「貯え」ってなんと読む?「ちょえ」ではありませんよ!
明日・3月16日は『財務の日』です。316(ざいむ)の語呂合わせと、例年の所得税確定申告の期限日の翌日となることから(令和7年は15日が週末にかかることから申告期限日は3月17日)財務の重要性をアピールする記念日です。
「財」など、金銭に関連する漢字には金偏(かねへん)より貝偏(かいへん)の字が多いですが、これは古代、金銭の代わりに貝が使用されていたことに由来します。本日は「貝偏の漢字」の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「貯え」ってなんと読む?
「貯え」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「集め、とっておいたものや、とっておいた金銭」という意味です。
<使用例>
「仕事がフリーランスなので、もしもの病気に備えて、1年暮らせる程度の貯えは残しています」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 貯え(たくわ-え) です。

「蓄え」という表記もございますが、こちらは食物など、金銭以外のものも包括するイメージなのに対し、「貯え」という表記ですと、この字が「貯金」という熟語に使われるように、金銭に直結するイメージですね。
さて2問目にまいりましょう。
【問題2】「賂い」ってなんと読む?
「賂い」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「礼として贈る金品」「便宜を図ってもらうために贈る、不正な金品。賄賂」という意味です。
<使用例>
「先方のもったいつけた言い方は、暗に賂いを要求しているのではないでしょうか?」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 賂い(まいな-い) です。

「賂」は、「貝(お金)」を「各」つまり関係各位、各(おのおの)に配る…というイメージで、字の意味そのものが「賄賂(わいろ)」を意味するという、なかなか強烈な漢字です。「賂(ロ)」という音読みに関しては常用漢字の範疇で、「賄賂(わいろ)」の「賄」のほうの訓読みは、「まかな(う)」と、「賂」と同じく「まいな(う)」がございます。
強烈な漢字、と書きましたが、もしかして現代の「賄賂と言えば汚職」という感覚によるものかもしれませんね。昔昔の商取引の形態に思いを馳せれば、新たな便宜を図ってもらうための「賂い」は、必需の金品だったかもしれません。現代の手土産のように、「賂い」のセンスを問われるシーンもあったかもしれませんね。
「財」に始まり、本日「貯」「賄」「賂」と4つの「貝偏の漢字」が登場しましたが、人間のいとなみの世俗的な面を内包した字が多く、興味深いですね。
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本日は、3月16日『財務の日』にちなんで、
・貯え(たくわ-え)
・賂い(まいな-い)
の読み方、言葉の背景などについておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱