【美しいひとの美しい部屋 IE Precious】イタリア・モネーリア|ビジネスコーディネーターのノターロ・石川早苗さんの青と白とサンゴ色の家

「海の風と色を感じ、サンセットや星を眺めながら静かな時間を過ごします」ノターロ・石川早苗さん

イタリア・ミラノから、南へ車で2時間ほど。リグーリア州にある小さな海の町・モネーリアは、ミラネーゼたちが通う定番のバカンス地です。
「主人の釣り仲間の別荘がモネーリアにあり、息子と娘が小さい頃からたびたび訪れていました。町の中心部はボルゴと呼ばれる狭い道が連なる漁村独特の雰囲気が漂い、丘に上ると古い教会があってまた違う趣があります。単なるビーチサイドではない、風情ある海の町で物件を探していたので、ここはまさにイメージどおりでした。2年かけて出合ったこの丘の上の家は、海が真下に見え、見晴らしがいいのも決め手のひとつでした」と石川さん。

クリーム色の外壁と鮮やかな緑の芝生のコントラストが美しい。

1階のリビング・ダイニングからも海を見下ろせる。海の家をテーマに、家具やファブリック、アートなどは白とブルーを基調にした爽やかな色使い。キッチンスペースとの間に置かれた大きなヨットのオブジェも印象的。
週末、大都会を抜け出して青い海と緑の丘の別荘へ
石川さんはミラノ在住歴50年以上。日本とイタリアのビジネスコーディネーターとして、通訳として活躍する彼女の自宅はミラノの高級住宅街にあります。
「ミラノではファッションや家具、食品などさまざまな分野の仕事をしていて、刺激的ではありますが、とても忙しい日々です。そんななか“週末に行くところがある”のは、オンオフの切り替えに最適です」

2005年口コミでこの家を発見。ミラノの建築家が設計した建売りだったが建築中だったため、好みの間取りや内装を指定して当初の計画を変更してもらった。
階段の手すりも鉄の棒にしてシンプルに。リビング・ダイニングのアクセントはサンゴ色(朱色)のアンティークの中国家具。魚のオブジェ、バハマスの無人島で拾った大きな貝殻など、海にちなんだデコレーション。


金曜日、大都会を抜け出し、海と丘の町へ。週末は、庭の手入れをしたり、読書をしたり、サンセットや星空を眺めたり。自然と共に過ごすことでエネルギーをチャージし、再びミラノへ。
「ヴァケーションシーズンのイタリアはどこも混んでいて前もって計画をし、予約をしないと旅は難しいんです。だからこそ、行きたいと思ったらパッと訪れ、リラックスできる場所があるというのは、暮らしを豊かにしてくれます。モネーリアは、海はもちろん、歴史や文化が感じられ、小さなハーバーがあるのもポイントでした。小さな船を所有しているので天気のよい日は海に出ることもあります。でも、基本的には、季節を問わず、風のない日はガゼボに座って海を見て、自分自身の中に、静けさと落ち着きを取り戻します。“世界にはいろいろと問題があるのに、いいのかな。こんな静けさを味わえるなんてとても幸せだな” などと思いながら…」と石川さん。

「風のない日はガゼボに座って海を見て、自分自身の中に静けさと落ち着きを取り戻します」石川さん

そんな場所だからこそ、インテリアは眺め優先でシンプルに。四季折々の海や空、庭の色や姿を最大限生かすべく、青と白、そしてアクセントに赤でもなくワインレッドでもない落ち着いた朱色のサンゴ色を取り入れています。また、家具は古いものと新しいものをミックスし、オブジェやアートは海に関連するアイテムを配置。好きなものに囲まれた安らぎが随所に感じられます。


客室のバスルームは、日本の漆塗りのお盆をペンキ屋さんに見せて同じ色にしてほしいと依頼。バスルームやキッチンは、ミラノの北、家具産地・ブリアンツァ地方の職人にオーダー。

「ミラノの家もこの海の家も、自分が心地よいと思える空間です。特にこの家は、開放的な間取りや内装、大きな窓から続くテラスや庭など、細部にまでこだわって改装しました。なかでも庭は、庭師に任せっきりにせず、自らハサミを持って一からつくりました。レモンやバラが大きく育ってうれしいですね。ミラノから出て庭仕事をするのは、私にとって最高のリラクゼーションです」


家の中よりも外で食事ができる空間を重視。そのためテラスのスペースはできる限り大きくした。


[ 石川さんのHouse DATA ]
●場所…イタリア・リグーリア州モネーリア
●間取り…1階/建物部分(50平方メートル)、リビングダイニングキッチン、バスルーム1、物置、テラス(40平方メートル)、庭(600平方メートル) 2階/建物部分(70平方メートル)、主寝室1、ゲスト寝室2、バスルーム2、テラス(50平方メートル)
●ここに決めたいちばんの理由…ミラノから車で2時間というアクセスのよさと、風情のある町並み。家自体は、海が真下に見える丘の上にあり、見晴らしがよいのが決め手。
- PHOTO :
- Francesco Dolfo
- EDIT :
- 田中美保
- 取材 :
- 高橋 恵