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「ドタキャン詐欺」とは?】

最近ニュースなどでよく見聞きするのが「ドタキャン詐欺」飲食店や宿泊施設などでの予約を直前にキャンセルし、相手に被害を被らせる――なんていう許されざる愉快犯も今や序の口。最近はさらに悪質化していて、飲食店側に事前に高級ワインなどの代金を立て替えさせ、その代金を受け取ってドロン…といった、金銭を得ることを目的とした犯罪も増えています。実際にあった事例を挙げてみましょう。

6月24日、富山県のある飲食店に、シラカワと名乗る男から「明日6名で」と予約が入ります。医師仲間の集まりの会食をしたく、ひとり1万5000円ぐらいのコースを申し込みたいとのことだったとか。

メニューのやり取りなどをしたいからと、シラカワ氏と店主の間でLINEの交換がなされます。会食当日の午後3時ごろ、シラカワ氏からLINEで高級ワインのシャトーブリオンを4本用意して欲しいとの連絡が。店には在庫がないと伝えたところ、シラカワ氏から酒店を指名され、急ぎ入金して仕入れて欲しいとのこと。

店主からしてみれば、今まで取引のない酒店だったことやLINEでの急な依頼など、あとから考えるとおかしな点はいくつもあったそうですが、開店準備や会食の仕込みに追われていた店主には冷静な判断ができず、指定された口座に1本24万円、合計96万円もの大金を振り込んでしまいます。

あとは…お分かりですね。店にその6名は現れず、シラカワ氏とは音信不通に、もちろん振り込んだ96万円も戻ってきません。6名分の食材費なども含め、店側の被害は100万円ほどになりました。

このような悪質な「ドタキャン詐欺」には、「期限が迫っているという焦りから冷静な判断を欠く状況」をつくり、「お客さまに喜んでもらいたい」という店側の善意につけ込み、「LINEなど秘匿性の高い手段を用いる」というパターンが見られます。


「ドタキャン」の「意味」「由来」】

■意味

「ドタキャン」とは、ある事柄が行われる直前にキャンセルすること。約束や契約が執行される直前のギリギリのタイミングで反故にすることを表します。

■由来

「ドタ」は土壇場を、「キャン」はキャンセルを略したものです。「土壇場になってキャンセルすること」を「ドタキャン」というのです。


ドタキャンの「基準」は?ドタキャンとみなされるタイミング

では、何日前からが「ドタキャン」とみなされるのでしょうか。ケースバイケースではありますが、目安を考えてみましょう。

■クライアントとの打ち合わせ

相手との関係によって異なりますが、親しい仲、付き合いが長い仲であっても、ビジネス上でのドタキャンは最大限避けたいもの。忙しい時期になんとか時間をつくった場合や、複数人のスケジュールを都合した約束の場合、1週間前でも「ドタキャンされた」と感じる人はいるかもしれません。

仕事上での日時に関する約束ごとの場合は、代役を立てるとか、資料などを作成してフォローするなどして、できる限りキャンセルは避けたいもの。事情を説明し、日時を変更するか、代役を立てて決行するか、先方に委ねる姿勢も大切です。

■社内でのミーティング

当日はもちろんですが、前日でもやはり「ドタキャン」とみなされるのではないでしょうか。身内にはつい甘えてしまいがちですが、時間を都合し合ってミーティングの日時を決めているわけですから、「社内でのドタキャン」も極力避けなくてはなりません。

■友人との会食

集合時間と場所を決めただけで落ち合ってから「どこ行く?」というようなゆる~い約束の場合は、当日の「ごめん!」以外はドタキャンではない、という認識の人が多いかもしれませんね。とはいえそれも、友人や家族といったお互いをよく知る仲であれば…です。

レストランでコース料理を予約しているといったケースでは、キャンセル料が発生する時点から「ドタキャン」とみなされるかも。1週間前から20%、2日前で50%、当日キャンセルは100%…という具合に、キャンセル料の割合に比例して「ドタキャンされたことでのイライラ」は大きくなるでしょう。


ビジネスでドタキャンしなければいけない場合の連絡マナー

「誠意」と「対応」が必須ですが、ビジネスマナーの基本にのっとって考えれば自ずとわかるはず。改めてチェックしてみましょう。

■メールやSNSのみの連絡はNG

突発的なやむを得ない事情で前日キャンセル、しかしすでに夜遅くであったり、食事の時間帯、子どもの世話に忙しい時間など、連絡しにくい時間はあるものです。「電話したら迷惑だろう」とメールやSNSでの連絡で済ませたいところですが、これらは「相手にいつ伝わるかわからない」連絡ツールです。急を要する場合は確実に伝わる電話という手段をとるのが賢明。たとえ相手が電話に出なくても、着信履歴が残れば最低限の誠意は伝わるのでは? そのうえで、メールやSNSなど、あらゆる手段を使って連絡するのが大人のマナーです。

■理由を明らかにする

なぜドタキャンが発生することになってしまったのか、その理由を明らかにすべきです。「大変申し訳ございませんが、明日のお打ち合わせの都合がつかなくなってしまいましたので、お約束を変更していただきたく存じます」だけでは、いくら丁寧な物言いでも相手は「なぜ?」ともやもやするはず。取り急ぎ「体調不良」や「準備不足」「緊急トラブル」など、詳細を明かさずとも約束を反故にする理由(それが相手にとって納得のいくものではないにしても)を伝え、後日改めて謝意とともに理由を伝えるべきです。

■可能なら別日の提案をする

ドタキャンの理由にもよりますが、できれば予定変更の提案をしたいもの。例文を参考にしてください。

・2、3日で体調も快方すると思いますので、金曜日の午後か、週明け月曜か火曜日のご都合はいかがでしょうか。

・2日後にサンプルが届くと連絡がありました。しあさって以降でご都合のよろしい日時をご提示いただけますでしょうか。

・現時点でご提案できる代替日がございません。明日改めてご連絡申し上げますので、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。


ドタキャンされたときの対応マナー

相手との関係性に関わらず、ドタキャンは気持ちのいいものではありません。ドタキャンされる人はもちろん、やむを得ずしてしまう側も心は痛い…と思いたい! ドタキャン本人の誠意が感じられる場合は「そういうことはこちらにも起こりえるもの」と思いましょう。ムカついたとしても、相手を責めたり連絡を無視するのは大人げありません。

■承知の旨を伝える

■代替日時を提案する

■やむを得ない事情を理解したら、労いや慰みの言葉をかける

ただし「ドタキャン常習犯」という人もいるものです。そういう人は約束事に関する想像力が足りず、コミュニケーション能力が低いのです。よい関係が築ける相手ではないので早々に見切りをつけるか、困っているという事実を相手側の上長などに申告してもよいのでは?

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「ドタキャン」はされてもしてもイヤなものですが、やむを得ないことは起こるもの。要は対応・対処の仕方が肝心です。言いだしにくいことほど「素早く」「端的に」「確実に」伝えるべきですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社) :