日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。
今回ご紹介いただくのは、山梨県西桂町のファクトリーブランド「muto(ムトウ)」が手がけたオリジナルストールです。
肌寒いときに体温調節ができ首元のアクセントにもなるストールは、これからの季節の必須アイテム。直接、肌に触れるものだからこそ質感が肝ですが、上質な天然素材で丁寧に作られた「muto」の心地よさは格別だと河井さんは話します。

「futo」で取り扱っているのは2シリーズ。シルクカシミア素材の『Frame(フレイム)』と麻素材の『Ramie(ラミー)』です。どちらも透けるほど薄い羽衣のようなストールで、長辺は2メートルの大判ながら、畳むと手のひらサイズに。『フレイム』は約80g、『ラミー』は約35gと超軽量で持ち運びもノンストレスです。
現地でのふとしたご縁から「muto」の作り手に出会い、その人柄にも惚れ込んだという河井さんに、オリジナルストールの魅力について教えていただきました。
若き兄弟が織り上げた天然素材ストールに世界的メゾンからも熱視線!
富士山の麓にて1000年以上続く織物産地として知られる山梨県西桂町。「muto」は1947年の創業以来、西桂の伝統技術を守りつつ、天然素材にこだわり抜いた唯一無二の生地作りに挑戦し続けている織物メーカーです。

「西桂町といえば、本連載でもご紹介した傘の名店『槇田商店』があるまち。実は、『muto』のストールに出会ったのもそのご縁なのです。
『槇田商店』の本店を訪問した際、社長さんから『近所にユニークなストールを作っているメーカーがあるから寄ってみない?』と誘われてうかがったところ、まぶしいばかりの笑顔で迎えてくれたのが、武藤圭亮さんと亘亮さん。創業者の孫であり、現代表の長男次男にあたる30代のふたりが、ストールについて熱く語ってくれました」(河井さん)
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「お祖父様の代には、婚礼品の寝具である夜具座布を作っていたという『muto』。ライフスタイルの変化に伴い、お父様の代に事業転換しハイブランドから注文を受けてストールのOEM製造を開始したそうです。
その事業のかたわら、自社製品で勝負したいとの思いから父子で研究を重ねて生まれたのがオリジナルのストール。紡績から企画、織り、仕上げまで全て自社で行い、髪の毛より細い極細糸で紡がれたストールは、“触ればわかる”という『muto』のモットーに違わず、頬ずりしたくなるような極上の肌ざわりです」(河井さん)


「その技術力の高さは、フランス・パリで行われる最高峰の生地見本市場、プルミエール・ヴィジョンで一流メゾンから賞賛されるほど。
これはもう世界に誇れる日本の逸品といっても過言ではないのですが、作り手である武藤ご兄弟は至って謙虚で、まだまだ『muto』を進化させたいとの飽くなき向上心にも感銘を受けました。そんなおふたりをささやかながら応援したい気持ちもあり、『futo』に入荷することに決めたのです」(河井さん)

1枚完成するまで半年超!極上ストールの緻密な製造工程をご紹介
「世界トップクラスの細さを誇る繊細な糸が織り込まれた『muto』のストールは、1日の生産数はわずか4枚。1枚が完成するまで早くても半年はかかるとのこと。その過程には、職人のなみなみならぬこだわりと情熱が注ぎ込まれています。
まず、素材の糸はストールのためだけに紡績業者に依頼して独自開発したもの。例えばシルクカシミアは、シルクとカシミアの割合、糸の撚り数なども細かく指定し、両者のいいとこどりが追求されています」(河井さん)

「天然繊維の極細糸は非常にデリケートなため、そのままでは織ることができません。そこで、水で溶ける特殊な糸を巻き付けて、天然繊維を補強するカバーリング加工が必要。補強に使った糸は、生地を織り上げた後に水洗い加工で溶かします」(河井さん)

「製織に使用しているのは、昔ながらのシャトル織機。現代的な高速織機では糸に負担がかかってしまうため、あえてスローでクラシックな機械を用いることで、空気と柔らかさをまとわせた極上の生地に仕上げられています」(河井さん)

「生地を織った後の水洗い加工は、富士山の雪解け水で! その後、脱水、プレス、検反(傷や汚れのチェック)などの工程を経て、ようやく製品にすることができるのです」(河井さん)

「このようにベースとなる生地を作るのにも何重ものプロセスをかけたストールには、『気に入った1枚をずっと使ってほしい』との思いも込められており、何回でも利用可能な無料の補修サービスも実施しているとのこと。それもまた大きな魅力のひとつです」(河井さん)

シルクカシミア or ラミー?首元を華やかに彩るストールをお好みで!
■1:優美なシルクカシミア素材の『Frame(フレイム)』
超薄手ながらカシミアの細かい繊維が空気を閉じ込め、ほんのりとしたぬくもりを授ける『フレイム』は、美しい光沢感でフォーマルなシーンにもマッチ。エレガントなファッションを好む方にもおすすめです。

■2:極薄の麻素材が新鮮な『Ramie(ラミー)』
麻ならではのさらっとした質感は残しながらも、ごわつかずふわりとした肌当たりが心地いい『ラミー』。カラー展開も豊富なので、シックからカジュアルまで多彩なスタイルに対応します。

今回は、「muto」のオリジナルストールをご紹介しました。ほかにはないものを求めて素材から丁寧に作り上げた抜群の軽さと肌触り、シンプルだからこそタイムレスに愛用できる1枚を、この春大切な人へ贈るギフトに選んでみてはいかがでしょうか?
※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)