フランス映画界を代表する巨匠ジャン=リュック・ゴダールが最後に手掛けた映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』本日より公開

映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』
(C)SAINT LAURENT - VIXENS - L'ATELIER – 2022

「サンローラン」が設立した映画会社「サンローラン プロダクション」製作による映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』が本日より公開中です。

フランス映画界を代表する巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督が最後に手掛けた本作は、自身が手書きし、色をつけた紙や文章をコラージュして映像化した20分の短編映画となります。さらに、劇中の音楽とサウンドトラックの切れ目には、彼自身の穏やかで、激しく震える声を聴くことも出来ます。

ゴダール自身をして「最高傑作だ」と言わしめた集大成となる本作の全貌が、いよいよ明らかとなります。

『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』

映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』
(C)SAINT LAURENT - VIXENS - L'ATELIER – 2022

ゴダールが映画界から永遠に離れることとなる数か月前まで、ずっと手を加え続けていたという本作について、撮影・編集を担当した、ゴダールに最も近いスタッフのファブリス・アラーニョはこのように語っています。

「ジャン=リュックは紙に付箋を付けて映画のリズムをイメージし、映像と音を指示していたのです。私の目の前に映像が広がるのが見えました。今、この瞬間に存在する映画でした。驚くほどシンプルながら、映像と音が整っていくさまは、とても力強いと感じました。ジャン=リュックはこの映画を見て、“これが私の最高傑作だ” と言いました」

映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』
(C)SAINT LAURENT - VIXENS - L'ATELIER – 2022

今作は2023年4月に「サンローラン」が立ち上げた映画会社「サンローランプロダクション」製作による短編作品となり、2023年カンヌ国際映画祭のクラシック部門にも選出されました。「サンローラン」クリエイティブディレクターのアンソニー・ヴァカレロは、

「本作を通じて、ジャン=リュック・ゴダールの類を見ない創作の過程のあらましが明らかになる」とコメントし、「そして同時に、決して日の目を見ることのない映画について、芸術家が思い浮かべたアイデアや参照元、イメージなどを示す草案でもある」と表しました。  

公開に先がけ、ゴダールの肉声入り予告動画が公開中

 

映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』をさらに楽しむためにおすすめしたいのが、ベルギー出身の作家、シャルル・プリニエによる『偽旅券』(1937年)に収録されている「カルロッタ」「ディトカ」を読むこと。ゴダールはこの「カルロッタ」と題された一篇の映画化を望んでいたそうで、劇中にもこの内容が登場します。

映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』
(C)SAINT LAURENT - VIXENS - L'ATELIER – 2022

ゴダールが最後に手がけた20分の短編作品に込められた思いとは。そして、今作を通してゴダールは何を伝えたかったのか。春の訪れを感じさせるこの季節、じっくり鑑賞したい映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』は本日より、全国の一部映画館にて上映中です。


映画『ジャン=リュック・ゴダール/遺言  奇妙な戦争』
監督・脚本・出演:ジャン=リュック・ゴダール
製作:サンローランプロダクション 2023
配給:ファインフィルムズ/コムストック・グループ

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『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
松野実江子(Precious.jp)