1993年に、イタリアを代表する繊維産業地区であるウンブリア州ペルージャで創業した「ロレーナ アントニアッツィ(Lorena Antoniazzi)」。
上質の素材を用いたイタリア伝統のクラフトマンシップと最先端技術が融合し、さらに今の時代に求められるサステイナビリティも兼ね備えたエレガントなウエアが高く評価され、2025年秋から本格的に日本デビューした最注目ブランドです。
そんな「ロレーナ アントニアッツィ」の魅力を知るべく、自身の名をブランド名に掲げているデザイナーのロレーナさんにインタビュー。日本に対する想いなど、プライベートな側面からもお話を伺うことができました。
サステイナビリティは単なる流行ではなく、根本的な価値を意味するもの
──「ロレーナ アントニアッツィ」を初めて知る人たちに伝えたい、ブランドの魅力について教えてください。
「ロレーナ アントニアッツィ」は、最高品質の職人技、100%メイド・イン・イタリー、そして先進的な技術でコレクションを発表しています。なかでもウンブリアの伝統遺産であるニットウエアの芸術性を称え、その職人技術を保存すると共に現代的なアプローチを加えている点が特徴です。
カシミア、シルク、アルパカなどの特別な糸で編まれたケーブルニットや、ベストセラーのジョガーパンツと合わせて、エレガントでモダンなスタイルを楽しんでいただければと思います。
また、2013年に導入したすべての製品に付けられているQRコードも、特許を取得した革新的な取り組みです。

スマートフォンで読み取ることで、原材料から最終製品に至るまでのすべての生産過程と場所を知ることができ、私たちの製品が100%メイド・イン・イタリーであることを証明するものです。
──そのような徹底したトレーサビリティを導入した契機は何だったのでしょうか?
2013年、イタリアでは生産拠点を労働コストの低い国々に移す「デローカリゼーション」が急激に増加しました。そのような状況のなかで、私の夫であり会社の社長であるジャンルーカ・ミラバッシは、反対の選択をしました。
それは、生産拠点の移転ではなく、ウンブリア地方の繊維業界に投資し、特に若者の教育に力を入れるというものでした。このヴィジョンから生まれたのがQRコードによる追跡システムの開発・導入なのです。
また、過去5年間、私の取り組みは主にサステイナビリティに焦点を当てており、会社の施設の改修から始まり、昨年には「No Season」というコレクションを発表しました。
自然の循環的なエッセンスと永遠の再生にインスピレーションを得たクリエイションで、素材の無駄を大幅に削減するというより意識的な生産を可能にし、使用するすべての生地には特定の認証が付いています。私たちにとって、サステイナビリティは単なる流行ではなく、根本的な価値を意味しているのです。
繊細なカラーパレットが素材感を引き立てる最新コレクション
──今シーズンのコレクションを代表するスタイルについて教えてください。
2025年秋冬の新コレクションを最もよく表現しているのは、クラシックをエレガントかつ現代的に解釈したスタイルです。

例えば、無駄をそぎ落としつつも洗練されたラインのウール混のダブルロングコートと、上質なウール混のチェック柄梳毛生地で仕立てたテーラードスーツのコーディネート。そこに、爽やかさと明るさをもたらすライトブルーのポプリンシャツを合わせることで、厳格さと女性らしさの調和が生まれます。
さらに、着こなしの完成度を高めるポイントとなっているのが、薄手のハイネックニット。ニットはブランドのアイデンティティと技術力の象徴であり、「ロレーナ アントニアッツィ」の装いに欠かせない要素です。
──今後、ブランドをどのように成長させたいですか?
ブランドの未来に対するヴィジョンは、私たちのルーツに忠実でありながら、革新を続けることです。ブランドを特徴づける職人技と培ってきたスタイルをさらに活かしていきます。それと同時に、私たちはターゲットを絞った小売ネットワークの拡大を目指しており、モノブランドストアや選ばれたパートナーシップを通じて主要市場での存在感を強化していきます。
もちろんそれらすべての中心には常に製品があり、品質、素材、フィット感、サステイナビリティの面で継続的な改善やアップデートを続けていきます。なぜなら、私たちにとって卓越性は決してゴールではなく、常に進行中のプロセスだからです。
プライベートも大切にしてきたからこそ愛と信頼に満ちた家族経営が実現
──2人の息子さんをもつ母として、ロレーナさんが大切にしていることは何ですか?
いつも日々、家族のために質の高い時間を作ることを大切にしています。一緒にスポーツを楽しむこともそのひとつです。例えば冬にはスキーをし、子供たちが競技者として参加した大会にもずっと同行してきました。

──日本に対してはどのような印象をもっていらっしゃいますか?
私たち家族は日本が大好きです。なぜなら、そこに住む人々の考え方は常に先進的で現代的だからです。例えば、建築においてもそうです。私はデザインに熱中しているので、特にその点に魅力を感じています。

私はずっと「和」という概念に魅了されてきました。この言葉は調和とバランスを象徴しており、私のコレクションにおいてもしばしば参考にするものです。
──イタリアを旅したい人には、どこをおすすめされますか?
ぜひ、私たちの故郷であるウンブリアを訪れてみてください。ユネスコ世界遺産に登録されたアッシジや、ペルージャのエトルリア都市など、「ロレーナ アントニアッツィ」の2025年春夏と秋冬のキャンペーンの舞台となった場所は、ブランドのクリエイションに対する地元の影響を感じるのにも最適なスポットです。
以上、「ロレーナ アントニアッツィ」デザイナーを務めるロレーナさんのインタビューをお届けしました。
上質なニットウエアを中心とした、リラクシーでラグジュアリーな「ロレーナ アントニアッツィ」のスタイルは、成熟した大人の日常を美しく演出してくれます。秋冬のワードローブに、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 谷 花生