「岳翁」ってなんと読む?どんな人?
明日、10月3日は『登山の日』です。10(と)3(ざん)の語呂合わせですね。
山のことは「山岳」「岳」とも言いますので、本日は「岳」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「富岳」ってなんと読む?
「富岳」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「富士山の異称」です。
<使用例>
「叔父は富士山の撮影が趣味で、『富嶽百景』どころか『富岳千景』というくらいのフォトブックを自作しているの」

…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 富岳(ふがく) です。

「富岳(ふがく)」は、古来「富士山の異称」として使われてきた言い回しで、近年では「理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューターの固有名詞」にも用いられています。『富嶽百景(ふがくひゃっけい)』は、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の作品名(富士山を描いたスケッチを薄墨摺で印刷して、本にまとめたもの)、また、太宰治が執筆した短編小説のタイトルです。
北斎の作品に関しては、富士山をテーマにした作品を更に寄り抜いた一連の版画シリーズ『富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)』が代表作となっております。一方の太宰の短編小説は「富士山の見える宿で過ごした期間についての私小説的短編」に、北斎の作品のタイトルを洒落て転用する形で用いたものです。どちらも『富嶽百景』と、「岳」の旧字体の「嶽」が用いられております。
では、二問目にまいりましょう。
【問題2】「岳翁」ってなんと読む?
「岳翁」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「妻の父」の、フォーマルな言い方です。
<使用例>
「私は骨董を見る目がないのですが、岳翁が趣味で収集しているので、いくつか見せてもらったことはございます」

さて、正解は?
※画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は… 岳翁(がくおう) です。

「岳」は「妻の親」につける定番の言い回しで、「岳母(がくぼ)」は「妻の母」のことです。「岳翁(がくおう)」は、「高齢の男性」を意味する「翁」を用いているので、「高齢の妻の父」というイメージの言葉になります。第三者が、相手の「妻の父」を敬う言い回しとして用いる場合は「御岳父様(ごがくふさま)」など、丁寧表現の「御」や、敬称の「様」を付加して表します。
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本日は10月3日『登山の日』にちなんで、「岳」という字の入った日本語から、
・富岳(ふがく)
・岳翁(がくおう)
の読み方、言葉の背景についておさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/日本山岳会ホームページ/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱