靴は、その人の「格」を表すといわれています。特にその「格」を重要視すると思われるエグゼクティブたちは靴に対してどのような意識を持っているのでしょうか。

一流の靴選びやメンテナンスの方法などの靴への意識を、エグゼクティブの靴に関わる専門家の方に伺います。

■シューフィッター:本当のエグゼクティブは自分の足に合う靴を選ぶ

シューフィッター・木村克敏さんにうかがいます
シューフィッター・木村克敏さんにうかがいます

エグゼクティブの靴の選び方

靴選びにもこだわるエグゼクティブ。どんな風に靴を選んでいるのでしょうか? 一般社団法人 足と靴と健康協議会の事務局長・木村克敏さんは次のように話します。

「エグゼクティブの方々のファッションは、トータルコーディネートが基本です。コスチュームやジュエリー、バックや小物といったあらゆるところすべてにこだわりをもたれます。なかでも、靴は最も気にかけるアイテム。『足元を見られる』という言葉がありますが、ファッションは足元が要でもありますし、ビジネスであればその人の人柄や仕事の技量まで表すといわれています。エグゼクティブの方々は、やはりサイズの合っていないものや手入れの行き届いていない靴は嫌うでしょう」(木村さん)

ビジネスシューズの画像
シューフィッター・木村克敏さんにうかがいます

持っている靴の数、メンテナンスの頻度は?

靴の数やお手入れや修理などの頻度はどのくらいなのでしょうか?

「持っている靴の数は人それぞれですが、お手入れはまめに行っているようです。特に靴がお好きな方は、ご自身でシューキーパーやクリーム、ブラシなどをそろえて、週1回、休みの日に丁寧にやられるというのをよく聞きます。彼らにとって、自分でお手入れするのも楽しみのひとつなのです。

またお手入れの頻度は高いようですが、修理に出す回数は少ないのがエグゼクティブの方の特徴。靴を複数、履き回していることが多いので、一足一足がそれほど傷まないのです」(木村さん)

女性のエグゼクティブの傾向は?

ところで、女性のエグゼクティブたちはどのような靴選びやメンテナンスの傾向があるのでしょうか。

「女性は、男性よりも靴数が多くなり、靴のお手入れを凝るというよりも、靴の収納に凝られる方が多いようです。例えば自宅の部屋にシューケースに入れて収納するときに、シューケースに靴の写真やイラストの紙を貼ってわかりやすくするという工夫をされている方がいます。また、靴用クローゼットをお持ちの方もいました」(木村さん)

エグゼクティブは相手の靴のどこを見ている?

エグゼクティブたちは、他人の靴に対してどの辺りを見ているのでしょうか?

「まずは、その方の“履き方”を見られると思います。例えば、サイズが合っているか、メンテナンスがきちんと行き届いているかを確認した上で、ブランドや値段が気になるのではないでしょうか。もちろん個人差はあるかと思いますが、安くてもお手入れされているか、という、靴にどれだけ関心があるかというところが気になると思います」(木村さん)

エグゼクティブの一流の靴選びやメンテナンスの方法、見るところなどは、ぜひ見習いたいものですね。

■靴のケア:世界一の靴磨き職人が語る、エグゼクティブの靴のお手入れ事情

Brift H 長谷川裕也さん
Brift H 長谷川裕也さんにうかがいます

続いて、靴のお手入れのひとつである靴磨き。靴が薄汚れているのはもちろん、見た目も弱々しい革の状態では、「さすが」と思われる足元は叶いません。定期的に靴磨きに靴を出すということもエグゼクティブのたしなみのようです。

エグゼクティブが通う南青山の高級靴磨き専門店「Brift H(ブリフトアッシュ)」の代表であり、2017年5月にロンドンで行われた「靴磨きの世界大会」でチャンピオンに輝いた、世界一の靴磨き職人の長谷川裕也さんに、エグゼクティブの靴のお手入れ方法について伺いました。

【参考:プロが動画でわかりやすく教える「靴メンテナンス」】

「当店のお客様は経営者や一流企業の役職者が多く、皆様、足元に気を使っていらっしゃいます。大半の方はお忙しいので、お店にご来店してまとめて何足か預けていかれる方が多いです。カウンターの目の前で磨くのを見ていく方は、靴好きでおしゃべりしたい方か、時間に余裕のある経営者の方が多いように思います。デリバリーという宅配のメニューもありますが、遠方のお客様のご依頼がメインです。また靴の数が多すぎて持ってこられないお客様の場合は、ご自宅にお伺いする出張靴磨きのご依頼を希望されます」(長谷川さん)

エグゼクティブともなれば、基本、靴の数は多いようです。靴のお手入れ頻度はどれくらいなのでしょうか?

「みなさんそれぞれにルーティンがあります。毎月定期的に出される方もいれば、年に一回、まとめて全部出すという方もいます。人それぞれライフスタイルに合わせた周期でご依頼いただきます」(長谷川さん)

頻度に関わらず、メンテナンスは欠かさないようです。ところで、エグゼクティブはどのような靴を履いているのでしょうか。

「ご自身の職業に合わせた靴選びをきちんとされているな…と思います。自己満足だけでなく、接する取引先やお客様へどのような印象を与えるかまで考えて、自分の靴を選んでいると感じています」(長谷川さん)

 

以上、靴に関わるプロにうかがった、エグゼクティブの靴事情でした。どちらのお話からも、こだわりは人一倍強いことがわかります。しかし、選ぶのはただ「高価な靴」というわけではありません。自分にもビジネスにも、最もふさわしいものを選んでいるようです。そして丁寧にメンテナンスに時間とお金をかけること、そして自ら楽しんでいることもエグゼクティブの特徴といえそうです。

木村克敏さん
一般社団法人 足と靴と健康協議会(FHA)事務局長
(きむら かつとし)現在はシューフィッターの養成講座の運営の傍ら、一般消費者への啓蒙活動の一環として講演活動等も行っている。上級シューフィッター(バチェラーオブシューフィッティング)の資格を有する。
一般社団法人 足と靴と健康協議会(FHA)
長谷川裕也さん
BOOT BLACK JAPAN 代表取締役
(はせがわ ゆうや)1984年千葉県生まれ。20歳のときに東京駅の路上で靴磨きを始め、約4年間の路上靴磨きを経て南青山・骨董通りにBrift H(株式会社BOOT BLACK JAPANが経営)を開店。目の前でパフォーマンスのように磨く靴磨きのスタイルを確立し、世界中から靴好きが集まるお店となる。2017年5月にロンドンで開催された靴磨き世界大会で優勝。
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利