おじぎの角度、名刺交換の仕方、電話での受け答え、身だしなみ…。社会人になったばかりのころ必死で覚えたビジネスマナーも、長いキャリアを経てふと気づけば、すっかり体になじんでいます。
しかし、年齢を重ね、立場も上になった今、ビジネスマナーもアップデートする必要があるのではないでしょうか。自信にあふれ、洗練された、一目おかれるスタイル。女性らしい気配りができ、知的で、優雅なふるまい。そのためにおさえておくべき「ビジネスルール」をN.Y.在住の国際イメージ・コンサルタント、日野江都子さんに教わります。
20年以上にわたって、日米のトップエグゼクティブを指導してきた厳しくも愛情に満ちたその言葉で、プレシャスキャリアに向けて、真のエグゼクティブとなるための外せないポイントを、シリーズでお届けします。1回目はドレスコードの要、「スーツ」から紐解きます。

「時代や職種が変わっても、スーツは、ダークカラーのテーラードタイプが基本です」
大前提は、男性の装いのルールに沿ったテーラードスーツ。色はダークカラー(ネイビー、グレー、ブラック)が基本中の基本です。これらを踏まえたうえで、第2の色である、ホワイト、アイボリー、ベージュ、ブラウンなどを加えると、着まわしの幅が広がります。女性特有の、襟を省いたカラーレスジャケットは、あくまでセカンドポジション。女性だけの集まりや、やわらかさが求められる場面には有効です。
「スーツは、ビジネスを 円滑に進めるためのツールと心得て」
女性のビジネススタイルは選択肢が広いぶん、選び方で損をしていることが、実は多いのです。男性社会のなかで仕事をするには、同じ種類と思ってもらうことが大切。つまり、スーツスタイルが男女共通の非言語として、〝こちら側の人間である〞という信用を 与える意思表示になるのです。能力があるのなら、そのなかであたりまえに存在できている説得力が必要です。世界で活躍する女性エグゼクティブたちは、圧倒的にダークスーツ。それは相手にポジションと能力をひと目で伝えるツールだと理解しているからです。
「どんな場面にも適応するのは、ジャケット&スカートのスーツ!」
男性社会において、絶対的に印象がいいのはスカートです。女性自身も、パンツよりスカートのほうが、ふるまいも上品になるはずです。ちなみに現役感を出すなら、スカートはシャープなタイトシルエットが絶対。すそが広がったデザインは、仕事では幼さや甘えている人を連想させてしまいます。パンツはアクティブなイメージが強いので、業種や状況、躍動感を示す戦略があるとき以外は、スカートスーツが聡明な女性の選択です。
■「ジャケット&スカートのスーツ」、お手本のコーディネートはこちら

40代、50代ともなれば、ひと目で威厳や風格が漂うシックな一着が必要です。たとえば、ディオールの名作『バージャケット』もそのひとつ。外側によけいな切り返しを入れず、内側のダーツでウエスト周りを立体的に見せるテクニックは、さすがクチュールブランド。大人の余裕にあふれた着こなしが、瞬時に手に入ります。威厳と風格が際立つテーラードタイプで、ウエスト周りがきちんと収まるスマートな2ボタンなのもポイント。スカートは、シャープでキレのあるタイトシルエットを選んで、現役感を主張して。

- TEXT :
- 日野江都子さん 国際イメージコンサルタント
- BY :
- 『Precious10月号別冊付録』小学館、2016年
公式サイト:Real Cosmopolitan Inc.
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- クレジット :
- 構成/兼信実加子