伝統へのオマージュを込めつつ、進化するフランス料理を提供する、オークラ東京(The Okura Tokyo)のフランス料理「ヌーヴェル・エポック」。『フォーブス・トラベルガイド2025』では、レストラン部門の格付けにおいて「5つ星」を2年連続獲得した格式高いレストランです。

こちらの個室にて10名限定で行われる注目のイベントが、紅茶とフランス料理のペアリングランチです。

ワインではなく紅茶とフランス料理をペアリング? と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、紅茶は産地や茶葉を摘む時期などによって香りや味わいもさまざまな変化を見せます。実はワインと料理を合わせるように、紅茶を合わせることでも、より料理の味わいを際立たせることができるのだとか。

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ヌーヴェル・エポックの個室

ホテルの広報担当者がお酒に弱く、お料理とワイン以外に楽しめる組み合わせはないかという発想から始まったという紅茶×フランス料理のイベント。講師を務めるのは、紅茶コンサルタントの林原真澄氏です。

2009年にイギリス・ロンドンで紅茶の専門家としてキャリアをスタートさせた林原氏。英国紅茶会社のブランドアンバサダーとして、5つ星ホテルでの紅茶研修やセミナーなどを数多く手がけていらっしゃいます。

今回は、林原氏による紅茶のお話を伺いながら、フランス料理と共に、その奥深い味わいを堪能していきます。

実際に行われた今年2月のランチイベントに参加したPrecious.jpライターが、実食レポートで魅力をご紹介します。

オークラ東京「紅茶コンサルタント 林原 真澄氏による紅茶×フランス料理のペアリングランチ」実食レポート

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メニュー表にも仕掛けが

会場は、柔らかな光が入るヌーヴェル・エポックの個室。席につくと、目の前にはメニュー表が置かれていました。お料理3品とデザート2品の、計5品のコースメニューです。

気になるペアリングですが、メニュー表に紅茶の名前は書かれていません。キーワードだけが書かれており、ここからどのような紅茶がペアリングで登場するのかを想像しながら楽しめるようになっています。

まずは、ノンアルコールのスパークリングワインで乾杯。そしてお料理は、「始まりのお愉しみ」からスタートです。

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乾杯のシャンパンと合うアミューズ・ブッシュ

最初の一口となるアミューズ・ブッシュは、ケンサキイカと数の子、ニンジンのマリネです。乳酸発酵させたにんじんのスライスが不思議な味わい。そして旨みのアクセントにとろろ昆布の素揚げを添えて。複雑な味わいをじっくりと楽しめます。

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一瞬で心を奪われてしまいそうなビジュアル

続いてのお料理は「フォワグラのポワレにぶどうのソース 旬のフルーツとアーモンドのエキューム」です。フランス・ランド産のフォアグラのポワレ。フォアグラには少し果実みを感じるようなソースを合わせることが多いそうですが、フォン・ド・ヴォーをベースにぶどうジュースを加えて、ほんのりと甘みをプラス。

付け合わせは金柑のロースト。甘酸っぱさがアクセントに。また、香ばしくローストしたアーモンド、アマレットを使ったミルクフォームも添えられています。

フォアグラを一口頬張ると、閉じ込められた旨味が口の中で広がり、フルーツの甘みと溶け合います。金柑やアーモンド、ミルクフォームと一緒にいただくことで味わいも変化し、重厚な旨味が楽しめます。

そんなお料理と合わせる紅茶のキーワードは「リッチ・コクのある甘さ」。

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アッサムティー

登場したのはアッサムティーでした。アッサムの茶葉自体にある甘み、コクと深みがフルーティーなソースとお肉には合うのでは、ということでこちらのチョイスになったのだそう。

しっかりとお料理を味わいたいときは、よほど香りが合っていないもの以外はアッサムがおすすめ、とのこと。

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ぎゅっと海の幸の旨みを閉じ込めて

続いて、海鮮の風味が感じられる一品です。

「オマールブルーのローストとトリュフ香る海の幸のキャベツ包み ヴェルモット風味の貝のソース」です。

ヨーロッパ産のオマールブルーを使用した料理となっており、シーフードのムースのキャベツ包みが添えられています。ホタテのすり身、うなぎ、あわび、ズワイガニのほぐし身をちりめんキャベツで包み、ワインで蒸してあります。

濃厚な甲殻類を使ったソース、二枚貝出汁をベースにしたクリームソースに春菊のピューレがアクセント。さまざまな食材がぎゅっと詰め込まれているのにも関わらず、それぞれの味わいがしっかりとしていることに驚きます。

そんなお料理に合わせる紅茶のキーワードは「マスカテルアロマ・きりっとした華やかさ」。

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ダージリンティー

旨みたっぷりのお料理に合わせるのはダージリンティーです。

「どの紅茶にするか本当に迷ったんです。オマール海老ということで、海の旨みと何を合わせましょう、と。おいしさを崩してはいけないということで、ダージリンティーを少し多めで入れていただくことに終着しました」と林原氏。

ソースの柑橘が強い場合は、アールグレイでも合うとのこと。

香りからして、1杯目とはまったく違うのがわかります。キリッとした香りが海の旨みを引き立てる一杯でした。

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うつわも含め、涼やかなビジュアルが美しい

最後、デザートの前にはお口直しが。「カカオの果実のグラニテと貴醸酒のジュレ トマトのコンポートと紫蘇の香り」です。

さっぱりとしたジュレに合わせたトマトのコンポートが美味。そこに紫蘇の香りがまとわされているのですが、この組み合わせは新しさを感じつつ、とてもさわやかな味わい。お口だけでなく、鼻もリセットされるようです。会場でも、参加した皆さんから「おいしい!」と大好評でした。

ラストのデザートもとても華やか!

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こだわりが詰まった一皿

最後のデザートは「アーモンド香るクレームショコラとマンダリンのソルベ ウイキョウの花の香りを添えて」。

チョコレートの間にクリームを挟み、その下のスポンジにはギークチェッロというウイキョウのお酒をしみこませています。まわりのゼリーもウイキョウの花を使ったものなのだとか。

そして真ん中にはみかんのソルベと、フレッシュなみかん、食感の軽いカカオのスポンジを飾っています。

みかんの甘み・酸味とチョコレートの王道マリアージュが楽しめる一皿です。

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手がたっぷりとかかったアーモンドチョコレート

もう一皿、つまんでいただけるちょっとしたスイーツもそえられています。

こちらはローストしたアーモンドに、キャラメリゼをしてチョコレートをかけた一品。糖衣がけといって、砂糖を熱してキャラメルになる直前の状態にしたものをかけて、その周りにミルクチョコレート、ブラックチョコレートを二層掛けしたアーモンドチョコレートです。

ミルクチョコレートの中にはオレンジの香りを閉じ込め、カリッとした食感の中に、オレンジとアマレット、バニラの香りを順番に感じることができます。

ラストの紅茶はキーワードは「ココア、アーモンド」。チョコレートのスイーツにはぴったりなものに感じられますが……。

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フレーバーティー

あわせたのは、チョコレートの香りをまとわせたフレーバーティーでした。チョコレートとナッツ、同系統でのペアリングということで、もちろん相性は抜群。相互作用でよりカカオの香りが引き立てられるかのようでした。

それぞれのお料理とのペアリングによって、おいしさが増しており、ペアリングの深さと紅茶の可能性を実感させられる時間となったのでした。

おいしくいただく紅茶のポイントも

お料理をいただく合間には、参加されたみなさんからの質問に林原氏が回答する場面も。例えば、アフタヌーンティーとのペアリングです。

「セイボリーでさっぱりしたお料理ならダージリンを。次にしっかりめのお味のセイボリーや、スコーンと合わせてアッサム。スイーツにはアールグレイやチャイなど、香りがあるものを持ってくることが多いですね」(林原氏)。

基本的にはお好きなものを、ということですが、ベストな組み合わせをひとつ知っているだけでも楽しみ方が変わってきそうです。

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料理をいただきながら、紅茶のなりたちからおいしい紅茶の淹れ方まで、さまざまなお話をしてくれた林原氏

参加者のみなさんが興味津々、といった様子だったのはやはり紅茶の煎れ方。

「酸素をたっぷり含んだお水、つまり水道水を使います。そしてしっかりと沸騰させることが大事。茶葉の入ったカップに100℃のお湯を注いで、茶葉を動かします。

ミルクティーは、先に冷たい牛乳をカップに注ぐのがベスト。そこに熱々の紅茶を注いでください。紅茶は少し長く蒸らす、あるいは茶葉を少し多めにして、濃いめに淹れるのもいいと思います。牛乳は紅茶の量に対して20%くらいです。

なかなか外食先では難しいと思いますが、ぜひご自宅では実践してみてくださいね」(林原氏)

紅茶には軟水が向いているのだそう。日本の水道水は軟水なので、紅茶をいただくにはベストな環境なのかもしれません。ミルクティーの茶葉はアッサムか、アッサムをベースとしたイングリッシュブレックファーストがおすすめとのこと。

林原さんの紅茶にまつわるお話はとても興味深く、自宅で実践したくなるようなポイントが満載。イベントに参加したあとは、きっとご自宅でのティータイムも楽しいものとなりますよ。


2024年末と2025年2月に行われましたが、告知後まもなく完売となった人気のイベント。今年4月からは、2026年3月まで毎月1回開催予定とのこと。2025年3月12日(水)より、5~6月の予約が開始されます。

現在は、料理に紅茶を合わせるという形ですが、ヌーヴェル・エポックのシェフからは「紅茶に合わせた料理を用意してみるのもいいかもしれない」という言葉も飛び出し、今後さらなる発展の可能性が感じられます。

毎回10名限定ですので、気になる方はぜひお早めにご予約を。

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この記事の執筆者
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WRITING :
ふくだりょうこ
EDIT :
小林麻美