【目次】

【「大器晩成型」とは?「意味」や「由来」など基礎知識】

■読み方

「大器晩成型」は「たいきばんせいがた」と読みます。

■意味

「大器晩成」は、才能や実力がなかなか認められず苦労をしたのち、晩年になって成功をつかむことを言います。「大器」には「大きな器(うつわ)」のほか、「国家」や「ものごとをやりとげる才能・能力の優れてていること」「重大な任務をもつ地位、高い位」という意味があり、「晩成」は、「ほかより遅れてコトを成就すること」「晩年になって成功すること」を表します。

そして、「大器晩成型」とは、そのようなタイプの人だという意味です。言い換えれば「世の中に認められるまで時間がかかったが、偉大な人物である」、あるいは「世の中に認められるまで時間がかかるかもしれないが、優秀な人である」ということ。若くして成功する人と優劣はありませんが、「成功者は必ずしも最初から成功者ではない」ということですね。ビジネスシーンで努力を積み重ねて成功を収めた優秀な人物を語る際や、相手の身内など近しい人をほめたりする際に使われる言葉です。

また、「社会で大成功を収めるほどの優秀な人ほど、子どもの時代は才能の芽生えを感じないものだ」という意味で、大人しく、目立たない子どもやその身内を励ますときにも使われます。

■由来となった古事は?

「大器晩成」は、古代中国の思想家、老子によると考えられる四字句。大きな器が簡単にはでき上がらないように、大きなことを成す人物も苦労を重ねてからその偉大さを現す、ということのたとえです。散文を集めた81章からなる『老子』という書物に書かれています。

■現代的な解釈——40代で成功した人は大器晩成型?

「大器晩成型」は「遅咲きの成功者」とも言えますが、「遅咲き」や「晩年」とは、いったい何歳くらいを指すのでしょうか。

実はこれは対象とする事柄によって違いがあります。例えばダンスやスノーボードなど10代で頭角を現すスポーツなどなら20代半ばの成功で「大器晩成型」と言われますが、ビジネスの世界で20代半ばはまだまだ新人の域、ですよね。20代で社会に出て60代まで働くケースなら、40代以降を「大器晩成型」というのが一般的でしょうか。しかし、人生100年時代といわれ、60代、70代でも現役世代となりつつある現代では、40代では「大器晩成」とは言わなくなっていくのかもしれませんね。

■ほめ言葉として使うときの注意点は?

「大器晩成」は本来、大きな才能を持つ人は成長や成果がゆっくりであるという意味で、未来への期待を込めたポジティブな言葉です。しかし使い方には注意が必要です。特に相手が努力を重ねている最中だったり、結果が出せずに焦っている状況でこの言葉をかけると、「今はまだ大成していない」と受け取られ、かえってプレッシャーや不快感を与えることがあります。褒め言葉として使うときは、「あなたは大器晩成型だからこそ、今の積み重ねがきっと実を結ぶ」といった、過去ではなく“これから”に焦点を当てた前向きな言い方にするのがポイントです。


【「使い方」がわかる「例文」4選】

■1:「彼は派手さはないですが、着実に力をつけています。まさに大器晩成型の人材です」

■2:「まだ結果は出ていませんが、大器晩成型なので中長期で見て大きな戦力になります」

■3:「今はまだ伸びしろの途中だけど、大器晩成型として将来を楽しみにしています」

■4:「なかなか求める成果が出なくても、くさることなく20年もの間コツコツ努力を続け、ようやく日の目を見た彼女こそ、まさに大器晩成型だね」


【「大器晩成型」の「類語・言い換え」「対義語」】

「大器晩成型」はポジティブな意味で使われるフレーズです。「類語」や「言い換え表現」「関連語」なども併せてチェックして語彙力を養いましょう。

■類語・言い換え表現

・大才晩成(たいさいばんせい):「大才」とは、優れた才能や器量、また、それをもっているさまやその人を言います。

・遅咲き

・スロースターター

「大きいやかんは湧きが遅い」ということわざもあります。「大器」を「大きいやかん」とたとえて、湧くのは遅くとも、火をかけていれば必ず湧いて、しかも、その量はたくさん。つまり、遅かれ早かれ大成する、という意味ですね。

■対義語

・​栴檀は双葉より香ばし(せんだん-は-ふたば-より-かん-ばし):「英雄や俊才など大成する人物は幼少期から人並みはずれて優れたところがある」ことをたとえたもの。栴檀とは白檀(びゃくだん)のことで、白檀は発芽のころから香気を放ちます。

・啄木鳥の子は卵から頷く(きつつき-の-こ-は-たまご-から-うなづ-く):すぐれた才能は子どものころから無意識のうちに現われるということ。


【英語で言うと?】「大器晩成型」を英語で表現するなら

「大器晩成型」は英語でよく "late bloomer(レイト・ブルーマー)" と訳されます。これは「開花が遅い人」「成功が遅れて訪れる人」という意味で、遅咲きの才能を称える表現として広く使われています。

ただし、日本語の「大器晩成」には、「大きな器を持つ人ほど完成に時間がかかる」という含みがあり、能力の大きさと時間の関係性が強調されます。

一方の “late bloomer” は、単に「遅く開花する人」という意味合いが中心で、才能の大きさそのものには言及しない点がやや異なります。

ニュアンスをより丁寧に伝えたい場合は、以下のような言い換えも可能です:

Great talents mature late.(偉大な才能は時間をかけて熟成される)

He(She) is someone who grows steadily and shines later in life.(彼/彼女は着実に成長し、人生の後半で輝くタイプです)

It takes time for true potential to unfold.(本当の可能性が花開くには時間がかかるものです)

状況に応じて表現を選ぶと、「大器晩成型」という考え方の深みもより伝わりやすくなります。


【「大器晩成型」の「偉人」5選】

「早く成功しなければ」と焦ってしまう現代。しかし、人生後半に力を発揮する“遅咲き”の偉人たちがいることを知れば、肩の力がふっと抜けるはずです。今回は、努力を積み重ね、時間を味方にして成功をつかんだ「大器晩成型」の5人をご紹介します。ビジネス雑談や自己肯定感のヒントにもどうぞ。

■ 1010回目の挑戦で契約成立──カーネル・サンダース(KFC創業者)

ケンタッキーフライドチキンの創業者カーネル・サンダース氏は、まさに「大器晩成型」の象徴。不遇の幼少期と数々の職を経て、40代で起業。度重なる失敗の末、65歳で無一文に。しかし70歳でチキンのフランチャイズ営業を始め、1010回目の訪問で初の契約を獲得。73歳で600店舗、死去時には世界に6000店舗を展開する大企業に成長させました。

■ 江戸幕府を開いたのは62歳──徳川家康(戦国武将)

家康の人生も「遅咲きの成功者」そのもの。3歳で母と生き別れ、6歳で人質に出される波乱の幼少期。戦国の動乱を生き抜き、関ヶ原の戦いで勝利したのが59歳。そして62歳で江戸幕府を開府。日本史に残る安定政権の礎を築いたのは、人生の後半でした。

■ 冨嶽三十六景を描いたのは70代──葛飾北斎(浮世絵師)

「HOKUSAI」の名で世界中に知られる葛飾北斎。10代から絵を学び、数多くの作品を残しましたが、代表作『冨嶽三十六景』シリーズを制作したのは70歳を過ぎてから。新千円札にも採用された《神奈川沖浪裏》は、その集大成とも言える作品です。

■ インスタントラーメンを生んだのは48歳──安藤百福(日清食品創業者)

日清食品の創業者・安藤百福氏は、戦後の混乱期にインスタントラーメンを発明した実業家。47歳で経済的に破綻するも、翌年「お湯を注げばすぐに食べられるラーメン」を発表。さらに91歳で宇宙食ラーメンを開発するプロジェクトを率いるなど、晩年まで挑戦を続けました。

■ 52歳で世界を変えた──レイ・クロック(マクドナルドの立役者)

マクドナルド兄弟の店に惚れ込み、52歳でフランチャイズ展開を開始。効率化とブランド戦略を徹底し、世界最大のファーストフードチェーンへと育て上げました。それまで営業マンだった彼の転機は50代から。「ビジネスに遅すぎるはない」と証明した人物です。

このように、「大器晩成型」の人生は決して遅いわけではなく、「じっくり育ったからこそ大きく花開く」成功のかたち。ビジネスの節目で焦りを感じたとき、彼らの生き方に学ぶことで視野がぐっと広がるかもしれません。

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「周りはどんどん前に進んでいるのに、自分だけ取り残されている気がする」——そんな焦りを感じることはありませんか?現代は「早く成果を出すこと」が良しとされがちですが、成功のタイミングは人それぞれ。「大器晩成型」という言葉が示すように、時間をかけてじっくり育つ力も確かに存在します。遅く見える成長の中にも、確かな実力と深い思考が培われているのです。

「早く成功しなければ」という思い込みを手放し、あなたのペースで歩むことを大切にしてください。焦らず、自分らしいタイミングで咲けばいい——その花は、きっと長く美しく咲き続けます。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/ケンタッキー・フライドチキン https://www.kfc.co.jp/ 『一冊でわかるイラストでわかる 図解日本史100人』(成美堂出版)/チキンラーメン https://www.chickenramen.jp/about/ :