Dear Gentle Readers……と、『ブリジャートン家』(Netflixで配信中)のレディ・ウィッスルダウンよろしく始めてみました。というのも、今回はちょっとしたゴシップをご紹介したいから。

箱根の温泉旅館「はつはな」での料理
箱根「はつはな」での“匂わせ”写真。

ゴシップと言っても、どなたか有名人のスキャンダルというわけではなくて、他でもない、私自身の話なのですけれど。先日約10年ぶりにひとり暮らしに戻ったいきさつはすでにコチラでご報告している通りなのですが、結婚からの同居9年、別居1年、離婚から半年経って、ようやく誰かとデートしたいな、と艶めいた気分になってきました。と言っても、50代も半ばにさしかかり、初老の恋愛をイチからスタートさせるのは至難の業。運よくちょっと素敵かもと思う男性に出会えても、デートってどこ行くんだっけ? ロマンティックな雰囲気ってどうつくるんだった? と頭の中にはハテナマークが林立。元ダンナとの暮らしは穏やかでおおよそ幸せだったけれど、私から恋愛スキルをすっかり奪ってしまっていたのでした。

そんなある日、ちょっと気になる男性と「温泉へ行こうか」という運びとなりました。温泉! 元ダン以外の男性と温泉旅行に行くなんて……最後がいつだったのか思い出せませんが、初老の男女が一歩踏み出すのにこれほどふさわしい機会もないでしょう。あまり生々しい話もナンですので、今回は随所にフィクションを交えつつ、初老カップルの温泉デートをご紹介いたします。

「はつはな」(神奈川・箱根湯本)

初老の男女ふたりが初めて行く温泉。それは距離感が大切です。あまり遠くても往復の移動で疲れるし、近すぎても非日常感が薄い。ということで軽井沢、上越、はたまた日光などから悩んだのち、今回の行先は箱根となりました。というのも、私は小田急線沿線の生まれ育ちで、箱根は幼いころから避暑に訪れていた場所。久々に男性と温泉に行くだけで緊張するのに、あまり土地勘のない場所だと疲れてしまいますからね。

箱根の温泉旅館「はつはな」の展望テラス
「はつはな」の展望テラス。むせ返るような新緑の気を浴びて、少し若返った気分に。

今回訪れたのはホテル「はつはな」。実はこちらは開業当時の1993年に当時のボーイフレンド(ちょっと年上でした)に連れてきてもらったお宿。当時はホテルタイプの温泉宿というのがまだ珍しく、お洒落に温泉を楽しめるのが素敵! こんなお宿に連れてきてくれる彼、もっと素敵! と目がハートになったことをおぼえています。

箱根の温泉旅館「はつはな」の客室
私が宿泊した「プレミアムB」タイプの客室。
箱根の温泉旅館「はつはな」の客室のテラス
広々としたテラスに専用の露天風呂が設えられています。

あれから30年……。「はつはな」は全室に専用露天風呂を備え、4つの貸し切り温泉を設けるなど、よりプライベートに、特別感を味わえるお宿として2022年夏にリニューアルされたのだとか。お部屋の専用露天風呂、それはまさに大人の温泉デートにうってつけの場所ではありませんか。

箱根の温泉旅館「はつはな」の温泉
左/深さ130cmで圧倒的な湯量が楽しめる「川音の湯」(貸し切り)。右/「ロマンティックだから一緒に入りたい」と言われたけど「ムリ!」と一蹴した「明灯の湯」(貸し切り)。

でも実はちょっと気になっていたんです。お部屋の露天風呂? 貸し切り温泉? それってつまり、互いの裸身を白日の下にさらすということですよね。私のボヨンとした下腹を見せるなんて絶対にムリ! 「見ないで。絶対に見ないで!」な~んて言いながらも結局は見せ合っちゃう……なんて、“なあなあ”な結末も容易に想像できるのが54歳の経験値。ここはきっぱりと「私は一緒にお風呂に入りません」宣言をぶちかまし、貸し切り温泉にも時間差で入ることにしました。

箱根の温泉旅館「はつはな」の露天風呂
時間により女/男湯が入れ替わる「竹の葉」。竹林を眺めながらゆっくり寝湯につかるのはとても気持ちよかった~!

で、結論から言うとこれが本当によかった。始終いちゃつきたい20代じゃなし、お風呂くらいひとりでゆっくり浸かりたいですもんね。あとね、正直言って、彼の裸が見たいわけじゃないんです。2PMのジュノやアン・ボヒョンくらい鍛え抜かれた肉体ならともかく、初老の男性の入浴シーンを見てもなぁ……(以下略)。

温泉に浸かって、ホヨンと心身がほぐれたところで、ラウンジで待ち合わせ、夕食前のアペロタイム。ここ「はつはな」のラウンジではアルコールを含むドリンクがなんとフリーフローでいただけるのです。私は「デュワーズ」のハイボールをチョイス。

箱根の温泉旅館「はつはな」のラウンジ
初老の男女の距離を縮めるのにはアルコールが必須。

続いてのディナーは館内のダイニングへ。秦野で水耕栽培された新鮮な野菜や近隣港に揚がった魚介、静岡産の金太郎マス(箱根は金太郎の生まれ故郷ですから)などなど地元産の食材豊富なコースは目にも美しく、大満足でした。グラスのシャンパーニュに始まり、ワインも1本開けて……だいぶ緊張もほぐれてきたかな。

箱根の温泉旅館「はつはな」での懐石料理
季節の食材を使った特別な懐石コースも。この日の推しは「鱧」でした。

さらに私の固くなった心身をほぐすサプライズも用意されていました。それは、お部屋で受けられるフットマッサージのトリートメント。いままで数々のホテルやリゾートのスパで施術を受けてきましたが、ゲストルーム内でやってもらったのは初めて。足裏を中心に、デコルテと頭皮への結構ハードなマッサージで、すっかり身体がふわふわになりました。

箱根の温泉旅館「はつはな」でのフットマッサージの様子
施術を担当してくれたのは、館内のリラクゼーションサロン「まほろみ」湯治セラピストさん。お上手でした!

……んなわけで一夜明け、朝食。私はお相手がいつも朝はパンを食べることを知っていたので、彼に気をつかって洋朝食をオーダーしていたのですが、「温泉旅館の朝は和朝食が良かったな」などとボヤくので軽くイラつきました。初老は互いに許せることも少なくなっていますね。人の振り見て我振りなおせ、か。

箱根の温泉旅館「はつはな」の「川音の湯」からの風景
「川音の湯」からの風景。思い出すだけで癒されます。

食後に再度温泉へ(もちろんひとりで)浸かって、チェックアウト。この後も「ポーラ美術館」や「ニコライ・バーグマン 箱根ガーデンズ」などに出かけて1泊2日の小旅行を満喫しました。え、この彼とこの先どうするか?  う~ん、どうしよう?? それはまた次の機会にて!

【施設情報】

「はつはな」
TEL:0460-85-7321(受付時間10:00~19:00)
URL:https://www.hakone-hotelhatsuhana.jp/
神奈川県足柄下郡箱根町須雲川20-1

問い合わせ先

はつはな

この記事の執筆者
女性ファッション誌や富裕層向けライフスタイル誌、グルメマガジンの編集長を歴任後、アマゾンジャパンを経て独立。得意なジャンルに食、酒、旅、ファッション、犬と馬。
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秋山 都
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秋山 都