「容姿端麗」は女性の外見がいいことを表す四字熟語。ほめ言葉ではありますが、外見について言及することがはばかられる昨今、使いにくい言葉かもしれません。今回は「容姿端麗」の基礎知識や使い方の例文、英語での言い方などに加え、外見も中身も素晴らしいことを示す表現についても解説します。
【目次】
- 「容姿端麗」の「読み方」と「意味」
- 「容姿端麗」の使い方がわかる例文4選
- 「容姿端麗」の「類語・言い換え」表現
- 「美人で頭もいい」はなんて言う?「容姿端麗」の「関連語」
- ほめ言葉としての四字熟語
- 「英語」で「容姿端麗」はこう表現します!
【容姿端麗」の「読み方」と「意味」】
■読み方
「容姿端麗」は「ようしたんれい」と読みます。
■意味
「容姿」は顔だちと体つきを表し、「端麗」は姿・形が整っていて美しいことやそのさまを表すので、「容姿端麗」は姿かたちが美しく整った、いわゆる“美人”を指す四字熟語で、女性に限定されて使われます。ちなみに男性の顔立ちが美しいことは「眉目秀麗(びもくしゅうれい)」と言います。
【「容姿端麗」の使い方がわかる例文4選】
令和の今、ハラスメント案件になりかねない“容姿についての言及”ですが、日本語として「容姿端麗」という四字熟語を正しく理解するために例文を見てみましょう。
■1:「彼女は容姿端麗なだけでなく、仕事ぶりも人への気遣いもすばらしい。なにより一緒にいて楽しい人です」
■2:「容姿端麗であるばかりに、仕事ぶりを正当に評価されないのは気の毒だ」
■3:「容姿端麗だと外見ばかりを評価されがちだから、内面を磨いたり仕事で実績を積んだりと、人一倍努力が必要だ」
■4:「平安時代と現代では、容姿端麗の基準はかなり違う」
【「容姿端麗」の「類語・言い換え」表現】
■類語
・花顔柳腰(かがんりゅうよう):花のように美しい顔と、柳のように細くしなやかな腰を表します。また、そのような女性のこと。
■言い換え表現
顔もスタイルもいい女性を表す言い換え表現にはこんなものがありますね。
・ルックスがいい ・見た目がいい ・見映えがいい ・外見がいい ・美人 ・美女 ・べっぴん ・麗人 ・佳人
【「美人で頭もいい」はなんて言う?「容姿端麗」の「関連語」】
容姿だけではなく、性格や仕事ぶり、振る舞いなどを総合的に評価することが求められる時代です。「美人で頭もいい」「外見も内面の素晴らしい」、そんな人を言い表す関連語もおさえておきましょう。
■才色兼備(さいしょくけんび)
女性が優れた才知と美しい顔かたちをもっていること。
■文質彬彬(ぶんしつひんぴん)
外見的な美しさと内面的な実質との調和がとれているさま。『論語』由来の言葉。
■秀外恵中(しゅうがいけいちゅう)
主に女性について言う語で、容姿が美しく優しい心をもっていること。または、容姿が美しく賢いこと。
■才貌両全(さいぼうりょうぜん)
才知と容貌のどちらも優れたさま。「才貌」とは才知と容貌を、「両全」は両方とも完全という意味です。
【ほめ言葉としての四字熟語】
「容姿端麗」は顔と体つきが、「才色兼備」は容姿と才知が優れていることを表す言葉だということがわかりましたね。このように、秀でたふたつの要素を兼ね備えていることを表す四字熟語はほかにもあるのでご紹介します。
■才徳兼備(さいとくけんび)
才能と人格とをかね備えていること。「才色兼備」は才能と容姿、「才徳兼備」は才能と人格という違いがあるので使い分けるのが“大人の語彙力”です。
■文武両道(ぶんぶりょうどう)
文事と武事との両方、また勉学とスポーツの両面のこと。「文武に長ける」や「文武両道に秀でる」などと使いますが、「文武両道」だけでも両方が優れていることを表します。最近も、岩手県の花巻東高校を卒業してアメリカのスタンフォード大学に進学すると発表した、高校野球史上No.1スラッガーと言われる佐々木麟太郎さんが掲げた言葉として話題になりましたね。
■良妻賢母(りょうさいけんぼ)
夫に対してはよい妻であり、子に対しては賢い母であること。男尊女卑の思想のもと、明治時代から使われ出した四字熟語です。理想の女性像とされてきましたが、価値観が多様化している現代では“ほぼ死語”と思ってもいいかもしれません。
【「英語」で「容姿端麗」はこう表現します!】
「容姿端麗」を英語で言うなら[good looking]や[handsome][beautiful]となりますが、少々物足りない感じもしますね。具体的な様子を付け加えると、“容姿端麗感”が高まります。
・She is so beautifle, and She is so slender.(彼女は美しく、とてもすらっとしている)
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「容姿端麗」は女性の外見を、「眉目秀麗」は主に男性の外見をほめるときに使います。しかし、ジェンダーレスな美しさが注目されている現代では、女性に、男性に、という使い分けもナンセンス。やがてなくなる言葉なのかもしれません。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『新明解四字熟語辞典』(三省堂)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) :