シンプル&エレガンスのその先へ「クワイエット・ラグジュアリー」考

『Precious』は2004年の創刊時から変わらず、ファッションやライフスタイルの核となる「ラグジュアリーとは何か」を問い続け、ものの表層的な面だけでなく、その価値や本質を伝える誌面づくりを目指してきました。

今、モード界を席巻中のトレンド「クワイエット・ラグジュアリー」とは、実は『Precious』が提唱してきたスタイルとも重なるムーブメント。今、現象として浮上してきた “静かなる(あるいは控えめな)ラグジュアリー” とは何か。『Precious』らしい視点で、その魅力をひもときます。

1.「クワイエット・ラグジュアリー」とは?

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着る人の静かなる佇まいが服をより魅力的に見せ、惹きつけられるー例えばティルダ・スウィントンのように。(C)Emma Hardy/Trunk Archive

「クワイエット・ラグジュアリー」とは文字どおり、「静か」で「控えめ」なアプローチを美点とする、シックの縮図のようなスタイルのこと。具体的には、ラグジュアリーブランドのシンプルなアイテムをベーシックな色でまとめたミニマルな着こなしを指し、上質を知る人にはわかる、高級な素材と洗練されたディテールにクラス感や品格を感じさせることのできるファッションです。

著作家/服飾史家の中野香織さん、WWD JAPAN 編集長の村上 要さん、「ペロタン東京」ディレクター/モデルのアンジェラ·レイノルズさんに「クワイエット・ラグジュアリー」についてお話しを伺いました。

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2.【Craftsmanship】「エルメス」ラムレザーのコート

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コート[ニットスカーフ付き]¥2,343,000・パンツ¥1,331,000・ネックレス¥866,800・ピアス¥156,200(エルメスジャポン)

最も洗練されたものづくりを実現する「エルメス」。しっとりと濡れたような光沢をたたえたラムレザーのコートは、袖を通すと心地よい重みを感じさせ、セカンドスキンのようにしなやかにフィット。柔らかなニットスカーフをベルトにしたウエストマークが新鮮に映る。手間と時間をかけて生み出されたアイテムは、愛着をもって長く付き合える。

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3.【Craftsmanship】「ザ・ロウ」アルパカシルクのローゲージニット×ベビーカシミアのダブルフェイススカートが極上の着心地をもたらす

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ニット¥526,900・スカート¥1,201,200(ザ・ロウ・ジャパン) イヤリング[WG×あこや真珠]上/¥74,800・下/¥484,000(TASAKI)

「クワイエット・ラグジュアリー」を体現する象徴的なブランドとして脚光を浴びる「ザ・ロウ」。アルパカシルクの柔らかなローゲージニットと、非常に繊細なベビーカシミアのダブルフェイススカートは、未体験級の極上の着心地をもたらす。奥行きのある質感やアシメトリーなフォルムでオールホワイトでも表情豊か。

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4.【sence of oneself】「サンローラン」タイムレスなアイコン|シルエットの完璧な美しさが際立つダブルのピーコート

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コート¥561,000・ニット¥170,500・パンツ¥170,500・ベルト¥77,000・ピアス¥71,500(サンローラン〈サンローラン バイ アンソニー ヴァカレロ〉)

「サンローラン」初のオートクチュールコレクション(1962年)のファーストルックにも登場したピーコートは、メゾンのタイムレスなアイコン。シルエットの完璧な美しさが際立つダブルのピーコートは、ジェンダーレスなエレガンスそのもの。現代の一着は、サステイナブルウールで更新。

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5.【Attitude】「クロエ」ブラック&ホワイトのマキシドレス

イヤリング_2
ドレス¥437,800(クロエ)

ブラック&ホワイトのマキシドレスは、ピュアウールの端正なタートルネックニットと、ウエストにギャザーを寄せたウールガーゼのロマンティックなフレアスカートを組み合わせたハイブリッドデザイン。

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6.【Less is More】圧倒的な存在感を放つ「ヴァレンティノ」テーラードコート

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「ヴァレンティノ」のコート¥907,500・「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のブーツ¥225,500(ヴァレンティノ ジャパン) ピアス¥63,800・リング/指先側から¥52,800・¥58,300(showroom SESSION〈コールムーン〉)

ブークレシャギーの風合いが優しげなテーラードコートは、構築的でありながらリラックス感のあるシルエット。最上級の赤「ヴァレンティノレッド」をデイリーに取り入れる余裕こそラグジュアリーのスピリット。ミニマルではあれど、圧倒的な存在感を放つ。

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7.【Less is More】ニットとコート、ステートメント性のあるボトムを合わせた「プラダ」らしいコントラストルック

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コート¥627,000・ニット¥220,000・スカート¥1,265,000/すべて参考価格(プラダ)

ニットとコートを徹底してシンプルベーシックに仕上げているのに対して、ステートメント性のあるボトムを合わせた「プラダ」らしいコントラストルック。

静謐なムードのコサージュをあしらったスカートは、ウエディングドレスの特別感を日常に落とし込む試みから生まれたもの。シンプル&エレガンスの枠を超えたミニマリズムこそが細部に新しい洗練を宿す。

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8.「ヴァン クリーフ&アーペル」メゾン自ら収集した一点もので構成される『ヘリテージ コレクション』から1964年製のブレスレット

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ブレスレット[WG×YG]¥8,844,000(ヴァン クリーフ&アーペル) ニット¥79,200(マックスマーラ ジャパン〈マックスマーラ〉)

1920年代から1990年代にかけて「ヴァン クリーフ&アーペル」が制作した作品を、メゾン自ら収集した一点もので構成される『ヘリテージ コレクション』。1964年製のこのブレスレットは、ホワイトゴールドとイエローゴールドを緻密に編み込んで量感を出したデザインに、グラマラスな気品が香る。時を超えて受け継いだジュエリーで、自分だけの物語を紡いでいく。

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※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

PHOTO :
東 京祐
STYLIST :
伊藤美佐季
HAIR MAKE :
ヘア/SHINGO SHIBATA(eight peace)、メイク/ANNA(S-14)
MODEL :
田沢美亜
EDIT :
下村葉月、遠藤智子(Precious)