「褐色」の「かっしょく」以外の、伝統的な読み方とは?
明日・5月14日は『種痘記念日』です。1796年のこの日、英国の医学者ジェンナーが、世界で初めて、種痘の接種実験を行い、これが成功したことによって、ワクチン接種による感染症予防の基礎ができました。ということで本日は「感染症」の「染」という字をキーワードにした日本語クイズをお送りします。
【問題1】「褐色」の意外な読み方とは?
「褐色」の、藍染による色味を指す、伝統的な読み方をお答えください。
ヒント:一般に黒ずんだ茶色を指す「かっしょく」という読み方ではありません。
<使用例>
「褐色は、縁起を担いで、戦場で着る鎧(よろい)の一部にも、よく使われました」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 褐色(かちいろ) です。

日本では、昔「褐」が「カチ」と読まれており、「かちいろ」と書いて「褐色」という色名は平安時代から使われており、「勝ち」に通じる色として武家にも好まれたことから鎌倉時代以降も、色名として長く残りました。藍染によって染められる、暗い灰みのある青紫系の色を指します。
【問題2】「葡萄染」ってなんと読む?
日本の伝統的な色名「葡萄染」の正しい読み方をお答えください。画像の色味です。
ヒント:山葡萄の昔の呼称が「葡萄(○○)」の読み方として用いられています。
<使用例>
「葡萄染って、シーフードで染めた、ってわけじゃないのね」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 葡萄染(えびぞめ) です。

むかし、山葡萄を「えび」と呼んだことから、山葡萄の実のようなこの色は「葡萄染(えびぞめ)」「葡萄色(えびいろ)」といわれます。和の色ならではの読み方ですが、現代でも和装や和小物の世界では、そのまま使われております。
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本日は、5月14日『種痘記念日』にちなんで、「染」をキーワードに、
・褐色(かちいろ)
・葡萄染(えびぞめ)
の読み方、言葉の背景をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/日本経済新聞ホームページ/国立国会図書館x/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱