有名なフレーズ「こいつぁ春から縁起がいい」…どんなときに出た言葉?
明日、3月17日は『セント・パトリック・デー』です。キリスト教の聖人で、アイルランドの守護聖人でもある聖パトリックの忌日であり、欧米ではこの日に、シャムロック(三つ葉のクローバー)のモチーフを身に着けたり、緑色のものを飾ったりずる風習があります。三つ葉のクローバーは、聖人がキリスト教の教義である「三位一体(さんみいったい)」を説く際に使ったと言わています。…ということで本日は「三」にちなんだ日本語クイズをお送りします。
【問題1】「三人吉三」ってなんと読む?
「三人吉三」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:有名な歌舞伎の演目に登場する、同じ名前の3人の登場人物を指す言葉です。
<使用例>
「彼が『三人吉三』のお嬢吉三をやったときは、惚れ惚れしたわ」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 三人吉三(さんにんきちさ) です。
「三人吉三(さんにんきちさ)」は、河竹黙阿弥作『三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつかい)』という歌舞伎の演目に登場する3人の主人公であり、この演目を呼ぶ際の代名詞にもなっております。特に「こいつぁ春から縁起がいいわえ」という「お嬢吉三(じょうきちさ)」のセリフは大変有名で、なんのセリフか知らなかったけれど言い回しは知っていた…という方も多いでしょう。
…というところで2問目にまいります。
【問題2】「春から縁起がいい」のはなぜ?
お嬢吉三の名ゼリフ「こいつぁ春から縁起がいいわえ」で、「縁起がいい」と喜んでいる理由となった出来事を、以下の選択肢の中から選んでください。
1:夢のような美しい景色を見た
2:素敵な恋人ができた
3:強盗で意外なもうけが出た
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 3:強盗で意外なもうけが出た です。
「三人吉三(さんにんきちさ)」は、3人とも盗賊で、たまたま同じ「吉三郎(きちさぶろう)」という名前だった男性たちです。「吉三(きちさ)」は、「吉三郎の定番的な愛称」です。
「お嬢吉三」は、女装した男性強盗です。道に迷ったお嬢さまのふりをして夜鷹(よたか=フリーランスの下級娼婦)に強盗を働き、川に突き落としますが、その夜鷹がたまたま、客が忘れていった驚くほどの大金を持っており、お嬢吉三は意外な大金をせしめたことで「こいつぁ春から縁起がいいわえ」…というわけなのです。実はこの名ゼリフ、いかにも悪党らしいつぶやきなのです。
ちなみに、ほかの2人の吉三は、元僧侶の「和尚吉三(おしょうきちさ)」と、元旗本の御曹司「お坊吉三(ぼうきちさ)」です。この3人が出会って義兄弟となるシーン「大川端(おおかわばた)の場」は大変有名です。
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本日は、3月17日『セント・パトリック・デー』の話題に触れながら、「三」にちなんだ日本語から、
・三人吉三(さんにんきちさ)
の読み方と、
・「こいつぁ春から縁起がいいわえ」
という有名なフレーズの背景などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/『ユネスコ文化遺産 歌舞伎鑑賞の手引き 歌舞伎への誘い』ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱