連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変えるPrecious People

明日への希望をアクションに変える方たちの活動に注目し、紹介している連載【Tomorrow Will Be Precious!】では今回、中国で人気の漢方系スキンケアコスメブランド「東辺野獣(ドンビェンイエショウ) Herbeast」でファウンダーを務めるフー・イーさんに注目!「漢方の文化を次世代へとつなげたい」と語る、フーさんにお話しをうかがいました。

フー・イーさん
スキンケアコスメブランド “東辺野獣 Herbeast” ファウンダー
(Hu Yi)南京市出身。北京大学でフランス文学を専攻し、卒業後パリへ留学。ロレアル本社に就職し、’16年にロレアルの中国本部に転勤する形で帰国。’20年に漢方や生薬を主成分とするスキンケアコスメのブランド “東辺野獣 Herbeast” を立ち上げる。ブランド名には「漢方をビーストにたとえました。ワイルドだけど、優しいイメージに」という意図がある。

最注目のスキンケアコスメブランド、漢方の文化を次世代へとつなげたい

スキンケアコスメブランド“東辺野獣 Herbeast”ファウンダーのフー・イーさん
スキンケアコスメブランド「東辺野獣 Herbeast」ファウンダーのフー・イーさん。

中国では、11月11日は「双11」というネットショッピングセールの日で、大いに盛り上がる。昨年の双11で、創業から約2年にもかかわらず、漢方系コスメ部門で売り上げ1位になったのが、フーさんが手掛ける「東辺野獣(ドンビェンイエショウ) Herbeast」だ。

パリの化粧品ブランドで働いていたフーさんと、日本で薬学を研究していたバイ・イェンジンさんが、それぞれ帰国後に知り合い「中国には漢方という歴史ある文化があるのに活用されていない」という話になったのが、ブランド誕生のきっかけに。

「まずは、霊芝の研究から始めました。免疫力を高めるとされる霊芝は、医学的には活用されていますが、そのオイルや胞子が肌にどんな効果があるのかは研究されてこなかったんです。ただ霊芝は高価で、成分を抽出する技術も難しく、1年半くらいかかったでしょうか。専門家と新しいものを生み出すのは、とても意義があることでした」

フーさんは商品企画とコンテンツ制作などを担当している。なかでもブランドブックとして制作しているZINEは、素朴なつくりながらデザインや写真にこだわり、読み応えのある冊子になっていて、上海市内の独立系書店で販売。注目を集めている。

「私自身、雑誌が好きなので。コスメと同じく、ZINEも私たちのプロダクトです」

雲南省では社会支援活動も行っている。

「わが社の製品の主成分は天然のキノコ(霊芝)で、産地は雲南省シャングリラ市。かなりの僻地で、最初に伺った際に、小学校で先生が足りず、国語と算数くらいしか学べないと知りました。そこで小さな基金を立ち上げ、廃校の校舎をリノベーションし、村の人や観光客が集えるカフェとライブラリー、子供たちの絵画教室、アーティストが滞在できる施設をつくりました。子供たちの絵は限定ギフトボックスのパッケージにしたんですよ。小さな活動ですが、次の世代へつなぐため、私たちらしいことをやっていきたいと思っています」

◇フー・イーさんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
水を飲む。
Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「インスピレーションをもらえました」
Q.急にお休みがとれたらどう過ごす?
読書。私はずっと西洋文学について勉強してきたので、読書で東洋文学の根源を知りたいと思っています。
Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
キュレーションの勉強がしたい。
Q.10年後の自分は何をやっている?
中国を代表するコスメブランドになることが目標なので、今の仕事は続けていて、同時にキュレーターとしても活動していられたらいいですね。
Q.自分を動物にたとえると?
優しいトラ。生命力に溢れ、勇気がある動物なので好きです。そして私も寅年生まれなので。

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PHOTO :
阿部ちづる
EDIT :
剣持亜弥、喜多容子 ・木村 晶(Precious)
取材 :
萩原晶子