年末年始9連休という人も多かった2025年の年明け。さらに仕事が始まったと思ったらすぐに3連休…で、なかなか仕事モードにエンジンがかからなかったのでは? ようやく通常運転となる連休明けですが、1月15日は「小正月」と呼ばれる日。さて、「小正月」ってどんな日なのでしょう。

【目次】

「小正月」とは?「読み方」や「由来」など基礎知識】

■読み方

「小正月」は「こしょうがつ」と読みます。「しょうしょうがつ」ではありませんよ。

■日付と意味

「小正月」は1月15日を中心とする新年の行事のこと。1月1日の「大正月」に対する呼称です。「十五日正月(じゅうごにちしょうがつ)」や「女正月(おんなしょうがつ)」とも言います。また、12月31日を「大晦日」と呼ぶのと同様、前夜を「十四日年越し」と言い、年越しのひとつに数えます。そしてこの「小正月」で正月行事は終了と考えるのが一般的。初詣は「小正月」までに…とも言われます。

■由来

小正月は、古代日本で満月から満月までを1か月としていたことに由来します。当時の日本人にとって満月は大変めでたいものだったため、新年最初の満月の日を正月として祝ったのだとか。そして、新暦1月15日前後に満月を迎えるため、1月15日を「小正月」としているというわけです。

■2025年のファースト満月は1月14日

「小正月」は1月15日ですが、2025年最初に満月となるのは14日の朝7時27分。日本で美しい満月が見られるのは、13日の深夜から朝方、そして14日の夜ということになりそうです。


【「小正月」にすべきことは? 行事食は?

■古いお守りや正月飾りは「どんど焼き」で

古いお守りやお札、破魔矢など神社仏閣の授与品や、門松や注連縄(しめなわ)などの正月飾りを燃やす行事を「どんど焼き」や「どんど」と言います。「どんど焼き/どんど」には、お正月に訪れた年神さまを煙とともに見送る「送り火」のような意味があるのだとか。お守りや正月飾りといった縁起物を燃やし、五穀豊穣や商売繁盛、家内安全、無病息災などを願うのです。一般的には、神社やお寺でお炊き上げしていただきます。

その起源には諸説ありますが、平安時代に宮中で行われていた「左義長(さぎちょう)」と呼ばれる行事が由来しているという説が有力です。

■「小豆粥」で無病息災を願う

小正月には、米と小豆でつくる「小豆粥」を頂きます。赤飯同様、白米と小豆の組み合わせが特別なものとされているのは、赤い色は邪気を祓うと考えられていた中国の古い風習に由来。1月7日に「七草粥」を食べ、1月15日の朝食に「小豆粥」を…というのが一般的です。

「小豆粥」の起源は古く、紀貫之の『土佐日記』や清少納言の『枕草子』にも記述があるので、平安中期には小正月に小豆粥を食べる習慣があったよう。小豆粥に餅を入れて「望粥(もちがゆ)」と、縁起を担ぐことも。

また、「小豆粥」や「小豆粥」の別称である「十五日粥」は新年の季語でもあります。

■「繭玉」「餅花」で豊作を願う

柳などの枝に、繭形にまるめた餅や団子などを多数つけた小正月の飾り物を「繭玉」や「餅花」と言います。上質な繭の出来や稲作の豊作を願う前祝いとして小正月に飾ったのが始まりですが、小正月の風物詩のひとつとなっています。

餅花

ビジネス雑談に役立つ「小正月」の雑学

■1月15日といえば…「成人の日」と「小正月」に関係あり!

かつて1月15日といえば「成人の日」でしたね。1998年に制定された「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」により、2000年以降は1月の第2月曜日を「成人の日」として国民の祝日に。いわゆるハッピーマンデー制度によって、正月休み明けにまた3連休…ということになったのです。

そもそも1月15日を「成人の日」としていたのは、平安時代以降、「小正月」に男子の「元服」(成人の儀式)が行われていたことに由来します。江戸時代以降は「元服」が庶民の間にも広がり、それが「成人の日」になったというわけです。

■別称「女正月」とは?

上でも少し触れましたが「小正月」は「女正月」とも呼ばれます。これは、年末から新年を迎える準備で忙しく働き、正月も客人の接待などで休む暇もなかった女性をねぎらうための日(正月)というのが由来。さまざまな正月の行事も終わって、中心となって動いていた女性たちもようやくひと息つける、というわけですね。

■かつて「松の内」といえば「小正月まで」だった

現在「松の内」といえば元日から1月7日までを指しますが、かつては小正月までを松の内としました。江戸時代に徳川幕府によって「松の内は1月7日まで」とされたのですが、江戸を含む関東地方以外に徹底されることはなく、今でも1月15日の小正月までを松の内とする地域は少なくありません。

■奉公人は「小正月」でようやく里帰り

商家などに奉公している使用人たちが、休みをもらえるのも「小正月」。彼らにとって、里帰りできる、つかの間の休息の日である「小正月」は、さぞかし楽しみだったでしょう。

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今回は新年気分の区切りともいえる「小正月」について解説しました。伝統行事や風習は時代とともに変化したり、地域によって異なることも少なくありませんが、豆知識程度でも知っておくと、初対面の方との会話を盛り上げるのにも役立ちますよ。

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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『和の暦手帖 二十四節気と七十二候を愉しむ 』(だいわ文庫)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA) :