3月17日、史上3番目の早さで、東京都心の桜(ソメイヨシノ)の開花が宣言されました。2018年年のお花見はどこへ行こう? 皇居周辺か、京都か奈良か…とお悩みの方に、名所の桜を一気に観られる、とっておきのスポットをご紹介します。

それは、東京・広尾にある山種(やまたね)美術館。桜を描いた近現代日本画の名画が約60点も並ぶ「【企画展】桜 さくら SAKURA 2018 ―美術館でお花見!―」展が5月6日まで開催中です。贅沢な「お花見」の後は、併設のカフェでおいしい和菓子もぜひ!

■1:吉野も千鳥ヶ淵も!桜の名スポットを名画で

展示室に足を踏み入れると、そこには桜、桜、桜!  第1章「名所の桜」と題して、全国各地の名所絵、風景画を展示。嵐山、吉野、千鳥ヶ淵、奥入瀬…と、桜の名所を旅するように、名画を楽しめます。

奥村土牛 《醍醐》 1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館

なかでも、ひときわ印象的なのが、奥村土牛の《醍醐》。京都・醍醐寺のしだれ桜を描いた、土牛の代表作のひとつです。師である小林古径の7回忌の法要が奈良・薬師寺で営まれた際、その帰路で立ち寄った醍醐寺三宝院で、この桜を目にした土牛。「何時か制作したい」と考え、熱心に写生をしたその出会いから10年近い年月を経た昭和47(1972)年、「今年こそ」と再び醍醐寺を訪れ、この作品を制作したそうです。

見事に咲き誇る桜が、ぼうっと、春霞がかかったようなやわらかな空気感とともに描き出されていて、なんとも優美。絵の前から去りがたい、心に残る一枚です。

土田麦僊 《大原女》 1915(大正4)年 紗本金地・彩色 山種美術館

土田麦僊《大原女》は、屏風の金地と、桜の淡いピンク、竹や草の緑のコントラストに目を奪われる名品。京都・大原の風景と、そこで生き生きと働く女性たちの姿を、西洋画を連想させる独特の画風で描き出しています。

■2:「着物」「夜桜」見物を美術館内で! 幻想的な時間に浸って

上村松園、菱田春草、松岡映丘らが登場する第2章「花を愛でる」では、桜を愛でる人々の姿とともに、美しい着物の柄にも注目してみてください。実は山種美術館には、観覧料が団体割引料金になる「きもの割引」があり、着物姿で展覧会を訪れる女性たちも多いのです。作品だけでなく、鑑賞者の色とりどりの着物姿も、目を楽しませてくれます。

松岡映丘 《春光春衣》 1917(大正6)年 絹本・彩色 山種美術館

第3章「桜を描く」では、花そのものにクローズアップした作品が並びます。ひと口に「桜」といっても、繊細な桜、妖艶な桜、かわいい桜、野趣あふれる桜と、画家によって描き方はさまざま。

速水御舟 《夜桜》 1928(昭和3)年 絹本・彩色 山種美術館

そして最後、第二展示室では「夜桜」を描いた作品を一堂に展示。こぢんまりした空間の中で、夜桜の名画に囲まれる贅沢な時間です。月に照らされて闇の中に浮かび上がる桜の美しさに、思わずため息がもれる速水御舟《夜桜》ほか、加山又造、千住博ら、現代の日本画にも魅了されます。

■3:「Cafe 椿」のオリジナル和菓子にうっとり

鑑賞後は、1Fロビーの「Cafe 椿」へ。毎回、展覧会ごとに、青山の老舗菓匠「菊家」に特別オーダーしてつくられるオリジナルの和菓子は外せません。展示作品からイメージを得てつくられる和菓子は、今回は「花がすみ」「桜がさね」「うたげ」「花の色」「花春水」の5種類。小さなお菓子の中に表現された美しい色、ユニークな形、そしてもちろん味わいも…。和文化の素晴らしさを再認識させてくれます。

青山の老舗菓匠「菊家」が手がけた和菓子「桜がさね」

写真の「桜がさね」は、上で紹介した松岡映丘《春光春衣》をイメージしてつくられたもの。十二単の袖をモチーフに、さっぱりとした柚子あんを桜色の練切りで包んでいます。食べるのがもったいない、でも食べるとほんわかと幸せな気分に!

問い合わせ先

  • 会期/2018年3月10日〜5月6日
  • 会場/山種美術館
  • 住所/〒150-0012 東京都渋谷区広尾3-12-36
  • 開館時間/10:00〜17:00 ※入館は16:30まで
  • 休館日/月曜日(ただし4月30日、5月1日は開館)
  • 入館料/¥1,000(一般・当日券)ほか
  • TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
剣持亜弥