平安神宮にほど近い、京都の二条通り沿いに建つ細見美術館。2018年の今年、開館20周年を迎えたこの美術館には、あの若冲や琳派の絵師たちによる作品など、日本美術における傑作の数々がそろいます。なかでも、近年再び注目を集めている江戸琳派の酒井抱一(ほういつ)や鈴木其一(きいつ)の代表作を所蔵していることも見逃せないポイント。開館時にはナビゲーターを務めたという、美術史家の山下裕二さんによる解説とともに、その唯一無二の魅力をご紹介していきます。

山下裕二さんが語る、京都「細見美術館」の魅力

平安神宮にほど近い、美術館が集まる町・岡崎の二条通り沿いに建つ。建築家・大江匡氏の設計によるキューブ型の和モダンな外観が目を引く。

2018年の今年、開館20周年を迎えた細見美術館。思い起こせば開館時、テレビの美術番組で取り上げられ、私がナビゲーターとしてご案内したものです。館長の先代が玉三郎さんにいただいたという素晴らしい着物で登場して…と、思い出話はさておき、ここは、実業家であり、日本美術コレクターである細見家三代にわたる素晴らしいコレクションを誇る美術館。なかでも近年ブームとなっている伊藤若冲に関しては、積極的に他館で公開して、その知名度を上げることに大いに尽力しました。

細見美術館といえば若冲!貴重な初期の名品も

『雪中雄鶏図』伊藤若冲筆

当初は古代中世の仏教美術中心だったコレクションですが、細美家の二代目・古香庵が若冲と出会い江戸絵画に開眼。以後、細見美術館といえば若冲、琳派の美術館として知られるようになったのです。この作品は、若冲が絵師専業になる前の年代の重要な作品。

江戸琳派にもいち早く注目。彼らの代表作もそろいます

左から/『白蓮図』酒井抱一筆、『歳首の図』鈴木其一筆

また、ここ数年で再び注目の高まっている江戸琳派の酒井抱一(ほういつ)や鈴木其一(きいつ)といった絵師にも、細美美術館は早くから注目していました。

大きく開いていて、今にも散りそうな蓮の花。その一方で、画面左下の葉の向こうには若い芽が。そして、終わりゆく命と芽吹き…。京都で生まれた琳派を、江戸で開花させた抱一の作品のなかでも、『白蓮図』は最も上品な名画。そして、抱一の弟子で、晩年はエキセントリックな作品も描いた其一。表装まで絵で描いた「描表装」というだまし絵のような手法も好みました。実際に見てみると、その画力とセンスに驚嘆。今後、注目必至の絵師のひとりです。

彼らの代表作があるという点でも、ぜひ訪れてほしい美術館だといえる細美美術館。日本画の傑作たちに出合うべく、早速、京都旅行の計画を立ててみてはいかがでしょうか。

山下 裕二さん
美術史家、明治学院大学教授
(やました ゆうじ)『週刊ニッポンの国宝100』(小学館)の監修も務める。

問い合わせ先

  • 細見美術館
  • 開館時間/10:00〜18:00(入館は17:30まで)
  • 休館日/月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、展示替え期間、年末年始
    TEL:075-752-5555 
  • 住所/京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3

EDIT&WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
RECONSTRUCT :
難波寛彦
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