うい?うれい?「憂い」の正しい読み方は?
明日・11月25日は、文学者にして政治活動家でもあった三島由紀夫氏の忌日で、『憂国忌』と呼ばれております。亡くなり方も大変衝撃的で、1970(昭和45)年のこの日、憲法改正を訴えるために東京・市ヶ谷の陸上自衛隊総監部を襲い、事成らず割腹自殺に至りました。ノーベル文学賞候補にもなったことのある世界的に著名な作家の起こしたセンセーショナルな事件は、当時の日本社会に大きな衝撃をもたらしました。『憂国忌』の「憂国」とは、三島氏の執筆した短編小説のタイトルであり、著者自身の手で映画化もされております。本日は「憂」という字にスポットをあてた日本語クイズをお送りします。
【問題1】「憂い」ってなんと読む?
「憂い」の読み方として正しいものを、以下の選択肢から選んでください。
1:うれい
2:うい
…さて、正解は?
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正解は… 1:うれい 2:うい どちらも正解 です。
「憂(うれ)い」は名詞です。意味は「心配。気遣い」「哀しみ嘆くこと。憂鬱(ゆううつ)で気持ちが晴れないこと」などで、「憂(うれ)い顔(がお)」「憂(うれ)いを帯びる」などの使い方がございます。「憂(う)い」は形容詞です。意味は「心が重苦しくてつらい。気分が晴れずやりきれない」で、「もの憂い(う)い」などの使い方がございます。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「杞憂」ってなんと読む?
「杞憂」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「心配する必要のないことを、あれこれ心配すること。とりこし苦労」という意味の言葉です。
<使用例>
「彼女、本番であがって実力を出せないんじゃないかと心配だったけど、杞憂に終わって良かったわ」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 杞憂(きゆう) です。
「枸杞(くこ)の実」など、「杞(ク)」と読む例もございますが、この熟語は「杞憂(きゆう)」です。「杞憂(きゆう)」という言葉は中国の故事からできた言葉で、古代中国の杞の国の人が、天の崩れ落ちることを心配して寝食をとらなかった…というエピソードに由来します。
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本日は、11月25日、三島由紀夫氏の忌日『憂国忌』にちなんで、「憂」という字の入った日本語から、
・憂(うれ/う)い
・杞憂(きゆう)
の読み方、言葉の背景をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱