【目次】

善福寺ってどこにあるの?「場所」「最寄り駅」「治安」

「場所」、新宿駅までの距離は?

善福寺公園は、春には桜、秋には紅葉がきれいな場所だ。
春には桜、秋には紅葉が美しい善福寺公園。公園内にある善福寺池からは善福寺川が流れる。

東京都杉並区善福寺があるのは、杉並区の北西部。善福寺3丁目にある「善福寺公園」を中心に一戸建て住宅が建ち並び、高級住宅街となっています。ローカルな雰囲気が色濃く、若い世代の住みたい街としても人気の荻窪と吉祥寺の狭間で、北部から西部にかけては練馬区に、一部は武蔵野市に隣接。東部には新宿区から山梨県甲府を結ぶ青梅街道が通り、南西側には「東京女子大学」があります。

エリアの中心ともいえる「善福寺公園」からターミナル駅の新宿駅までの距離は、車で30分程度。バスと電車を利用する場合は、西荻窪駅を利用して30分程度です。

善福寺の「最寄り駅」

西荻窪駅南口は商店街が広がりアットホームな雰囲気。駅前には奈良県のマスコットキャラクター「せんとくん」でおなじみの彫刻家・籔内佐斗司氏の「花の童子」像がある。
西荻窪駅南口は商店街が広がりアットホームな雰囲気。駅前には奈良県のマスコットキャラクター「せんとくん」でおなじみの彫刻家・籔内佐斗司氏の「花の童子」像がある。

善福寺の最寄り駅はJR中央・総武線の通る新宿区の「西荻窪駅」。そして、西武新宿線の「上井草駅」と「上石神井駅」です。 JR中央線快速で西荻窪駅から「新宿駅」までは12分程度、「東京駅」までは約30分。乗り換えなしで到着できます。JR総武線のホームには東京メトロ東西線も乗り入れをしており、「日本橋駅」までも30分程度です。JR中央線は各駅停車と快速が運行し、移動も楽にできます。土日祝は快速が停まりませんが、新宿駅から西荻窪駅間であれば各駅停車と快速の時間差は5分程度なので、気にするほどでもないといえそう。また、西荻窪駅のお隣にある「荻窪駅」は東京メトロ丸の内線の始発駅です。丸の内線は「赤坂見附駅」や「銀座駅」などを通っています。

上石神井駅からJR山手線に乗り換えができる高田馬場駅までは20分程度。
上石神井駅からJR山手線に乗り換えができる高田馬場駅までは16分程度。

西武新宿線は、新宿区の「西武新宿駅」と埼玉県の「本川越駅」を結ぶ電車です。上石神井駅から西武新宿駅までは電車で16分程度。「高田馬場駅」でJR山手線に乗り換えができます。しかし、西荻窪駅も上石神井駅も、善福寺エリアから少し距離のある場所にあります。例えば、善福寺公園から西荻窪駅までは徒歩で18分程度、上石神井駅までは20分程度です。西荻窪駅や上石神井駅からは善福寺公園までのバスが出ているので、これを利用するのが便利かもしれません。

善福寺の「治安」

善福寺周辺は緑が多く、とても静かな住宅地だ。坂道も少なく、歩きやすい。
善福寺周辺は緑が多く、とても静かな住宅地だ。坂道も少なく、歩きやすい。

杉並区は東京23区の中でも犯罪が少なく、治安がよいといわれています。警視庁が発表した令和4年の杉並区「罪種別及び手口別認知件数」では、善福寺は年間37件でした。例えば、同年の杉並区荻窪1丁目~5丁目では85件な。善福寺はそれと比べても少数。ここならば安心安全に暮らせそうです。

善福寺の「地図」

善福寺の「歴史」と「由来」

なぜ高級住宅街に? 善福寺の「歴史」

「井草八幡宮」(善福寺1丁目)には国指定重要文化財の縄文土器「顔面把手付釣手形土器」が展示されている。散策時の11月には、ちょうどお祭りをやっていた。
国指定重要文化財の縄文土器「顔面把手付釣手形土器」が展示されている「井草八幡宮」(善福寺1丁目)。散策時の11月には、ちょうどお祭りをやっていた。

善福寺周辺からは、縄文時代中期の土器がたくさん見つかっており、森もあって水の豊かだったこの場所には、縄文時代から人々の暮らしがあったことがわかります。

どこまでもまっすぐな道が清々しい。善福寺周辺の住宅地は日当たりもよくとても気持ちがよい場所だ。
どこまでもまっすぐな道が清々しい。善福寺周辺の住宅地は日当たりもよくとても気持ちがよい場所だ。

大正12(1923)年の関東大震災後、東京郊外の宅地化が進むさなかには、この周辺は農地のままでした。時を経て明治22(1889)年、市制および町村制が施行された際に杉並区内の村々が合併し、杉並区は杉並村、和田堀内村、井荻村、高井村の4つの村になります。そのなかでも井荻村は上井草・下井草・上荻窪・下荻窪の4つの村が合併したもので、「井」と「荻」の1字ずつを取ったといわれています。のどかな農村地だった荻窪周辺に「甲武鉄道」(現在のJR中央線)が新宿〜八王子間で開通したのは明治22年のこと。明治24年には「荻窪駅」ができました。その後、明治32年に「吉祥寺駅」が誕生します。

荻窪3丁目の大田黒公園。昭和初期に音楽評論家・大田黒元雄氏の広大な自宅があった。荻窪駅が完成したのち、駅の周辺は別荘地として人気が高まったそうだ。
荻窪3丁目の大田黒公園。昭和初期に音楽評論家・大田黒元雄氏の広大な自宅があった。荻窪駅が完成したのち、駅の周辺は別荘地として人気が高まったそうだ。

荻窪駅と吉祥寺駅に挟まれた場所にある井荻村の発展の礎を築いのが、明治40年に井荻村の村長に就任した内田秀五郎氏です。内田氏は大正14(1925)年から昭和10(1935)年の10年間をかけて井荻村全域で土地区画整理事業を行いました。当時の井荻村には青梅街道や所沢街道などの道路は通っていたものの、梅雨時には泥道になり、雨が降るたびに荷車の車輪がぬかるみにはまるほどの悪路でした。内田氏は道路改修への機運を村内で高め、道を整備し始めます。これにより、今のような碁盤の目の美しい道路が出来あがりました。

善福寺エリアには大きな邸宅が並んでいる。しっかりと区画整理された証拠だ。
善福寺エリアには大きな邸宅が並んでいる。しっかりと区画整理された証拠だ。

土地区画整理事業と前後し、内田氏はインフラ整備も行いました。城西の農村でしかなかったこの場所に、全村規模で電灯敷設を行い、郵便局・電話局を設置。内田氏は強力なリーダーシップを発揮し、寄付地を集めて大正11(1922)年に西荻窪駅を開業します。さらに、明治44年には「井荻村教育会」を創立し、会長に就任。修学児童の学用品の共同購入や寄与などにも取り組みました。内田氏のこうした多岐に渡る活躍により、現在の善福寺周辺は街並みの美しい高級住宅街としての基盤が出来上がりました。整備された街なかにはお屋敷がたくさん並んでいたといいます。

善福寺の「由来」

善福寺3丁目、善福寺池ある「善福寺公園」は昭和36(1961)年に都立公園として開園。公園の面積の半分を池が占める。
善福寺3丁目、善福寺池ある「善福寺公園」は昭和36(1961)年に都立公園として開園。公園の面積の半分を池が占める。

 現在、善福寺公園内にある善福寺池の池畔には、万福寺と、地名の由来となった善福寺のふたつの寺があったと伝えられています。それらは鎌倉時代に創建されたといわれていて、江戸時代に編さんされた地誌 「新編武蔵風土記稿」には、地震のため池水が溢れて崩壊したと記述されています。室町後期の武将、太田道灌の兵火に焼かれたという説もあり、真相はやぶの中です。

現在、善福寺4丁目にある「善福寺」。本尊の阿弥陀如来立像は鎌倉時代末期の作といわれています。
現在、善福寺4丁目にある「善福寺」。本尊の阿弥陀如来立像は鎌倉時代末期の作といわれている。

青梅街道から少し入った位置、善福寺4丁目には現在、曹洞宗寺院の「善福寺」があります。このお寺のもともとの名前は、無量山福寿庵。「善福寺」と改称したのは昭和17(1942)年のことで、地名の由来になったわけではありません。

住みやすさは?善福寺の「魅力」

■1:自然豊かな善福寺公園があります

11月に訪れた善福寺公園では、公園を会場にした国際野外アート展「トロールの森」が開催されていた。さまざまなイベントが開催され、周辺住民たちで賑わう。
11月に訪れた善福寺公園では、公園を会場にした国際野外アート展「トロールの森」が開催されていた。さまざまなイベントが開催され、周辺住民たちで賑わう。

善福寺エリアの中央にある「善福寺公園」には「上の池」と「下の池」のふたつの池があり、ふたつを合わせた池の面積は公園の半分ほどを占めています。同じく大きな池を有し、善福寺から車で15分程度の距離にある「井の頭恩賜公園」(吉祥寺)より知名度は低いですが、肩を並べられるクラスの癒しスポットといえます。親子連れや気軽なお散歩やジョギングを楽しむ近隣住民たちが三々五々集まり、程よく賑わう公園はアットホームな雰囲気で、気持ちのよい空間です。

善福寺公園にある上の池ではボートを楽しむこともできる。
善福寺公園にある上の池ではボートを楽しむこともできる。

善福寺公園は、昭和9(1934)年に「日本野鳥の会」を創設した中西悟堂氏が善福寺池近くに住居をもち、池の生物観察を行った場所としても知られていて「野鳥観察の聖地」ともいわれています。実際、大きな池には、カモやカイツブリなどの水鳥や、カワセミも来るようです。近くにはおしゃれなカフェがあり、散策のあとにゆっくり休憩できます。

善福寺4丁目のレイクサイドにはカフェ「nido」がある。ペットも一緒に寛げるカフェだ。
善福寺4丁目のレイクサイドあるカフェ「nido」はペットも一緒に寛げるカフェだ。

■2:公園周辺は風致地区に指定されています

善福寺公園周辺の住宅の庭には立派な植栽があり緑が豊富。辺りには高い建物が見当たらない。
善福寺公園周辺の住宅の庭には立派な植栽があり緑が豊富。辺りには高い建物が見当たらない。

善福寺エリアは、低層住宅の良好な環境を守るために建物の高さなどに制限のある第一種低層住居専用地域が多く、さらに善福寺公園の周辺は風致地区にも指定されています。風致地区では15メートル以上の高い建物が建てられず、建ぺい率は40%以下。そして道路側の壁面後退は2メートル以上と、第一種低層住宅専用地域より厳しい制限があります。このエリアで、高い建物が一切見当たらないのはそのためです。風致地区は東京都内でも自然が豊かな限られたエリアにしかないので、希少性が高く、不動産価格が下がりにくいといわれています。

第一種低層住宅専用地域では新しく建てられた家々も多く、土地の細分化も始まっている。とはいえ、高い建物は見当たらない。
第一種低層住宅専用地域では新しく建てられた家々も多く、土地の細分化も始まっている。とはいえ、高い建物は見当たらない。

この場所が風致地区に指定されたのは、善福寺池周辺の自然環境を守るため。風致地区は東京都内には28か所ありますが、善福寺はそのうちのひとつです。昭和5(1930)年に善福寺池を中心にエリアが指定されました。昭和9年には善福寺風致協会が発足し、会長には元井荻町長の前出の内田氏が就任。そして内田氏は水面の浚渫(しゅんせつ)と拡大、遊歩道の整備など、公園的整備を積極的に行いました。

背の高い家はないが、家の敷地内に大きな樹木のある邸宅は多数ある。
背の高い家はないが、家の敷地内に大きな樹木のある邸宅は多数ある。

善福寺エリアに高い建物はないのですが、邸宅敷地内に住居よりはるかに大きな樹木のある家がたくさんあって自然と共存する姿が目に留まります。このエリアにもともとあった樹木なのでしょうか。豊かな善福寺の自然環境を守ろうとする人々が今も暮らしていることが、暮らしやすさにつながっているのかもしれません。

■3:西荻窪駅周辺のアットホームな雰囲気が人気です

西荻窪駅近くにあるビストロ「f è ve」。お店の外観もかわいい。
西荻窪駅近くにあるビストロ「Fève」。お店の外観もかわいい。

西荻窪駅の周辺には、駅を起点に東西南北にいくつもの商店街が集まっています。それらの商店街でよく見かけるのは、チェーン店とは異なる、個性的な個人商店です。吉祥寺駅と荻窪駅の間にある西荻窪駅では、ミシュランでの「ビブグルマン」に掲載されたレストランや、スイーツ店やベーカリー、カレーのお店なども増えています。アットホームな個人商店が軒を連ね、お店ではワークショップなども開催されていて、休日にはお散歩MAPを片手に散策を楽しむ人も多いようです。

西荻窪駅周辺は古民家が多い。昭和初期に建てられた古民家は、カフェやギャラリーとして利用されていてとてもおしゃれ。古民家めぐりもおすすめだ。
西荻窪駅周辺は古民家が多い。昭和初期に建てられた古民家は、カフェやギャラリーとして利用されていてとてもおしゃれ。古民家めぐりもおすすめ。

お屋敷が多かった西荻窪では、戦後にお屋敷が手放されたときに不要な家具などが売りに出されたことが始まりとなって、駅周辺にアンティークショップが多いといわれています。西荻窪駅北口にある「骨董通り」や南口にある「乙女ロード」は、骨董店や古書店が集まっているエリアです。そのほか、「乙女ロード」はビストロやオーガニック食品店などこだわりのあるお店が揃っています。ものを大切に扱う西荻窪の文化はとても魅力的です。

「西荻南口仲通街」にあるピンクの象は、西荻窪のトレードマークだ。
「西荻南口仲通街」にあるピンクの象は、西荻窪のトレードマークだ。

西荻窪駅南口前にあるのが、昭和レトロな雰囲気のあるアーケード商店街「西荻南口中通街」です。赤黄緑のカラフルな屋根から吊るされたピンクの象が人気です。

■3:住みたい街として人気の高い吉祥寺駅と荻窪駅に挟まれた立地です

吉祥寺駅は西荻窪駅のお隣だ。吉祥寺駅には「井の頭恩賜公園」がある。
吉祥寺駅は西荻窪駅のお隣だ。吉祥寺駅には「井の頭恩賜公園」がある。

「アトレ吉祥寺」「吉祥寺パルコ」「吉祥寺マルイ」「東急百貨店 吉祥寺店」などの商業施設が揃った吉祥寺駅がJR中央・総武線で1駅2分の距離にあります。ラーメン店やカレー店の多い荻窪駅もJR中央・総武線で1駅です。荻窪駅前にも、商業施設「ルミネ荻窪」や「荻窪タウンセブン」があります。都心まで出なくても、1駅行けばなんでも揃えられる環境は魅力的です。

■4:近隣には人気の学校が複数あります

写真右手の緑が豊富な場所が「東京女子大学」。善福寺2丁目にある。
写真右手の緑が豊富な場所が「東京女子大学」。善福寺2丁目にある。

善福寺2丁目には「東京女子大学」があります。そのほか、お隣の吉祥寺駅には「成蹊大学(武蔵野市吉祥寺北町3丁目)」も。 「吉祥女子中学・高等学校(同・東町4丁目)」や「立教女学院中学校・高等学校( 杉並区久我山4丁目)」も3キロメートル圏内です。魅力的な学校が近くにあるのは、ファミリー層にも安心です。

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善福寺エリアは、公園を中心に自然が豊かな環境が整っています。西荻窪駅周辺も個性的なお店がたくさんあって魅力的。吉祥寺駅と荻窪駅に挟まれているという利便性もうれしいポイント。このエリアに住んだら、とても楽しく暮らせそうです。

参考:杉並区区ホームページ
    井荻八幡宮
   すぎなみ学倶楽部
   杉並区郷土博物館
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PHOTO :
AC,柳堀栄子
WRITING :
柳堀栄子