「太だ」ってなんと読む?「ふとだ」ではありません!

明日、2月10日は『太物(ふともの)の日』という記念日です。日付は「2(ふ)10(と)」の語呂合わせで、宮崎県の呉服店が提唱し、一般社団法人日本記念日協会が認定した記念日で…というところで、本日1問目の日本語クイズにまいりましょう。

【問題1】「太物(ふともの)」ってなんのこと?

「太物(ふともの)」という日本語は、何を指す言葉でしょうか? 以下の選択肢の中ら正しいものを選んでください。

1:太い帯締め

2:太い糸で織った生地の着物

3:男性用着物

「太物(ふともの)」とは何のこと?
「太物(ふともの)」とはなんのこと?

…さて、正解は?

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正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 2:太い糸で織った生地の着物 です。

「太物(ふともの)」とは、絹(細い糸で織った着物)に対し、綿・麻・ウールなどの太い糸で織った着物を指す言葉です。
「太物(ふともの)」とは、絹(細い糸で織った着物)に対し、綿・麻・ウールなどの太い糸で織った着物を指す言葉です。

「呉服店」というと、現代では「和服を扱うお店」というイメージですが、「呉服」という言葉は、もともと「呉(昔の中国)から渡来した、高価な絹織物の生地で仕立てる着物」を意味していました。絹織物が渡来したのは弥生時代中期といわれており、当時は生地のことを「服(はとり)」と言いました。ここから「呉服(ごふく)=絹の生地」という言葉ができ、後世に残ったのです。その後も長い間、庶民の衣服は、生地を買い、自分で仕立てる形が主流でした。高価な絹織物を扱う「呉服店」は、身分の高い人が高級な絹の生地(呉服)を選び、着物をオーダーメイドしてもらうオートクチュール的な位置づけで、庶民には縁のないお店でした。江戸時代ごろになり、「呉服=絹の生地」という言葉を知らない庶民たちに「呉服店は、高級な絹の着物を売る店だ」という感覚ができ、「呉服とは、絹の着物を指す言葉だ」という感覚が浸透したようです。

…この「呉服=絹の着物」に対して、庶民の生活着としてお馴染みであった綿・麻・ウールなどの太い糸で織った生地から作る着物を「太物(ふともの)」と呼ぶわけです。現代では、和服を着る機会が相対的に減っておりますが、晴れの日以外に着る和服「太物(ふともの)」も、もっと着て楽しんでほしい…という願いで定められた記念日が『太物の日』なのです。和服文化に関連する言葉ですので、「太物(ふともの)」、大人の教養としてぜひインプットしておきたい言葉です。

さて、2問目は「太」つながりの日本語クイズです。

【問題2】「太だ」ってなんと読む?

「太だ」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「程度が大きく、激しいさま。ひどく」という意味の言葉です。

<使用例>

「礼装以外であれば、太だ新しい発想で着物を楽しむのも、とても素晴らしい文化だと思います」

「〇〇〇だ」。
「〇〇〇だ」。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 太だ(はなは-だ) です。

「太」の表外読み(常用漢字表に掲載されない読み方)です。「甚だ(はなは-だ)」という表記もございますね。

礼装としてのファッションには、洋装も和装もマナーを逸脱しないことが重要ですが、日常着であれば、和装といえども、自由な発想で楽しんでも良いと思います。これから日常着としての和服を楽しんでみたい…という方は、洗濯等で比較的扱いやすい「太物(ふともの)」で、着る練習から…というのもよいと思います。

*** 

本日は、2月10日『太物の日』にちなんで、

・太物(ふともの)=綿、麻、ウールなどの太い糸で織った生地を使った着物

という知識と、

・太だ(はなは-だ)

の読み方などをおさらいしました。

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Precious.jp編集部 
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参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/TBSウェブサイト(株式会社TBSホールディングス)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
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ILLUSTRATION :
小出 真朱