【目次】

「空き家整理の日」とは?由来

■いつ?

「空き家整理の日」は8月31日です。

■誰が決めたの?

「空き家整理の日」は、遺品・生前整理や就活相談等を主な業務とする株式会社ワンズライフが制定し、日本記念日協会に認定されています。

■由来

日付は8と31を「家(ヤ=8)整(セイ=31)理」と読む語呂合わせ、夏の終わりに空き家や家財の整理を考えてもらいたいという理由から決まりました。お盆休みなどで帰省した際に、実家をどう保っていくか…といった思いが生まれ、気になる時期でもありますね。


ビジネス雑談に役立つ「日本の空き家事情」の知識

■木造一戸建ての空き家は220万戸

総務省の住宅・土地統計調査によれば、空き家の総数はこの20年で1.8倍に増加しています。現在(平成25)日本全国には約820万戸の空き家があるのだとか。特に「賃貸用又は売却用の住宅」等を除いた「その他の住宅(空き家)」は、この20年で2.1倍(149万戸が318万戸)に増加しています。この318万戸の内訳は木造の一戸建てが最も多く220万戸にも及びます。

■最も空き家が多いのは鹿児島県、最も少ないのは…?

同じく総務省の平成25年住宅・土地統計調査 によると、都道府県別では鹿児島県が最も多く、続いて高知県、和歌山県。この3県は長期不在・取り壊し予定などの「その他空き家」の割合が、それぞれの全住宅の10%を超えています。

最も少ないのは…当然ですが土地建物の資産・運用価値が高い東京都。神奈川県、埼玉県、愛知県と続きます。

■なぜ「空き家」になってしまうのか?

空き家にしておく理由も国土交通省の調査が示しています。複数回答ではありますが、平成26年度は下記のような結果に。

1位)物置として必要だから

2位)解体費用をかけたくないから

3位)特に困っていないから

4位)将来、自分や親族が使うかもしれないから

5位)好きなときに利用や処分ができなくなるから

6位)仏壇など捨てられないものがあるから

7位)更地にしても使い道がないから

8位)取り壊すと固定資産税が高くなるから

9位)古い、狭いなど住宅の質が低いから

10位)リフォーム費用をかけたくないから

■なぜ「空き家」は問題なのか?

住む人がいなくなった空き家の問題点を整理しましょう。まずは周辺住民や行政などに起こり得る問題点を挙げます。

  • 1)周辺住民への迷惑

    特に木造建築に顕著なのが建物の老朽化です。外壁や屋根材の落下、蚊やシロアリなど害虫の発生、ねずみなど害獣の住処になることも。空き家には家財道具などが残されたケースも多く、腐敗したごみの放置による悪臭も問題です。

  • 2)景観や治安の悪化

    放置された空き家は地域全体の景観を悪化させます。ごみの不法投棄も問題です。また、不法侵入や犯罪の温床になるなど、近隣住民の生活に深刻な影響を及ぼします。

  • 3)地域社会の活力低下と財政問題

  • 空き家が増えると景観が悪くなるだけでなく、地域としての活気がなくなります。自治体は空き家対策費用が増大したり税収が減少するなど、財政的な課題も大きな問題です。

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  • 次に、所有者や相続者側の問題点を見てみましょう。

4)建物の倒壊リスクと損害

  • 老朽化が進行した空き家は倒壊の危険性が高まり、万が一倒壊して通行人や近隣に損害を与えた場合、所有者が損害賠償責任を問われることがあります。

  • 5)所有者の経済的・精神的負担

    処分しない限り固定資産税の支払いが発生します。また、月1回程度の見回り・草刈り・突発的な修繕なども所有者の義務。維持管理に時間的・金銭的・精神的な負担が生じます。

  • 6)行政代執行と解体費用の負担

  • 放置された空き家に倒壊の危険性があると判断された場合、行政代執行により解体されることがあります。この場合、解体費用は所有者の負担となります。

  • 7)特定空き家指定と固定資産税の減税解除

    保安上・衛生上のリスクが高い「特定空き家」に指定されると固定資産税の減税特例が解除され、税の負担が増加します。

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マスコミでも度々報じられる空き家問題。国土交通省の調査によると当事者は「空き家を空き家のままにしておきたい」という方が多いようですが、景観や治安の悪化、悪臭や火災の誘発など、その地域だけでなく問題は社会残体に及びます。高齢社会になるほど空き家問題は深刻化します。「空き家対策は対症療法より予防が有効」とも言われるので、「空き家整理の日」に“家の終活”について考えてみませんか?

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/一般社団法人日本記念日協会(https://www.kinenbi.gr.jp) :