「破戒」の反対語・・・なんでしょう?
明日、8月22日は、明治時代の文豪・島崎藤村の忌日『藤村忌』です。代表作である『破戒』は、近年にも映画化され、詩人として作詞した『椰子の実』『千曲川旅情のうた』などは現在まで歌い継がれていますね。本日は「破」「戒」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「破顔(はがん)」ってどういう意味?
「破顔」という日本語の意味として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:苦悶すること
2:ほほえむこと
3:恥をかかされること

さて、正解は?
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正解は… 2:ほほえむこと です。

「破顔(はがん)」は、「表情が緩むこと。顔をほころばせること=微笑むこと」を表現した言葉です。「破」という字でネガティブなイメージの言葉と勘違いする向きが多いようなので、改めておさらいしておきました。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「破戒」の反対語は?
「破戒(はかい)」の反対語として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:守戒
2:保戒
3:持戒

…さて、正解は?
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正解は… 3:持戒 です。

「持戒(じかい)」は、「(仏教の)戒律を堅く守ること」という意味です。「極端な戒めに必死に従う」というイメージではなく、「手本となる戒律を日々、粛粛と順守し生活を営む」というようなイメージの言葉です。ゆえに、頑張って「守」、そのままにする「保」、などではなく、意識的かつ自然体のイメージのある「持」という字が当てられているのかと思われます。
そして、この状態を「破る」のが「破壊(はかい)」で、「戒律を破ること。受戒した者が、守るべき戒法にそむく行いをすること」という意味です。島崎藤村作品の『破戒』では、被差別地域出身で、父から「素性を隠して生きろ」と教わって育った主人公が、成長し、社会とかかわるなかで、自らの意志によって「破戒」を行う姿が描かれています。
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本日は、8月22日『藤村忌』にちなんで、「破」「戒」という字の入った日本語から、
・破顔(はがん)
という間違いやすい言葉の意味、
・破戒(はかい)⇔持戒(じかい)
という反対語、言葉の背景などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/藤村記念館ホームページ/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱