連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える
明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介している連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、産婦人科医×スポーツドクターの新たな視点から女性の健康問題に挑む、ハイパフォーマンススポーツセンター、国立スポーツ科学センター スポーツ医学研究部門 産婦人科医の能瀬さやかさんに注目!
国立の大学病院では初の「女性アスリート外来」を開設、現在は国立スポーツ科学センターに産婦人科医として勤務しつつ、セミナーや講演に登壇するなど、啓発活動に力を入れている能瀬さんにお話しをうかがいました。
【Tokyo】産婦人科医×スポーツドクターの新たな視点から女性の健康問題に挑む
学生時代にバスケットボールに打ち込んだことから興味を抱いた「スポーツ医学」と、地域医療に尽力した父の仕事である「産婦人科学」。どちらの道を選ぶか決めきれずにいた医学部5年のときに、ふと目にした小さな記事が能瀬さんの背中を押した。「女性アスリートには無月経や骨粗鬆症が多い」。ならば、産婦人科医としてスポーツ医学に関わることもできるのでは? 産婦人科医となった能瀬さんは東大病院で研鑽を積みながら、スポーツ医学も積極的に学び続けた。そして’12年、日本のスポーツ医科学研究の中枢である国立スポーツ科学センターへ転職。まずは女性アスリート約700名の問診データをまとめて、現状を把握することから始めたが――。
「約4割が無月経や月経不順。23歳なのに一度も月経が来ていない選手もいました。低用量ピルについて正しい知識をもっていない人も多かった。とても驚きました。当時は、女性アスリートのこうした問題は産婦人科医の間でもほとんど認知されていなかったので、ここに私のやれることがあるな、と」
’14年には「女性アスリート健康支援委員会」を立ち上げ。’17年に東大病院に産婦人科医として戻ってからは、国立の大学病院では初の「女性アスリート外来」を開設し、話題を呼んだ。現在は再び国立スポーツ科学センターに産婦人科医として勤務しつつ、セミナーや講演に登壇するなど、啓発活動に力を入れる。
「トップアスリートに限ったことではないんです。部活動を頑張る10代の子にも、働き盛りの20代、30代にも、すべての女性に、月経に関して正しく理解し、自分の体を守れるようになってほしい。そのためには、やっぱり学校での教育が重要だと痛感しています。そして、子供たちに関わる大人が、男性も含めて、知識をアップデートしていくこともとても大切。これからも、女性アスリートをはじめいろんな人を巻き込んで、幅広く発信を続けていかなくてはと思っています」
◇能瀬さやかさんに質問
Q.朝起きていちばんにやることは?
5歳の子育て中ということもあり超朝型です。4時ごろには起き、まずはPCに向かってメールチェックなどひと仕事。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
娘からの「いちばん好きなのはママとパパ!」
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
娘と遊びます。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
出産後はまったく運動していないので、スポーツを始めたい。ピラティスとか。
Q.10年後の自分は何をやっている?
研修医2年目だった26歳のときにくも膜下出血を発症しました。その経験から、人間いつ死ぬかわからないと思っているので、10年後のような先のことは考えていません。今できることをやるのみ!
Q.自分を動物にたとえると?
泳ぎ続けるマグロ?
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- PHOTO :
- 望月みちか
- EDIT :
- 喜多容子・木村 晶(Precious)
- 取材・文 :
- 剣持亜弥