【目次】

【「ハットの日」とは?由来】

8月10日は「ハットの日」です。この記念日は全日本帽子協会(現・日本帽子協会)が制定しました。日付の由来は、帽子の一種である「ハッ(8)ト(10)」の語呂合わせから。覚えやすいですね!


【ビジネス雑談に役立つ「帽子」の雑学】

■世界の「帽子のはじまり」

帽子の起源は古く、紀元前4000年ごろの古代エジプト時代には、すでに王さまが王冠を、庶民は頭巾をかぶっていたことが、遺跡調査で判明しています。ほかにも、古代エジプトの人々は髪を剃った頭にかつらをかぶるのを好んでいたとか。このかつらは人間の毛髪や、亜麻、ヤシの繊維などでつくられ、蜜蝋で頭に固定していたそうです!

また、古代ギリシャでは、小さなクラウンにブリム(つば)のついた「ペタソス」という名の頭に被るものが誕生しており、一般的にはこの「ペタソス」が現代の帽子のルーツだとされています。そして、古代ギリシャでは、「ペタソス」のほかにもキャップ風のものやベレー風の帽子も登場しています。

■日本人が帽子を被るようになったのはいつ?

日本でも、帽子らしきものを被っている埴輪(はにわ)が発見されており、弥生時代にはすでに帽子の前身となるものが存在していたとされています。『古事記』や『日本書紀』にも、冠や笠(かさ)や作笠(かさぬい)といった語が記載され、平安朝以降には、烏帽子(えぼし)や、頭巾(ずきん)などが被られていました。ただし、日本ではこれらを「帽子」とは呼ばず、のちに外国からやってきた被り物に限って「帽子」と呼んでいました。

日本人が洋風の帽子を初めて目にしたのは、安土桃山時代。織田信長などの戦国大名が天下を巡り戦っていたときだといわれています。フランシスコ・ザビエルなどのキリシタン宣教師が、西洋風の烏帽子をかぶって渡来してきたのです。当時は南蛮笠、南蛮頭巾などと呼ばれており、「自分たちとは違う文化の人たちもの」という距離感でしたが、海外への関心のが高かった織田信長が、ビロードのマントに西洋帽子を着用したことから、人々の関心が徐々に高まっていきました。

とはいえ、当時の日本はいわゆる「ちょんまげ」の時代。帽子を被るには適さないヘアスタイルです。そのため、本格的に帽子が普及しだすのは、1871(明治4)年の「断髪令」以降のこと。明治時代の文明開化の象徴として、帽子が広く被られるようになりました。

■実はこんなに多い! 帽子の種類

ハットは帽子の種類のひとつで、全体にブリムのある帽子を「ハット[hat]」、前面部分だけに庇(ひさし)状のブリムがついた帽子を「キャップ[cap]」と呼びます。細かな分類をご紹介しましょう。

布帛製品
【ベビー】・キャスケット・フード・ボンネ
【子ども】・キャップ・キャスケット・チューリップ・ベレー帽・メトロ帽(丸みを帯びたトップとステッチで飾られたツバが特徴。幼稚園などの制服に用いられることも多い)
【ヤング】・ウエスタンハット・キャップ・キャスケット・サハリ(アウトドアに適した機能性がある帽子)・チューリップ・ダウン(ダウン素材の帽子)・中折れ・ハンチング・ブーニーハット(広くてかたいツバ、軽量なアウトドアに適した帽子。主に迷彩柄)・マリンハット・ポークパイハット(円筒型の平らなトップ、上向きカールした狭いツバが特徴)・ワークキャプ
【婦人】・キャスケット・キャペリン(丸いトップと広いツバが特徴。いわゆる女優帽)・クロッシェ・ターバン・ダウン・チューリップ・バイザー・ハイバック(ツバが短く、うしろのカーブがカールされているのが特徴)・バケットハット・セーラーハット
【紳士】・キャップ・アルペン・カーボーイハット・中折れ・ハンチング・チロリアン(オーストリアのチロル地方の伝統的な帽子で飾り紐や羽飾りがあり、登山帽として人気)

ニット製品
 ・オスロ(すそが折り返され、ツバがついたニット帽)・正ちゃん帽(帽子のてっぺんにポンポンがついているニット帽)・シャロット(肌触りのよい医療用帽子)・目出し帽・ワッチ(折り返しのあるニット帽)

メーカーや小売店などで、独自に名称を付けけたり、組み合わせたりして呼ぶ場合もあり、かなり複雑です。

■帽子のマナー

男性の場合は、屋外でも人と挨拶するときや女性と話をするときには、帽子を取るのがマナーです。一方で女性は、「帽子も髪飾りの一部」と見なされるのため、原則的には室内でも被ったままでいいとされています。とはいえ、ツバの大きい帽子はもともと日除け用のもの。ですから、室内では用いません。また、映画館、劇場など、周囲の邪魔になるところでは、帽子を取るのがエチケットです。お忘れなく!

■帽子選びのポイントは?

 自分に似合う帽子をセレクトするためのキーワードは「クラウン」です。クラウンとは、帽子の山の部分のこと。「クラウンが顔のかたちと同じようなデザイン」を選ぶと、失敗を防げます。

たとえば、丸顔の人が欠点を隠そうと角張ったものを被ると、ますます丸さを強調することに。基本的には、丸顔の人は丸いクラウンを、角張った人は角張ったクラウンを選ぶといいですよ。

また、顔の大きい人や丸顔の人は、帽子は似合わない…と敬遠しがち。ですが、帽子は顔をすっきりと、シャープに見せるアイテムでもあります。

たとえば、顔の大きい人は、クラウンの横幅が顔の幅より広いものを被れば、頬がほっそり見えます。また、顔の小さい人は、クラウンの横幅の狭いものを被れば、頬が豊かに見えますよ。

とはいえ、結局、好きなデザインの帽子、被ったときに自分が楽しい気持ちになる帽子がいちばんです。

■帽子にまつわるほかの記念日は?

・イエローハット(黄色い帽子)の日  
8月10日は「イエローハット(黄色い帽子)の日  」でもあります。こちらは、カー用品などの販売を手がける株式会社イエローハットが制定した記念日。同社の社名は通学時に児童が交通事故にあわないように被る「黄色い帽子」に由来します。夏休みやお盆で交通量の増えるこの時期、交通安全への願いを込めて制定されました。

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連日猛暑が続いています。夏季休暇など、プライベートでも外出する機会が多くなるかもしれませんね。紫外線対策は万全ですか? ここ数年、男性の間にも日傘の流行は波及していますが、暑い日にはUVカットはもちろん、ひんやり接触冷感タイプの帽子も人気です。帽子を被るだけで、体感温度が数度下がるともいわれていますよ。熱中症対策のひとつとして、活用してみてはいかがでしょう。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:東京帽子協会(https://www.boushi.or.jp) /京都トミヤ帽子店(https://www.kyoto-wel.com/page/shop/S81289/images/knowledge/) :