【目次】
【「イクメンの日」とは?由来】
■いつ?「由来」
10月19日です。「父さん(10)+育児(19)」の語呂合わせから。
■誰が?
イクメンオブザイヤー実行委員会が制定し、社団法人日本記念日協会が認定しています。「イクメンの日」の目的は男性の育児休暇の推進。父親が育児を楽しみ、頑張る日なのです。
■イクメンとは?
厚生労働省が推奨するのが「育メン(イクメン)」です。イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男性のこと。子どもの生育と同時に父親も成長することを目的とした「育メンプロジェクト」では、企業や管理職には育児休業制度(育休)や育児休業取得促進などを説明。育休を取りたい・検討したい従業員には制度や法改正などの案内を行っています。
【ビジネス雑談に役立つ「イクメンの日」にまつわる雑学】
■「イクメン」という言葉、いつから使われている?
広告代理店博報堂のアートディレクターが「育児をする男性」という意味を込めて「イクメン」という言葉を考案したと言われています。すでに定着していた「イケメン」と「育児」をかけたもので、育児をする男性はイケてる(かっこいい)というポジティブな造語です。
2010年に厚労省がイクメンプロジェクトを立ち上げたことで「イクメン」という言葉が広く知られるようになり、ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に選出。2009年に第4子が誕生したタレントのつるの剛士さんが、人気絶頂だったにもかかわらず芸能活動を休んで育休をとったこともあり、大きな話題となって社会現象としてのイクメンブームも起きました。
あれから15年――社会としての「イクメン」意識は高まったものの、残念ながら現状は満足のいくものではなさそうです。
■日本の男性の育休取得率は何%?
2021年10月1日から2022年9月30日までに、育休を開始した男性従業員がいた事業所は30.1%。3割の事業所で育休中の男性がいたことになります。政府目標は2025年に50%、2030年に85%とか。女性の取得率がこの15年は80%前後で推移しているので、男女差を縮めるのが目標です。
「育休を取りたい男性=育休を取った男性」で、さらに「育休を取りたい男性」の割合が増えるのが理想ですが、男性の育休取得率は17.13%にとどまっています(2022年度の厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」より)。さらに、育休を希望しながら取得できなかった男性従業員の割合は29.9%(株式会社日本能率協会総合研究所「令和2年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業 報告書」より)で、厚労省の理想も従業員の希望も叶っていないのが状況というわけです。
■育休取得率は低く短いのに制度は世界一!?
保育に関する政策や育児休業政策が充実している国といえば、ルクセンブルク、アイスランド、スウェーデン、ノルウェー、ドイツが上位に挙がります。日本は下位に属するわけですが、なんと育児休業制度では1位と順位付けられているのだとか。これは、完全賃金の週数に再計算した父親の育休期間が最も長いことが評価された結果とか。要するに、有給による育休制度は世界一なのに、実際に取得できた割合や日数は少ないということです。
■こんなに!? 家事・育児時間の男女差
未就学児童がいる家庭での家事・育児時間の合計を見てみると、女性は4時間38分、男性は1時間57分。子どもが小学生では女性3時間57分、男性1時間16分、中学生では女性3時間22分、男性1時間3分となっています(いずれも2019年「家事等と仕事のバランスに関する調査」より)。未就学児童がいる家庭での、女性4時間38分、男性1時間57分という男女差に、改めて驚くのではないでしょうか。
■時代は「イクメン」から「トモイク」に!
厚労省のイクメンプロジェクトは2025年7月4日に終了し、新たに「共育(トモイク)プロジェクト」がスタートしました。
トモイクとは?
男性の育休取得率が1%台だった2010年に官民連携で始動し、男性が積極的に育児に関わる「イクメン」を社会に広めることを目的としたイクメンプロジェクト。2024年7月の速報値では、男性の育休取得率が40.5%と過去最高を記録したことや(女性は84.1%)、「産後パパ育休」制度の創設、育児休業給付の充実なども後押し、一定の成果をあげました。
しかし、男性の育休取得期間は6割が1か月未満にとどまり、女性の取得率や家事・育児時間には大きく及びません。さらに圧倒的に共働き世帯が多い現代でも、家事や育児の大部分を女性が担っているのが実情。総務省の調査では、その差は1日あたり3倍以上にのぼるのです。
厚労省の「トモイクプロジェクト」は、男性の育休取得促進だけでなく、母親と父親の区別なく公平な家事・育児の分担、長時間労働の是正など、構造的な課題に取り組むもの。「職場も家庭も、脱ワンオペ。」をスローガンに、企業と連携しながら制度と意識の両面での改革を目指します。家庭単位ではなく、親兄弟や親戚、あるいは地域で育児することが、本当の意味での「トモイク」かもしれませんね。
【トオイクが目指す3つのポイント】
1)家事・育児の公平な分担
2)長時間労働の是正
3)地域・企業・家庭の協力体制の構築
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10月19日の「イクメンの日」について、さくっとご紹介しました。「育児」と「メンズ」を掛け合わせた「イクメン」ですが、「イクジイ」や「イクバア」という言葉もあるのをご存知ですか? ジイジ(祖父)やバアバ(祖母)も参加しての育児を指します。少子化は政府や自治体などによる制度だけでなく、社会と地域全体、そして子どもの有無にかかわらずに個人レベルでも考えるべき問題です。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『現代用語の基礎知識』(自由国民社)/厚生労働省イクメンプロジェクト(https://ikumen-project.mhlw.go.jp/)/男女共同参画局(https://www.gender.go.jp/index.html) :