「ブルガリ」でヘリテージ キュレーター ディレクターを務めるジスラン・オークレマンヌさんに、スペシャルインタビュー

国立新美術館で開催中の『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』。館内には約350点もの大胆かつ鮮やかなマスターピースが色と光をテーマに展示され、訪れる人々の五感を刺激すると早くも話題に。
日本における「ブルガリ」史上最大規模の展覧会の見どころとメゾンに受け継がれるヘリテージを、「ブルガリ」のヘリテージ キュレーター ディレクターを務めるジスラン・オークレマンヌさんに語っていただきました。

万華鏡の中へと誘われるような、没入体験を楽しんで
──“美しい”を意味する“カロス”と“形態”を意味する“エイドス”というギリシャ語に由来する“カレイドス”。光と色彩が融合する万華鏡のような世界を表現したタイトルには、どのような想いが込められているのでしょうか?
「色彩は美と芸術にとって欠かせない重要な要素であり、ブルガリにとってのシグネチャーでもあります。今回の展覧会は単なる学びの場ではなく、視覚的に楽しみ、まるで万華鏡の中にいるような体験をして欲しいという想いでキュレーションしました」。
日本とイタリアを繋ぐ架け橋を意識した、和の風情漂う展示
──ジュエリー展示はもちろんのこと、アートのインスタレーションやデジタル体験もできる日本におけるメゾン史上最大規模の展覧会が東京で実現されましたが、日本とブルガリとの親和性についてお伺いさせてください。
「ブルガリが誕生したイタリアと日本では、美の定義は異なるものの、独自の美意識や精緻な職人技、そして伝統と革新という多くの共通点があります。そこで展示ではローマ神殿を模った作品の近くに富士山のブローチを展示したり、イタリア人と日本人のアーティスト作品を並べたりするなど、さまざまな形態で2つの国の絆を強調しています」。
ブルガリのクリエイションを象徴するカラージェムストーン
──“色石の魔術師”と称されるブルガリにとって、“色”とはどのような存在なのでしょうか?
「ブルガリにとって色彩は、創造性を表現するための言語です。1950年代に単色のデザインから脱却し、鮮やかな宝石を大胆に使用するという革命を起こしました。現在では7種類以上の色を組み合わせることで、調和やコントラストを生み出しています。画家がパレットに色を並べるように、ブルガリは宝石で色彩の傑作を生み出し続けてきました。宝石をセレクトする上で特筆すべきは、経済的な価値ではなく、色彩の効果に着目している点です。例えばポーセリンをあしらったネックレスは、磁器特有の白さが組み合わせたジェムストーンの鮮やかさを際立たせるデザイン。まさに色彩の美しさを追求した作品だと言えるはずです」。
メゾンのフィロソフィーが息づく卓越した職人技術
──140年以上に渡る歴史の中で培われた、宝石と貴金属を自在に操るメゾンのクラフツマンシップの真髄とは?
「ブルガリでは細部に至るまで完璧な仕上がりを追求し、どこから見ても美しい仕上がりが基本となっています。それを実現しているのが“インテリジェント・ハンド(知性ある手)”と呼ばれる熟練の職人です。彼らは表面だけではなく裏面までも芸術的に仕上げており、今回の展覧会でも表裏が見られる展示にしています。またシルバー製品からスタートした歴史を紐解くと、創業時からメゾンでは金属自体も色彩を構成する重要な要素と捉えていました。展覧会の第三章ではゴールドに焦点を当て、多彩なカラーのゴールドの魅力を紹介しています」。
ジスラン・オークレマンヌさんによると「とにかく今回の展覧会は、観る人が楽しめるものにすることを重視した」とのこと。歴史の勉強のように展示を見て学ぶ…という形ではなく、いろいろな角度から楽しみながらジュエリーの魅力を体感できるよう、工夫を凝らした展示方法にも注目したい展覧会です。
森万里子さんが今回の展覧会のために手がけたアート作品やデジタル体験など、ジュエリーのみならず多彩な展示まで楽しめる『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』。ぜひ足を運んで、メゾンの美の世界に没入してみてください。
【詳細情報】
『ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧』
会期:2025年9月17日(水)〜12月15日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日:火曜日(9月23日(火・祝)は開館)、9月24日(水)
観覧料:一般¥2,300、大学生¥1,000、高校生¥500、中学生以下 無料
※障害者手帳の持参者および付添者1名は無料
※本展は日時指定券を導入します。
住所:東京都港区六本木7-22-2
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部