中国の故事に由来するものも多いのですが、知れば知るほどおもしろい四字熟語。今回はあまたある四字熟語のなかから春に使いやすく、字面も意味もかっこいいものを厳選。その使い方と共にさくっとご紹介します。
【目次】
【風光明媚/ふうこうめいび】
■意味・由来
自然の眺めが清らかで美しいこと。また、そのさま。「風光」は自然の眺めや景色、「明媚」は清らかで美しい様子を表します。
■使い方
・風光明媚な場所
・風光明媚に目が洗われる
「風光」を「風向」、「明媚」を「明眉」と間違えやすいのでご注意を!
【山紫水明/さんしすいめい】
■意味・由来
山水(山と川、その自然)の風景が清浄で美しいこと。日の光のなかで山は紫にかすみ、川は澄みきって美しいという意味から。
■使い方
・山紫水明の地に遊ぶ
・山紫水明の眺めに飽きることを知らない
・展望台からはまさに山紫水明が広がっていた
山と川の自然の美しさを指す四字熟語なので、海の風景には使いません。
【一望無垠/いちぼうむぎん】
■意味・由来
ひと目ではるか遠くまで限りなく見渡せること。また、そのような美しい景色のたとえ。「無限」ではなく、「無垠」です。漢字の間違いにご注意を。
■使い方・類語
・一望無垠の景色
・息を呑む一望無垠の展望
【桜花爛漫/おうからんまん】
■意味・由来
満開の桜の花が、見事に咲き乱れているさま。また、非常に明るく華やかなさまを言います。
■使い方
・桜花爛漫たる折、いかがお過ごしですか
・週末は桜花爛漫の行楽日和だ
【春和景明/しゅんわけいめい】
■意味・由来
春の日の穏やかで光の明るいさま。穏やかで明るい春の陽気のこと。「春和」は春の和らいだ様子を、「景」は日差しや日光という意味。「はるはやわらぎ けいはあきらかなり」と、訓読みの響きも美しいですね。
■使い方
・春和景明の候、心躍る季節になりました
・寝覚めのよい春和景明の朝だ
【晴好雨奇/せいこううき】
■意味・由来
晴天でも雨天でも素晴しい景色をいいます。晴れた日が美しいのはもとより、雨が降るなかでも趣があって素晴しいこと。「晴好」を「晴耕雨読」の「晴耕」と間違えないように。「奇」はここでは素晴らしいという意味で使われています。また、「雨奇晴好」とも言います。
■使い方
・晴好雨奇の眺め
・趣のある晴好雨奇の眺望
【雪月風花/せつげつふうか】
■意味・由来
四季折々の自然の美しい景色のこと。また、そういう景色を眺めながら、詩や歌をつくったりする風流なさまをいいます。四季折々の自然美の代表的なものとして、冬の雪、秋の月、夏の風、春の花を指した言葉。「風花雪月」ともいいます。
■使い方
・古くから雪月風花は画題として描かれてきました
・雪月風花を楽しめるのも、美しい自然が四季折々の姿を見せるからだ
【春花秋月/しゅんかしゅうげつ】
■意味・由来
春に咲き乱れるいきいきとした花々や、秋の夜空にかかる名月の澄んだ美しさを言います。「春の花」も「秋の月」も、四季を通じて最も美しいとされることから生まれた四字熟語です。
■使い方
・春花秋月を愛でる
・容姿も内面も春花秋月のような美しい人
【落英繽紛/らくえいひんぷん】
■意味・由来
花びらがはらはらと乱れ散るさま。「英」は花や花びらを表し、「落英」で花びらが乱れ散るさまや散った花びらをいいます。「繽(ひん)」は多く盛んなさま、「繽紛」は花の乱れ散るさまを表します。「落花繽紛(らっかひんぷん)」も同義です。
■使い方
・落英繽紛たる春の景色
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今回は、春に使える美しい自然を表した四字熟語をご紹介しました。日常会話ではあまり使われない言葉でも、美しい景色を前に浮かんできたら素敵ですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『新明解四字熟語辞典』(三省堂)/『四字熟語辞典』(学研)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『とっさの日本語便利帳』(朝日新聞出版社) :