『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。

今回からは番外編的に、松田元太さん主演のドラマ『人事の人見』(フジテレビ系・毎週火曜21:00~)に出演する鈴木保奈美さんの、キャリアスタイルをチェック! 長らく保奈美さんのスタイリングを手がけ、本作にも携わっている犬走さんがこだわったポイントとは? まずは4月8日(火)放送の第1話で登場したコーディネートをご紹介します。

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)『Precious』本誌をはじめとする数々の女性誌、テレビ、広告など多彩な分野で活躍。女優のスタイリングも手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目されている。

第1話で注目を集めたジャケット&スーツのブランドは?

“人事部”に焦点を当てた痛快オフィスエンターテインメント『人事の人見』での保奈美さんの役どころは、松田元太さん演じる人見 廉が勤める会社の人事部長・平田美和。第1話では3パターンのコーディネートを披露していますが、なかでも印象的だったのは、最初に登場したジャケット&スカートのスタイリングです。

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ジャケットのインナーは白シャツ。ネクタイをゆるめに締め、程よくマスキュリンなムードを漂わせて。(C)フジテレビ

「人事部長、というと、お堅いスーツスタイルというイメージですよね。でも、文房具メーカーということで、もう少しソフトなイメージでもいいんじゃないかと考え、今回の平田美和は基本的にプレッピーなテイストでスタイリングしていくことにしました」(犬走さん)

そこでセレクトしたのが、アメリカ・ニューヨーク発のラグジュアリーメゾン「トム ブラウン」。

「美和は役員と部下の間に挟まれ、どちらの意見も尊重するあまりに優柔不断になってしまう“悩める人事部長”。美和の出自までは設定されていませんが、“育ちがよくて知的なお嬢さま”という女性像を思い描きました。そんな美和なので、東海岸らしいプレッピーなスタイルをモダンに昇華させたこのメゾンを好みそうだなと」(犬走さん)

この春、新鮮に映るジャケットスタイル。今回の着こなしのポイントを解説していただきましょう!

白シャツはノーアイロンで、ボタンダウンを外して抜け感&こなれ感を

ジャケット&スカートのほか、シャツ、ネクタイ、シューズすべて「トム ブラウン」でトータルコーディネート。(C)フジテレビ

伝統的なシルエットを基調に、モダンなエッセンスを加味したテーラリングで知られる「トム ブラウン」。メンズウエアにインスピレーションを得たシルエットは、犬走さんご自身も好きなテイストだそう。

「プリーツスカートにシャツを合わせるスタイルを保奈美さんから提案されたこともありましたし、保奈美さんはネクタイが似合うので、迷わずこのスタイリングに。シャツはボタンダウンなのですが襟のボタンは留めず、少し抜け感というかこなれ感を演出しました」(犬走さん)

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前田敦子さん演じる真野直己に詰め寄られるシーンで目を引いた腕時計は、「カルティエ」の『バロン ブルー ドゥ カルティエ』。(C)フジテレビ

オンエアではあまり映らなかったものの、一見シンプルながら凝ったつくりのスカートも「トム ブラウン」の真骨頂です。

「前後差があるスカートの内側には、メゾンのシグネチャーであるトリコロールテープがさりげなくあしらわれいるのがポイント。さらに見えないながら裏地もトリコロールで、しかもシルク素材なんです」(犬走さん)

このドラマのスタイリングで「トム ブラウン」の魅力を再発見したという犬走さん。

「例えば手持ちのシングルのジャケットでも、トラッドテイストのシャツやネクタイを合わせれば、また違った着こなしを楽しめるはず。これからも美和のコーディネートのベースは、モダンで少しアヴァンギャルドなプレッピースタイルでいくつもりで、私自身楽しみながらスタイリングしています」(犬走さん)


今回は、鈴木保奈美さんが出演するドラマ『人事の人見』の第1話で犬走さんが手掛けたスタイリングをご紹介しました。ドラマを見逃してしまった方はもちろん、もう一度保奈美さんの着こなしを確認したい方は、ぜひ配信でご覧ください!

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この記事の執筆者
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PHOTO :
黒石あみ(静物/小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)