あなたの周囲には、小さなミスをすぐに「責任転嫁」しがちな人はいませんか? 「責任転嫁」とは、自分が負うべき責任や咎(とが)められるはずの失敗を人のせいにしてしまうこと。「私はそんなこと言ってない!」「私がやったんじゃない!」など、たとえ小さな失敗でも、自分の責任を認めずに人のせいにする人がいると、チームの士気も下がってしまいます。今回は「責任転嫁」という言葉の由来や具体的な事例がわかる例文、言い換え表現などを解説します。

【目次】

責任転嫁とは?意味,どうして「嫁」という文字が使われてるの?
どうして「嫁」という文字が使われてるの?

【「責任転嫁」の「読み方」「意味」など「基礎知識」】

■読み方

「責任転嫁」は「せきにんてんか」と読みます。

■意味

自分が負うべき責めや責任をほかになすりつけること」を「責任転嫁」と言います。

■由来

「責任転嫁」という言葉の明確な由来や出典はなく、「責任」と「転嫁」というふたつの熟語が合わさってできた言葉です。

「責任」には「立場上当然負わなければならない任務や義務」や「自分のした事の結果について責めを負うこと。特に、失敗や損失による責めを負うこと」という意味があります。そして「転嫁」には「自分の罪・責任などをほかになすりつけること」という意味があります。実は「転嫁」にはもともと「再度嫁入りすること。再婚」という意味がありました。ここから転じて、「ほかにものを移す」という意味になったようです。「転嫁」する内容は、「任務や義務」「自分の失敗や損失による責め・罪」などです。「責任を“嫁”に出す」、とは、なんとも昔ながらの考え方、ともいえますね。由来を知ると、ちょっと使いたくないと思ってしまうかもしれません。


【「使い方」がわかる「例文」5選】

本来、自分が負うべき責任や咎められるはずの失敗を、人のせいにしてしまうのが「責任転嫁」です。具体的にはどんな状況が想定できるのか、例文をチェックしてみましょう。

■1:「彼は非常にプライドが高く、自分の失敗をなかなか認められないタイプだ。しかも最悪なのは、人に責任転嫁するクセがあることだ」

■2:「部長は自分が会議の日時変更を部下に伝え忘れたにも関わらず、『○○が言わなかったせいだ』と責任転嫁している。みんな、本当のことはわかっているけどね」

■3:「今回のアクシデントの原因は私にあります。責任転嫁するつもりはございません。申し訳ありませんでした」

■4:「課長は部下の前では大口を利くくせに、部長の前だと『これはA君が担当しておりまして…」などと、何かあったら責任転嫁する気満々だ」

■5:「自分の都合のいいように責任転嫁を繰り返し、実績だけをアピールする姿勢が本当に腹立たしい」


【同じ意味をもつ「類語」や「言い換え」表現】

■責任を押し付ける
■責任を被せる
■責任をなすり付ける

■責任逃れ
■責任回避

「責任逃れ」も「責任回避」も、「自分の責任から逃れようとする行為」です。「責任転嫁」のように、責任を誰かになすりつけようとはしていないところが「違い」です。

■自己保身
■自己正当化

「保身」は「自分の地位・名誉・安全などを守ること」。「正当化」は「自分の言動などを、道理にかなっているように見せること」。こちらは責任などから「逃れようとする」のではなく、「咎められる理由はない」と見せる行為です。


【「対義語」は?】

「責任転嫁」の反対語としてぴったりくる熟語はありませんが、あえて挙げるのであれば「自責」でしょうか。

■自責

「自責」とは「自分で自分の過ちを咎めること。また、自分に責任があると考えること」。「自責の念に駆られる」などと用いられます。

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「責任転嫁」とよく似た音の言葉で「責任転換」「責任転化」という言葉を見聞きしたことはありますか? これらは「責任転嫁」の意味で使われているようですが、「責任転嫁」の誤用ですので気を付けてくださいね。

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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) :