小さくても人が4人乗れて、荷物がしっかり積める。しかもデザインはシンプルで、走りも楽しめる。初代ミニは、そんなクルマだった。現在発売されている新世代MINIも、そんな初代の哲学を引き継いでいる。時代にアジャストしながら…。世界的なデザインの祭典、ミラノ・デザインウィーク2018において、クルマ単体から視野を広げ、暮らしにおける空間の有効活用を考えるMINIの文化活動を、ライフスタイルジャーナリストの小川フミオ氏がリポートする。

ミラノ・デザインウィーク2018

「いかにして都会で住むか」を提案

倉庫のなかにミニマムな職住近接型の個人スペースを作るのが、「MINI LIVING-BUILT BY ALL」の提案。
リビングルームやキッチンやダイニングスペース、トレーニングルームは共用。

どう暮らすかは、男子にとって重要なテーマだ。たとえば、英国のウィンストン・チャーチル。

映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(原題「Darkest Hour」)」(2017)に出てくる、自邸チャートウェルでのスタイルある暮らしぶりは印象的だ。

昨今は、しかし、世界的に若者の価値観は、都市に住む、シェアリングでもかまわない、と変わってきているとか。

そこに注目したのがMINIだ。ミラノ・デザインウィーク2018でユニークなインスタレーションを見せてくれた。

題して「MINI LIVING-BUILT BY ALL」。大都市への人口集中が進む昨今。いかに暮らすかの提案である。

「BUILT BY ALL」とは共同でやること。コラボレーションを意味しているそうだ。

MINIはご存知のように自動車のブランド。しかしこのところ、都市に住むというテーマで、カバーする領域を広げている。

空間の有効利用はMINIの得意分野でもある

MINIのオケ・ハウザー氏(右)と、ストゥディオママのニナ・トルスルップ氏。
ワークショップでは遊び感覚で立体パズルのようなものを作り、空間構成を意識させる。

ミラノ・トルトーナ地区で展開されたMINIのインスタレーションは、使われなくなった倉庫を改装してシェアスペースにするというアイディア。

MINI LIVINGのプロジェクトを主導するオケ・ハウザー氏は、ロンドンの建築事務所ストゥディオママのニナ・トルスルップ氏とタッグを組み魅力的な空間を作り上げた。

ひとり15平米から20平米のスペースを使った職住近接の「住宅棟」が4人ぶん設けられている。カラフルで、キッチンやコミューナルスペースなど共用部分も色分けされている。

MINIが2017年のミラノ・デザインウィークに出展したのは、上に伸びたシェアハウスの提案「Breathe」。 

「MINIの基本方針である空間の有効利用を反映した」ものと説明されていて、じつは上海ではまもなく塗装工場跡を改装した実際のプロジェクトが動き出すそうだ。

使用していない倉庫、空き家となっているショッピングセンターやオフィスも、将来的に居住空間として利用できるようにすることで、過密化する都市に住むという問題へのソリューションとなるとか。

どちらかというと若者向けの提案とのことだけれど、これはこれで(チャートウェルとは異なるけれど)魅力的な住スペースに見える。

なにはともあれ、こうして自動車ブランドが都市と住宅という問題に前向きに取り組みはじめたことが、ミラノ・デザインウィーク2018における大きなニュースなのだ。 

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この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。