【目次】

【「鼻につく」とは? 意味と由来】

■意味

「鼻につく」にはふたつの意味があります。

ひとつは「匂いが鼻につきまとう」という意味。強い匂いに辟易する様子を表し、「香料が鼻についておいしくない」というように使います。もうひとつが「言動などがしつこく感じられ、不快になる、人の振る舞いなどが鬱陶しく感じられる」ということ。「自慢話が鼻につく」などと使います。

■漢字

「鼻につく」は「鼻に付く」とも書きます。「鼻に着く」は間違いです。

■由来

「鼻につく」は、強い匂いが鼻に残って離れない様子から生まれた表現です。そこから転じて、「何度も繰り返されることで不快になる」「言動がしつこく感じられる」という意味で使われるようになりました。


【「鼻につく」の正しい使い方|ビジネスで使える例文7選】

■1:「実績を話すたびに他部署を見下すような言い方をするので、少し鼻につく」

■2「実績を話すたびに他部署を見下すような言い方をするので、少し鼻につく」

■3:「相手の発言を毎回否定から入る姿勢が鼻につく」

■4:「会議では建設的な意見交換が望まれますが、自分の考えだけを押し通そうとする態度は鼻につきます」

■5:「SNSでは好意的に見えても、過度な自己演出は鼻につくことがあります」

■6:「エレベーターで香水が鼻につき、体調を崩す人もいました」

■7:「柔軟剤の香りが鼻につくという相談が管理会社へ寄せられました」

1~5は「その振舞が鬱陶しい、不快だと感じる使用例」、6と7は「匂いの強さに辟易する使用例」です。香水や整髪料、洗剤や柔軟剤、消臭剤など、香りの強さによる迷惑事例を「香害(こうがい)」と呼びます。言動も香りも「鼻につく」と感じさせないよう気をつけなければなりませんね。


【「鼻につく」の言い換え表現】

他者を不快にさせる言動について言う「鼻につく」は、下記のように言い換えることができます。

・鬱陶(うっとう)しい:邪魔になってうるさい。

・煩(わずら)わしい:心を悩ませてうるさい。面倒で、できれば避けたい気持ちである。

・癪(しゃく)に障る:物事が気に入らなくて、腹が立つ。

・癇(かん)に障(さわ)る:気に入らないで腹立たしく思う。

・虫唾(むしず)が走る:胸がむかむかするほど不快である。


【「鼻につく」と「鼻をつく」の違い】

「鼻つく」と「鼻つく」は助詞が違うだけですが、どのような違いがあるのでしょうか。「鼻をつく」は「鼻を突く」とも書き、「主人から勘当される」という意味もあります。現在、とはいえその状態を表すことは稀であり、多くは「ツンと鼻をつく匂い」というように「匂いが強く鼻を刺激する」という意味で使います。

匂いに関しては「鼻につく」「鼻をつく」どちらも使うので、イラっとする状態のときに使うのは「鼻につく」と覚えておくといいでしょう。


【職場で「鼻につく人」と感じたときの対処法】​

自分では選べない仕事仲間などのなかに「鼻につく人」がいた場合、あなたならどうしますか?

職場では、自分と価値観や考え方が異なる人と協力しなければならない場面も少なくありません。「鼻につく」と感じる相手に感情的に反応すると、かえってストレスが大きくなってしまいます。まずは相手を変えようとするのではなく、自分の受け止め方や距離感を見直すことが大切です。仕事に必要な関係と割り切り、冷静に接することで、不要なストレスを減らしやすくなります。

◆相手の言動を必要以上に気にせず、業務に集中する

◆感情的に反論せず、冷静で簡潔なコミュニケーションを心がける

◆必要以上に距離を縮めず、仕事上の適切な関係を保つ

◆信頼できる上司や同僚に相談し、一人で抱え込まない

◆十分な休息や気分転換を取り入れ、ストレスをため込まない


【「鼻につく」は英語で何という?】

「鼻につく」をそのまま表す英語表現はありませんが、状況に応じて「不快だ」「うんざりする」「癇に障る」といった意味の表現を使い分けます。

人の言動が鼻につく場合には、annoying(うっとうしい)、irritating(いら立たせる)、obnoxious(鼻持ちならない、不快な)がよく使われます。また、「人の癇に障る」「気に障る」という意味では、慣用表現の get on someone's nerves や rub someone the wrong way も自然です。

例えば、「彼の自慢話は鼻につく」は

His constant bragging is annoying. 

His bragging really gets on my nerves.

のように表現できます。日本語の「鼻につく」は比喩的な慣用句ですが、英語では「相手の言動が不快である」という意味を表す表現を、場面に応じて選ぶのが一般的です。


【「鼻」が入る慣用句一覧】

「鼻」は嗅覚をつかさどる器官ですが、日本語では感情や性格、人との関わり方を表す慣用句にも数多く使われています。誇らしさや自信、洞察力、相手への態度などを表現する際によく用いられ、ビジネスシーンや日常会話でも見聞きする機会の多い言葉です。

代表的な慣用句には、次のようなものがあります。

慣用句 意味 使い方
鼻が高い 誇らしい気持ちになること 「娘が海外で賞を受賞し、親として鼻が高い思いです」
鼻が利く 物事の変化や本質を素早く見抜く力があること 「彼女は市場の変化に鼻が利。」
鼻に掛ける 自分の能力や功績などを自慢すること 「学歴を鼻に掛けるような話し方は避けたい」
鼻で笑う 相手を見下すように笑うこと 「新人の提案を鼻で笑うような態度は好ましくありません」
鼻であしらう 冷たく素っ気ない態度で対応すること 「質問を鼻であしらわれ、相談する気持ちがなくなった」
鼻を明かす 相手の意表を突き、驚かせること 「最後のプレゼンでライバルの鼻を明かした」
鼻を折る 相手の自信や勢いをくじくこと 「あえて厳しい指摘をして、相手の鼻を折る結果になった」
鼻息が荒い 意気込みが強く、やる気に満ちている様子 「新規プロジェクトを前に、チーム全体が鼻息荒く準備を進めている」

意味を知っているようで意外と説明できない慣用句も多いもの。それぞれのニュアンスを理解して使い分けることで、会話や文章の表現力がより豊かになるでしょう。

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「鼻につく」という表現は、人の言動だけでなく、強い香りに対しても使われる日本語ならではの慣用句です。意味や由来を理解しておくと、相手の言葉をより正確に受け止められるだけでなく、自分自身の話し方や振る舞いを見直すきっかけにもなります。心地よい人間関係を築くためにも、相手への配慮を忘れず、品のあるコミュニケーションを心がけたいものですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :