「初売り」といえば、福袋を連想する人は多いのでは? 実は「初売り」も「福袋」も、その起源は江戸時代といわれています。今回は「初売り」に関する基礎知識のほか、AmazonやApple、楽天市場など、気になる「初売り」情報も掲載。購入計画のご参考にしてください。

【目次】

「初売り」とは?「意味」と「起源」】

「意味」

「初売り」とは、年が変わって最初に物を売り始めることを指します。通常の営業とは異なり、その年1年間の運試しの意味合いをかねた、福袋が販売されることもよくあります。また、その日に買い物をすることを「初買い(はつかい)」と呼びます。

■「起源」

日本では昔から、1月2日は「事始め(ことはじめ)」といって、新年を迎えて初めての「事」を行うのに縁起の良い日とされてきました。 書を習っている人なら「書き初め」を、楽器を習っている人なら「弾き初め」を行うのも、1月2日だったのです。長谷川貞信(初世)による『浪華(なにわ)百景之内 心斎橋通初売之景』には、商店や問屋が軒を連ねる大坂・心斎橋(しんさいばし)通りの初売りの光景が描かれています。正月2日の早朝、軒先に掲げられた提灯(ちょうちん)の灯りのもと、多くの人で賑わっています。長谷川貞信は現在の大阪府を拠点に、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した浮世絵師ですから、江戸時代後期にはすでに「初売り」が街に定着していたのですね。


2025年の初売りはいつから?】

「初売り」の日程は、各企業や店舗による違いが大きいもの。2025年の予定をチェックしておきましょう。

amazon

Amazonの初売りは「スマイルSALE」と呼ばれ、1月3日(金)9:00〜1月7日(火)23:59まで行われます。イベント期間中、合計10,000円以上の買い物を対象に、最大10%ポイント還元率がアップ。家電・ホーム用品商品はさらにお得に。キャンペーンにはエントリーが必要なので、事前にプライム会員への登録が必要です。

■Apple

Appleの初売りは、1月2日から5日まで。最高30,000円分のギフトカードなどオファーが続々。人気の機種が初売りの対象となるかは未確定(2024年12月27日現在)ですが、購入を考えている方は、要チェックです。

■楽天市場

「楽天初売り」は1月1日からスタートしています。特徴は商品数が豊富なこと。楽天市場に出店する400以上の店舗が販売する福袋や、お得に購入できる初売りアイテムが手に入ります。見ているだけでテンションが上がります!

■主要百貨店

百貨店やスーパーマーケットなどでは、「年末年始は休まず営業」から「お正月はしっかり休む」という方向に、業界全体がシフトしています。都内の大手百貨店は、2025年からはいっせいに元日はお休みになります。大丸松坂屋百貨店や髙島屋では、2025年から休業日を1日増やし、元日と2日がお休みに。いずれも20年以上ぶりの正月2連休だそうです。

その大きな理由は、従業員の働き方への配慮。考えてみれば、これも当然の配慮ですね。これらの現状から、主要百貨店の初売りは、多くは1月2日からと考えてよさそうです。大丸東京店、髙島屋、松屋銀座などの初売りは1月3日から。一方、三井アウトレットパークなど、アウトレットモールは1月1日も営業している場合が多いようです。昭和・平成と、元日から多くの人が百貨店に並び、福袋に手を伸ばす姿は新年の風物詩ともいえるものでしたが、2025年以降はそんな光景も見られなくなりそうです。

■スーパーマーケット

ライフやサミット、オーケーなどの食品スーパーは、三が日は休業という発表がありました。総合スーパー、イオンに関しては、休まず営業イトーヨーカドーは1日、2日と一部休業はありますが、ほとんどの店舗で営業します。


「福袋」など「初売り」にまつわる「雑学」】

■ 仙台藩の「仙台初売り」

日本でもっともよく知られた初売りのひとつが、「仙台初売り」でしょう。「仙台初売り」の歴史は古く、藩政時代の文化文政年間(1804〜1824年)に発行された『仙台年中行事絵巻』という書物にはすでに「2日朝早くから店の格子戸を叩いて初売り初買い…」という記述が残っており、 「仙台初売り」が仙台藩のみならず広く藩外にも知られた行事であったことがわかります。

現在でも、 仙台市内の商店街および百貨店・専門店などに受け継がれ、国内最大規模を誇る「初売り」として国内外からも注目を集めています。特筆すべきは、豪華景品。仙台商人の心意気を込めた商習慣は、公正取引委員会が限度額の特例を認めるほどの豪華さだそうですよ!

■福袋の起源は、あの老舗百貨店!

「初売り」にはつきものの「福袋」も、起源は江戸時代だったという説が有力です。日本橋の越後屋(現在の日本橋三越本店)が、冬物の売り出し時期にあわせ、1年の持ち余りの生地を袋に入れて「恵比寿袋」として販売。それが大きな評判を呼び、やがて「福袋」として定着したというものです。今では福袋も含めた新春の「初売りセール」は、小売店にとって大きなビジネスチャンスになっています。

■「福袋」のトレンドは?

もともと「福袋」は、袋に入った中身がわからないように口を閉じ、各人に選び取らせる袋でした。運試しの要素もあって、買ったほうは「何が入っているのか」ドキドキしながら開けるのが常でしたが、最近では中身が見える透明な袋に入れられていたり、インターネット上で福袋の中身の詳細を載せていたりと、ある程度中身を選べる福袋が増えています。

洋服や靴にはサイズ問題がありますし、何より「損はしたくない!」という消費者の意識がこういったトレンドをリードしたといえるでしょう。洋服以外にも、食品、家電、寝具など、さまざま。旅行や観劇など、体験型の福袋を販売するというところもあり、話題になっています。

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「一年の計は元旦にあり」。これは「物事は最初が大切で、まず計画を立ててから事に当たるべきである」という意味のことわざです。年の初めに行われる「初売り」も、「ご利用は計画的に」といきたいですね!

この記事の執筆者
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参考資料:『敬語マニュアル』(南雲堂)/『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『決定版 すぐに使える! 教養の「語彙力」3240』(西東社) :