温泉旅行のメインは、言わずもがな“温泉”ですが、宿選びにおいて実は朝食メニューもかなり重要。慌ただしい日常では味わえない、旅館のスペシャルな朝ごはんを楽しみにしている人は多いのではないでしょうか。
名湯に癒されぐっすり快眠した翌朝、心づくしのごちそうでもてなされると、旅のフィナーレが多幸感に満ちたものに…。チェックアウト後も「本当にここに来てよかった!」という余韻にしみじみと浸れます。
温泉ジャーナリストの植竹深雪さんも、全国の湯宿を巡るなかで、趣向を凝らした珠玉の朝食に感動を覚えた経験がたびたびあるとのこと。そのなかからとっておきの6軒をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、伊豆高原にある「お宿うち山」です。
公式サイト
朝から贅沢!食通も虜にする「鮑あんかけ」で多幸感に満たされる
相模湾を見下ろす伊豆高原・大室山の麓に佇む「お宿うち山」は、約1,000坪の広大な敷地に客室数がわずか6室というおこもり宿。舌の肥えた芸能人がお忍びで通うほど食事の評価が高く、なかでも開業当時からの看板メニューである「鮑のあんかけ」は、“ここでしか食べられない究極の朝ごはん”だと植竹さんは絶賛します。
「『鮑のあんかけ』は、鮑入りの餡を土鍋で炊いたご飯にかけていただくというレアな逸品。朝から鮑というだけでも贅沢ですが、このメニューにかけるお宿さんの並々ならぬ意気込みに圧倒されます。
まず、醤油ベースの餡は伊豆名産の椎茸も入っていて、その出汁やネギのバランスも絶妙。土鍋で丁寧に炊いたご飯は五つ星マイスターのオリジナルブレンド米で、宿泊者の食べるタイミングに合わせてて炊きあがり時間を調整するというこだわりぶりです。ふっくらつやつやの土鍋ご飯は、それ単体でもおかわりしたくなってしまいそうなほど」(植竹さん)
「特製の餡は器まで熱々の状態で、食卓に運ばれてきた瞬間からグツグツ音が食欲をそそります。それを土鍋ご飯にたっぷりかけていただくと、コリコリ鮑の食感にまさにヘブン状態! 期待を上回る多福感にジャックされて、しばし言葉を失ってしまうほどでした」(植竹さん)
「こちらの朝食は、彩り豊かなサラダやだし巻き玉子、しらすといくらを添えた大根おろし、絶妙な焼き加減の鮭など、他のメニューもどれもこれもしみじみと印象に残るおいしさでボリュームもかなりあります。それでも『鮑のあんかけ』は別格のおいしさで、お腹いっぱいなのに箸が止まらない…。この一杯のために、全国から伊豆を訪れるリピーターが後を絶たないのも納得です」(植竹さん)
全室に内湯・露天風呂付き!離れの客室で心身をリセットする
全6室の客室は離れのメゾネット式で、グレードは花(111平米)、月(98平米)、雪(81平米)の3種類。全室に内湯、露天風呂を備えており、好きなときに好きなだけ温泉をひとり占めできるのも魅力です。
「大正ロマンをモチーフにしたという木造りの客室は、高級感がありつつも心がほっと安らぐ空間。日常から隔絶された静けさのなかで、さりげなく茶香炉が炊かれ、柔らかな照明が灯された室内でのんびり寛いでいるだけでも、五感から癒されます」(植竹さん)
「2階にある露天風呂は、相模湾が目の前に広がる絶景スポット。海だけでなく、天城連山や大室山も眺めることができ、自然との一体感が得られます。内湯も岩の浴槽が味わい深く風情満点。ただ温泉を提供するだけでなく、同じ入浴するなら最高の環境で…という宿のおもてなし精神の高さがうかがえます。
泉質は、アルカリ性単純温泉。肌によくなじむ優しい浴感の湯はずっと浸かっていたくなるような心地よさです。優雅な空間で誰にも気兼ねすることなく湯浴み三昧できるのは実に尊い時間で、心にも体にも十二分にエネルギーをチャージすることができました」(植竹さん)
以上、「お宿うち山」をご紹介しました。温泉付きの離れの客室で静かに寛いだり、朝から「鮑のあんかけ」で満たされた気分に浸ったりしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- お宿うち山
- 住所/静岡県伊東市大室高原2-716
客室数/全6室
料金/朝夕2食付き1名 ¥48,000(税込)~ - TEL:0557-52-0010
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)