっています。つまり「小賢しい」は本来の意味での「賢明さや才知、優れた判断力」には及ばず、あくまで「見せかけ」の「賢さ」であることがわかります。


【「小賢しい人」といわれる人の「特徴」】

では「小賢しい人」の特徴をもう少し具体的に見ていきましょう。

■頭の回転が早く要領がいい

■なんとなく生意気

■差し出がましい

■上司や目上の人に取り入るのがうまい

■計算高い

■相手によって態度を変えるマウンティング気質である


【「あざとい」との違いは?】

「あざとい」は「やり方があくどい。図々しく抜け目がない」や「小利口である。思慮が浅い」といった意味があります。「小利口」は「目先のことによく気が付き、抜け目がない様子」を表す言葉ですから、ここは「小賢しい」と意味が共通していますね。

「あざとい」と「小賢しい」の違いは、「あざとい」には「子どもっぽい」という意味があることです。「あざと可愛い」という言葉がありますよね。これは、無垢な子どもを思わせる、ちょっとした上目遣いや首を傾げるようなポーズ、会話の際に相手の目をじっと見つめる仕草などを指します。そして、「この人、自分の可愛らしさを十分に知ったうえでアピールしているな」とわかっているにもかかわらず、「可愛い」と感じてしまうことを「あざと可愛い」と表現するのです。ある意味、計算され、演出された子どもっぽさや可愛らしさではありますが、見る側が結果的に「可愛い」と認めている場合は、ポジティブなニュアンスでも使われます。

とはいえ、「小賢しい」も「あざとい」も、基本的にはほめ言葉ではなく、使った相手に不快感を与えてしまう可能性が高いため、使用には配慮が必要です。


【「小賢しい」を「ほめ言葉」にするには?「類語」「言い換え表現」】

■ポジティブな意味での「類語」「言い換え表現」

・頭の回転が速い

・気が利く

・気配り上手

・コミュニケーション能力が高い

・物怖じしない

■ネガティブな意味での「類語」「言い換え表現」

・生意気

・小利口

・腹黒い

・狡猾

・ずる賢(がしこ)い

・悪賢(わるがしこ)い

・おこがましい
「おこがましい」は「身の程をわきまえない。差し出がましい。生意気」といった意味の言葉です。

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あなたの周囲に「小賢しい人」はいますか?「小賢しい人」は少々自分勝手で要領よく立ち回るため、ときに「イラッ」とさせられる存在ですよね。とはいえ、頭の回転がよいことは確かですから、上手に頼って、能力をフルに発揮してもらいましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) :