『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。

今回のテーマは、犬走さんの現在のマイブーム的ジュエリー「サムリング」。ジュエリーコーディネートにもスタイリストらしい洒脱な個性が光る、犬走さんの心を捉えたサムリングの楽しみ方は? お気に入りの私物と共に手元のおしゃれの極意を教えていただきましょう。

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)『Precious』本誌をはじめとする数々の女性誌、テレビ、広告など多彩な分野で活躍。女優のスタイリングも手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目されている。

ちょっとかわいそうな親指を「かわいくしてあげたい!」

親指にはめるサムリングは、どちらかというと男性のジュエリーというイメージが強いという人も多いのではないでしょうか? しかし犬走さんの、リングを親指に纏った手元の表情は、こんなにエレガントでしなやかな強さを漂わせます。

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犬走さんの「サムリング」をつける親指は右手。これひとつ加えるだけで、手元の表情がこんなに新鮮に!

「ジュエリーやファッション界で流行っているからというわけではなく、個人的にすごく気に入っているんです。もともと、若い女性や男性がしているのを目にして、かわいい! と気になったのが始まりなのですが、よく考えたら親指って5本の指のなかでもちょっとブサイクでかわいそう(笑)。素敵なリングで飾ってあげたいなと思って」(犬走さん)

リングはつける指によって意味や引き寄せる運も変わってくるといいますが、「サムリング」は“権力、富、成功”、さらに右手の親指は“行動力や指導力を高めるのに効果的”という説もあります。

「私はただ単に、親指をかわいくしてあげたいという思いから取り入れたのですが、そんなふうに指によって意味などが変わるというのも楽しいですよね」(犬走さん)

シンプルだけど存在感がある「AYA KIYOSHIMA」の“FUGA RING”

犬走さんが現在サムリングとして愛用しているのは、ジュエリーデザイナー兼クリエイターの清嶋あやさんが手がける「AYA KIYOSHIMA」の“FUGA RING”。リング状のモチーフが連なるリングが プレーンリングの上に重なる二重のデザインが、シンプルながらも存在感を放ちます。

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2023年秋、たまたま立ち寄った「銀座三越」で開催されていたポップアップで購入した犬走さんの「サムリング」。

「ひとつの旋律を複数の声部や音程で繰り返し奏でる音楽形式形式“フーガ”が着想源のコレクションと伺いました。まろやかな色味のK10ゴールドで肌なじみがいいし、手持ちのリングともコーディネートしやすそうと思って迷わず購入しました」(犬走さん)

合わせたリングは…

この日、右手人差し指にコーディネートしたリングは「ブルガリ」。建築界のレジェンド、ザハ・ハディッドによる“ビー・ゼロワン デザイン レジェンド”です。

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2017年に発売され大きな話題となった“ビー・ゼロワン デザイン レジェンド”。犬走さんは3バンドのピンクゴールドをチョイス。

「撮影でお借りしたのが出合いでしたが、現代を代表する建築家であるザハ・ハディッドによるデザインの再解釈がおもしろいなと思って購入しました。その後彼女があんなに早く他界するなんて思ってもみませんでしたが、現在では入手不可能ですし、文字通りレジェンドになったこのリング。あのとき買っておいてよかったなとつくづく思います」(犬走さん)

左手は長い間、同じ指に同じ指輪をつける「レギュラーコーディネート」を決めている犬走さん。そのぶん、右手は自由に、その日の気分やファッションでリングのおしゃれを楽しんでいるそう。

「このサムリングを投入したことで、手持ちのリングの魅力を再発見できたり、ジュエリーってやっぱり楽しいなと思いました。またいい出合いがあったら、少し雰囲気の違うサムリングも買い足したいと思っています」(犬走さん)


今回は犬走さんのマイブーム「サムリング」の楽しみ方を、お気に入りの私物とともにお届けしました。「ブサイクな親指をかわいくしてあげたい」という犬走さんの優しい言葉から、もっと自身を愛し、おしゃれを楽しもうと気づかれた人も多いのでは?

また、ハイブランドだけではなく、個性的な日本人ジュエリーデザイナーの作品も積極的に取り入れる柔軟で貪欲なスタンスも見習いたい! この春、「サムリング」を投入して、手元コーディネートをアップデートしてみませんか?

※私物に関するブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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この記事の執筆者
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PHOTO :
田中麻衣(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)