「慇懃」ってなんと読む?難しい字ですが、大人の語彙の定番です!
明日、3月4日は、『現代作法の日』という記念日です。これは日本現代作法会が制定した記念日で、「現代作法」を「日本の伝統的な作法と国際時代にふさわしいマナーの双方を身に着けること」と定義し、人や社会に愛される人材育成のためにこれを学び、心を磨き続けよう、と呼びかける目的が掲げられています。ということで、本日は「作法」に関連した日本語クイズをお送りします。
【問題1】「慇懃」ってなんと読む?
「慇懃」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「真心がこもっていて礼儀正しいこと」「非常に親しく交わること」などの意味をもつ言葉です。
<使用例>
「あの方の態度は、慇懃が過ぎて、無礼に感じることがございます」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 慇懃(いんぎん) です。
「慇懃(いんぎん)」と聞いて連想するのは「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」という四字熟語でしょう。「慇懃(いんぎん)」は前述のように良い意味の言葉ですが、例文にあるように、「あまりに慇懃すぎて」つまり「馬鹿鹿丁寧」の域に達するような態度は、逆に「無礼」である、相手を下に見てバカにしているようである…という様子を言うのが「慇懃無礼」です。「慇懃(いんぎん)」単体と、この四字熟語を混同しないようお気を付けください。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「折目高」ってなんと読む?
「折目高」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「衣服など、身に着けるものの折目がくっきりと高く現れているさま」というもとの意味から、そういう人の几帳面な印象から「態度や服装などが礼儀正しくきちんとしているさま」という意味でも使われる言葉です。
<使用例>
「お嬢様と初めてお目にかかりましたが、折目高で美しい方でした」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 折目高(おりめだか) です。
マナーのきちんとしたようすを「折り目正しい」と表現する慣用句がございますね。「折目高(おりめだか)」の「折目」は、これと同じ表現です。これは、日本古来の衣服である和服は、保管の際に定番的な畳み方があり、保管時に整頓されていたようすが、きっちりとついた折目から見て取れる…という状況から来た言葉です。ちなみに和服を保管する際には、アイロンをかけることは前提とされておりません。和服の形に添った古来の畳み方で保管すれば、見苦しいようなシワはつかないように作られているからです。ですので、古来伝わる畳み方によってついた和服の折目は、「シワ」ではないので、無理にアイロンで消す必要はありません。こちらも豆知識です。覚えておいてくださいね。
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本日は、3月4日『現代作法の日』にちなんで、「作法」に関連した日本語から、
・慇懃(いんぎん)
・折目高(おりめだか)
の読み方と、言葉の背景をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/日本現代作法会ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱