「断続的」という言葉はご存じですね。「物事が時々途切れながらも継続している状態」を表す言葉ですが、正確な意味は曖昧になっている人も多いのでは? 今回は「断続的」の意味や言い換え表現、そして少々難解な「断続的労働」や「断続作業」についても解説します。

【目次】

「続く」が「断たれる」というう意味なので…?
「続く」が「断たれる」と書きますが意味はちょっと違います。

【「断続的」とは?「意味」など「基礎知識」】

■読み方

「断続的」は「だんぞくてき」と読みます。

■意味

「断続的」は「途切れたり続いたりする様子」を形容する言葉です。「断続」という熟語は、「断つ」という意味の「断」と「続く」という意味の「続」という、正反対の漢字から構成されています。「的」は、名詞のうしろに付くことで「その性質を帯びる」意を表します。従って「断続的」は、「物事が時々途切れながらも継続している状態」を指しているのです。例えば、「今日は朝から断続的に雨が降っている」のように使われ、この場合、「今日は朝から雨が降ったり止んだりを繰り返していた」といった意味を表します。単に「雨が止む」という意味ではなく、「止んだあと、また降り始める」といった「繰り返し」があるところがポイントです。


【「類語」「言い換え」表現は?】

「断続的」を深く理解するために、よく似た意味をもつ言葉をいくつかご紹介しましょう。

■間欠的:一定の時間を置いて起こったり止んだりするさま。

■飛び飛び:脈絡なく間をおく様子

■跡切れ跡切れ/途切れ途切れ:ところどころ中断する様子

「跡切れ跡切れ」も「途切れ途切れ」と同じ、「とぎれとぎれ」と読みます。

 ■絶え絶え:絶えるかのようでいて、かすかに続く様子

■切れ切れ: 切れそうになって、ぎりぎりのところで繋がっている様子。


【「対義語」は?】

「断続的」は「途切れたり続いたりする様子」ですから対義語は「絶え間なく続く」といった意味をもつ言葉になります。

■連続的:一連の流れが切れ目なく続くこと。

■永続的:同じ状態が長く続くこと。

■切れ目なく

■継続的:前のことに引き続いて起こったり行ったりすること。

「継続(けいぞく)的」は似たような文字で構成されているため「断続的」と混同されやすい言葉ですが、実はほぼ反対の意味をもつ言葉といえます。


【「断続的労働」「断続作業」の意味 】

少々難しい言葉ですが、厚生労働省が定める労働基準法には「断続的労働」「断続作業」という言葉が使われています。一見、よく似た単語のように思われがちですが、実はまったく異なる言葉なので、頭に留めて置きましょう。

■「断続的労働」とは?

「断続的労働」とは「実作業が間欠的に行われ、手待時間の多い労働」を指します。「手待時間」という言葉には馴染みがありませんが、「作業には従事していないけれど、会社から待機を義務付けられている時間のこと」。「断続的労働」は作業時間と手待ち時間とが繰り返されてひとつの労働として成り立っている業務を指し、例としては、ビルやマンションの守衛や学校の用務員、役員などの専属運転手などが挙げられます。待機時間が長い労働の場合、休憩や休日が少なく労働時間が長くても健康を害する恐れがないとの考え方から、申請が認められれば、労働基準法の「労働時間」「休憩」「休日」に関する項目が適用されなくなる「断続的労働の適用除外制度」が受けられます。

■「断続作業」とは?

「断続作業」とは、厚生労働省が定める作業の定義のひとつで、宅急便の配達などのように、荷物を運ぶ、運転するということを繰り返す作業を言います。日本における職業病の1位は「腰痛」と言われています。その原因のひとつとされる重量物の運搬に関して、機械を操作して荷物を運搬するのではなく、手作業で荷物を運ぶ場合は、未成年者や女性によって負担が大きくなるために労働基準法によって重量の制限がなされおり、「断続作業」という言葉が生まれました。労働基準法では、18歳以上の女性が運搬できる重量は、継続作業の場合は20kg、断続作業の場合は30kgと定められています。「継続作業」とは、荷物を一度に積みこむときなど、継続して行われる作業を指します。


【「英語」で言うと?】

「断続的」は前述の通り、「断つ」という意味の「断」と「続く」という意味の「続」、ふたつの漢字から構成された熟語です。これを英語に置き換えてみると「断つ」は〔off〕、「続く」は〔on〕、つまり〔off and on〕で「断続的」を表現することが可能です。

・It rained off and on all day long.(一日中雨が断続して降った)

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いかがでしたか?「断続的」という言葉を正確に理解できたでしょうか。ちなみに「断続的に続く」という言い回しは、「断続的」という言葉の中に「続く」という意味が含まれているため、「重言」であり誤った使い方とされています。注意してくださいね。

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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :