一口に“温泉宿”といっても、そのスタイルは千差万別。温泉ジャーナリストの植竹深雪さんによれば、全国津々浦々の湯宿を巡るなかで、ときにはあっと驚くような斬新なサービスに出合うこともあるのだそう。

温泉の湯のよさは前提として、プラスアルファのおもてなしがあると、旅の思い出がよりいっそう印象深いものに…。せっかく旅に出かけるなら、とびきりの非日常体験で心身をリフレッシュしたいところです。そこで、植竹さんに“ほかにはない体験ができるユニークな温泉宿”をピックアップしていただきました。今回ご紹介するのは、北海道・定山渓(じょうざんけい)温泉にある「翠蝶館(すいちょうかん)」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

女性のニーズにとことん応える空間で至福の癒し時間を過ごす

札幌市街地から1時間弱でアクセス可能で、屈指の人気を誇る定山渓温泉。緑豊かな渓谷の湯どころにて、女性のためにプロデュースされたというユニークな宿が、今回ご紹介する「翠蝶館」です。

「翠蝶館」の外観
「翠蝶館」の外観。
「翠蝶館」のロビー
一歩足を踏み入れた瞬間、女心がくすぐられる空間。

「こちらの宿は、単に女性向けサービスやレディースプランが充実しているのではなく、正真正銘の女性専用。防犯面を考慮してか男性スタッフはいますが、ゲストは13歳以上の女性のみとターゲットを大胆に絞っています。

居心地のよさにこだわった空間、保温・保湿力にすぐれた温泉、そして、ヘルシーで見た目にも美しいお料理など、とことん女性の“欲しい”が詰まったおもてなし宿で、女子校感覚で羽を伸ばせたのは、かなり斬新な体験でした」(植竹さん)

「翠蝶館」のラウンジ
「翠蝶館」のラウンジ。

「1階のラウンジでは時間帯ごとにさまざまなドリンクやスイーツをいただけます。特に目を引いたのは、系列のスイーツ専門店から提供されているパティシエの手作りスイーツ。窓越しに北海道の自然美を眺めるゆったりした空間で、夕食前のひとときにこだわりの焼き菓子をつまんだり、スパークリングワインで喉を潤したりなど、まさに大人女性の楽園です」(植竹さん)

「翠蝶館」のごろごろスペース
「翠蝶館」のごろごろスペース。

「2階にある“ごろごろスペース”は、ありそうでなかった斬新な施設。ふかふかの絨毯が敷かれた空間に、ところどころ掘りごたつのようなくぼみがあり、自由な姿勢で寛ぐことができます。雑誌やハーブティーもあり、風呂上がりにすっぴんのまま人目を気にせず文字通りごろごろ過ごすのは至福のひととき。張り詰めた日常を送っている女性こそ、自分を思い存分甘やかしてもいいのではないでしょうか」(植竹さん)

「翠蝶館」の客室
客室では定山渓の自然美にも癒される。

内湯に露天、貸切も!湯巡り気分を満喫して体の芯から癒される

「翠蝶館」の大浴場露天風呂
重厚な雰囲気の露天風呂。
「翠蝶館」の大浴場・内湯
内湯も大きく窓がとられた開放的な空間。

「温泉は、内湯・露天風呂を備えた大浴場に貸切風呂がひとつ。大浴場は寝湯もできるゆったりとした優雅な空間です。一方、貸切風呂は檜の香るこぢんまりした浴槽で誰にも気兼ねすることなく源泉かけ流しの湯を堪能できます。さらに、徒歩5分ほどにある姉妹宿の施設も無料で利用可能。ちょっとした湯巡り気分も味わえて、温泉好きには絶好の環境だと思います」(植竹さん)

「翠蝶館」の貸切風呂
完全個室空間の貸切風呂。宿泊者は1回60分無料での利用が可能。

「泉質は、ナトリウム-塩化物温泉。しばらく浸かっているとじんわりと心地よい汗が額ににじんでくるようなよく温まる湯で、そのポカポカ感は湯上り後も持続します。肌の表面を覆う塩のヴェールが汗の蒸発を防ぐことで保湿・保湿効果が期待でき、特にこれから冷えや乾燥が気になる季節にぴったりだと思います」(植竹さん)

「翠蝶館」の岩盤浴
天然ラジウム鉱石を使用した岩盤浴も完備。
「翠蝶館」のサウナ
サウナは体に負担をかけすぎないように設計されている。

体の内側から美しく!繊細な創作和食でトータルケアを目指す

「翠蝶館」のレストラン
自然豊かな景色も楽しめるレストラン。

「夕食は、北海道の旬の食材をふんだんに使用した創作和食。“まごわやさしい(まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ、いも)”をバランスよくとることを意識した健康的なメニューで、体の内側からも自分を労わることができそうな気がします。素材のよさを引き出すように優しく味付けされた料理の数々は見た目にも美しく、おつくりひとつとっても、まるでフレンチのように華やかに盛り付けられていたのが印象的です。

なお、夕食時の飲み物はアルコールもソフトドリンクもフリーフロー。セルフサービスでスタッフに気兼ねなく、料理に合わせたお好みの一杯を嗜むことができます」(植竹さん)

「翠蝶館」の夕食メニューの一例
「まごわやさしい」を取り入れた前菜。
「翠蝶館」の夕食メニューの一例
美しく盛り付けられたおつくり。

「朝食は、おにぎり2つが付いたハーフビュッフェ。おにぎり2つのうち1つの中身は時期ごとに決まっていますが、もう1つは前日の夜までにメニューから好きなものを選びます。北海道らしさを感じさせる厳選素材やご飯のおともにぴったりな具材がメニューに並ぶ中、私はご当地食材を使った“山わさびと塩昆布”にしました。

ハイクラスな宿の朝食でおにぎりが提供されるのもちょっと斬新なのですが、日本人のソウルフードということで翠蝶館では並々ならぬこだわりがあるのだそう。米は10年連続の特A評価を獲得している北海道米ゆめぴりかでふっくらつやつや。朝食時に着席してから料理人が握ってくれて、ほんのり温かいまま出来立てを頬張れるのが格別です。具材ごとに種類を変えているという塩加減も絶妙で、おにぎりひとつひとつにも一切妥協がありません」(植竹さん)

「翠蝶館」のおにぎり
日本人のソウルフード「おにぎり」には格別のこだわりがある。

「ハーフビュッフェは有機野菜のサラダやフルーツ、ヨーグルトなど美容意識の高い女性にとってうれしい食材がずらり。徹頭徹尾、女性目線で考え尽くされたおもてなし満載の宿は、友人同士のグループ旅行にもひとり旅にもぴったりだと思います」(植竹さん)


以上、「翠蝶館」をご紹介しました。温泉に美食、スイーツにお酒…と女性の好きなものばかりを集めた極上のリラックス空間で疲れやストレスを一掃したい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先

  • 翠蝶館
  • 住所/北海道札幌市南区定山渓温泉西3-57
    客室数/全20室
    料金/朝夕2食付き 2名1室¥23,650(税込)~、
  • TEL:011-595-3330

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)