【目次】
【「国際ビーチクリーンアップデー」とは?由来】
■「誰が」決めた?
9月22日は「国際ビーチクリーンアップデー」です。1985(昭和60)年、アメリカのサンフランシスコに本部がある海洋自然保護センターが制定・実施しています。日付の由来は不明です。
■日本での活動は?
日本では、アメリカのワシントンD.C.に拠点を置く環境NGO「海洋保全協会(Ocean Conservancy : OC)」の呼びかけに応え、一般社団法人 JEAN(Japan Environmental Action Network)が「国際海岸クリーンアップ(International Coastal Cleanup : 以下、ICC)」と銘打ち、1990(平成2年)から海洋環境保護活動をスタートさせています。
【ビジネス雑談に役立つ「海洋ゴミ問題」の雑学】
■そもそも「海洋ゴミ」って?
「海洋ゴミ」とは、海岸に打ち上げられた「漂着ゴミ」と、 海原を漂う「漂流ゴミ」、海底に沈んだ「海底ゴミ」の総称です。人間が暮らす街で発生したゴミが、海洋ゴミの8割を占めているといわれています。
■「種類」は?
海洋ゴミには、釣り糸や漁網などの海で使う道具のほか、ペットボトルやレジ袋といった、日常的に使う物も多く含まれています。なかでも、半永久的に分解されることのないプラスチックゴミが、世界的に問題視されています。
■「拾っても拾っても減らない!」その特性は?
海洋ゴミの大きな特性は、一時的にゴミを回収しても、新たなゴミが繰り返し発生・漂着してくること。単発的に拾うだけでは、決して解決ないのです。JEANでは、海洋ゴミ問題の根本的な解決方法を探るため、アメリカの海洋保全協会が提案する世界共通の手法(International Coastal Cleanup:ICC)を取り入れ、ゴミの内容を調査し、ゴミの問題点を参加者ひとりひとりに気付いてもらいながら、改善するための方策を探っています。
この活動は、これから先もずっとゴミを拾い続けるのではなく、まずは私たち自身がゴミを減らさない限り、海洋ゴミ問題は解決しないことを、参加者ひとりひとりに理解してもらうことを目的としています。
■海への流出量はどれくらい?
毎年毎年、少なくても年間800万トン分のプラスチックゴミが海に流出しています。これは、2016年にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会で公開されたデータです。すでに9年前のものですから、現在ではもっと増えているかもしれません。
■海洋ゴミが環境へ与える悪影響は
人間が発生させた海洋ゴミから、最も大きな被害を受けるのは、海の生き物たちです。少なくない生き物たちは、人工のゴミとエサの区別ができずに、間違えてプラスチックを飲み込んでしまうのです。誤飲・誤食を繰り返す個体は、ゴミが胃などの消化器にたまり続け、エサを食べることができなくなり、ついには死んでしまうことも。
また、生き物のなかには、好奇心でゴミに近寄ったり、ゴミの蔭に集まる魚を食べようと近づき、ゴミが体の一部にからまってしまうものもいます。ゴミの多くはプラスチック(化学繊維)素材のため、とても丈夫。それだけに体から簡単にはずれることはなく、彼らは人間のように手を使ってはずすこともできません。その影響は…容易に想像がつきますね。
ゴミだけでなく、漁具や漁網が回収されずに海の中に残っても、生き物がその中に入り込み、出ることができず死亡してしまいます。この悪循環は、そのゴミが移動したり回収されるまで延々と繰り返されるため、国際的にも大きな問題となっています。
このほかにも、海岸に堆積したゴミのために、海浜植物の光合成や生育が阻害されていたり、海底に沈んだシート状のプラスチック(ポリ袋やレジ袋など)より、有機物が分解されにくくなり、海底がヘドロ化していくなど、被害は甚大です。
■国際海岸クリーンアップ(ICC)の特徴
ICCは、ただのゴミ拾いではなく、ゴミ調査の役割も担っています。世界同時期に、世界共通の方法でゴミのデータをとることにより、ゴミを元から出さない仕組みを考えるなど、ゴミ問題への気付きを促しています。
1.世界共通の方法でゴミのデータを取りながら拾う
2.世界中で一斉に、同じ時期に実施
3.ゴミを元から出さない仕組みをつくるためにデータを活用する
4.調べることを通じて、ゴミ問題への気付きを促す
■参加の方法
クリーンアップへの参加方法は,「一般参加」と「キャプテン参加」のふたつがありますが、ここでは「一般参加」の方法をお知らせしましょう。
参加したいと思っても、どこで行われているのか、わからない…という場合は、JEANのホームページで会場を探してみてください。実は全国各地の団体がクリーンアップを予定しています。日時から会場を選ぶことも可能です。会場情報にある「一般参加について」の欄に「一般参加可能」と書いてあれば誰でも参加できますよ。
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海に囲まれた国に住む私たちにとって、海岸のゴミ問題は身近で深刻な問題です。海に住む生き物たちが、誤ってプラスチックゴミを食べたことにより死んでしまうことには胸が痛みます。また、マイクロプラスチック(5mm以下になったプラスチック)を食べた魚を食べる私たちも、どれだけの悪影響を受けているのか、明確にはわかっていないのです。きれいな海を守るために、ひとりひとりができることを続けていきたいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:一般社団法人 JEAN(https://www.jean.jp) /海洋保全協会(Ocean Conservancy)〔https://oceanconservancy.org〕 /日本財団 海と日本PROJECT(https://uminohi.jp)) :