20世紀の最も才能豊かなアーティストとして知られるジャン・シュランバージェ(1907-1987)。ジュエリーデザインの世界で、その革新的で自由な想像力をいかんなく発揮したシュランバージェと“ティファニー”の伝説的なコラボレーションが始まったのは1956年のことでした。

『バード オン ア ロック』ブローチの図案
シュランバージェが「ティファニー」で手掛けたことで最も知られているのは、「ザ ティファニー ダイヤモンド」のセッティングのデザイン。当時世界一の大きさと品質を誇った128.54カラットのファンシー イエロー ダイヤモンドはその後、パリ装飾芸術美術館でのジャン・シュランバージェ回顧展(1995年開催)のために、彼の最高傑作のひとつ『バード オン ア ロック』ブローチにセットされた。写真はその際に描かれた図案。

数多くの作品が生み出されましたが、なかでも最高傑作のひとつといわれるのが『バード オン ア ロック』です。今や“ティファニー”を代表するタイムレスなアイコンとして愛される存在ですが、誕生60周年を迎え、希少なカラーストーンをあしらった絢爛豪華なハイジュエリーと、シュランバージェのスピリットに新たな解釈を加え、デイリーに愛用できるファインジュエリーのコレクションが発表されました。

自然に見出した美を、独自のファンタジー感溢れる世界観で別次元へと昇華したシュランバージェのデザインは唯一無二にして不滅。現代に生きる私たちの心もとらえて離しません!

Jean Schlumberger Bird on a Rock Collection Takes New Flight

ラピスラズリを用いたティファニーの「バード オン ア ロック」
(C)VMFA

1965年に誕生した『バード オン ア ロック』ブローチに使われたのは、カボションカットのラピスラズリ。社交界の名士であり慈善家、園芸家でもあり、そしてシュランバージェの親しい友人でもあったレイチェル・ランバート・“バニー”・メロンのためにデザインされた。

「ティファニー」に招聘されたシュランバージェ
 

1956年に「ティファニー」に招聘されたシュランバージェ。N.Y.五番街の本店「ザ ランドマーク」内に彼専用のスタジオとサロンが新設された。

彼が好んだ極彩色のカラーストーンを自由に使用する機会を得て、シュランバージェはそのキャリアのなかで最も壮麗なジュエリー作品を数多く創作した。

ジャン・シュランバージェについて

シュランバージェの傑作が生み出された蜜月の黄金時代

「歴史にif(イフ)はありませんが、“ティファニー”とジャン・シュランバージェの出合いがなかったら、ジュエリーデザインの歴史は大きく変わっていたのではないかと思わせるほど、1956年に始まった伝説的なパートナーシップはエポックメイキングな出来事でした。そして、今なおその世界は進化し、広がり続けています」。

そう語るジュエリージャーナリストの本間恵子さんにお話をうかがいながら、シュランバージェの偉大な功績と彼の最高傑作のひとつである『バード オン ア ロック』の魅力をひもといていきましょう。

今から70年前、ティファニー社の当時の会長ウォルター・ホーヴィングによって破格の待遇で迎え入れられたシュランバージェ。希少なカラーストーンとダイヤモンドを自由に使うことを許された彼は『バード オン ア ロック』ブローチをはじめ、エナメルバングルや16 ストーン リングなど、現在も“ティファニー”を代表するアイコニックなジュエリーの傑作を数多く生み出しました。

「優れた製図技術と洗練された審美眼のもち主だったシュランバージェが描くスケッチから命を吹き込まれた鳥や花、想像上の生物をモチーフにしたジュエリーは、どれもエネルギッシュでダイナミック。それらはすべて、ジュエリーの枠を飛び越えた彫刻芸術としての美しさも有していました。それまでの世界に存在しなかった類を見ないデザインで、高級宝飾とファッションを結びつけたことは大きな功績です」と本間さん。

ティファニーのブローチ『バード オン ア ロック ブローチ』
ブローチ『バード オン ア ロック ブローチ』[PT×YG×アクアマリン×ダイヤモンド×ピンクサファイア]参考商品(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)

オーバルシェイプにカットされた、約26カラットものアクアマリンを贅沢に用いた『バード オン ア ロック』ブローチ。澄み渡った煌めくブルーが、大空高く飛翔するバードと完璧にマッチ。

さらなる進化を遂げる『バード オン ア ロック』

シュランバージェがカリブ海で出合った黄色のオウムにインスピレーションを得て、1965年に生まれた『バード オン ア ロック』。このたび誕生60周年を記念して、ハイジュエリーとファインジュエリーのコレクションが発表されました。

「ハイジュエリーのブローチに用いられる高品質で希有な大きさの貴重なカラーストーンは、まさに“ティファニー”がその優位性を誇る調達力がなせる業。宝石の色鮮やかな輝きを楽しませてくれるジュエリーの美しさは圧巻のひと言です」。

そして、まったく新しいファインジュエリーコレクションとして登場した『バード』と『ウィングス』には、ハイジュエリーに用いられる宝飾技法がふんだんに使われていると言います。

「プラチナとイエローゴールドの両方をひとつの作品に使うことも、実はプロセスが複雑になるため、精密なクラフトマンシップが求められます。プラチナの翼のエッジに施されたシェブロン彫刻も非常に高度なテクニック。デイリーにつけられるファイン ジュエリーで、これらの貴重な技法が使われたバードのジュエリーを愛でることができるのは、うれしい限りですね」

ティファニーのブローチ『レインボー バード オン ア ロック ブローチ』
ブローチ『レインボー バード オン ア ロック ブローチ』[PT×YG×ペリドット×ダイヤモンド×ブラック マザー オブ パール×ルビー]参考商品(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)

黄みがかったグリーンの色調が特有の温かみを生み出すペリドット。『バード オン ア ロック』に使われることはめったにないうえに、写真の石は約80カラットと非常に希少性が高い。

バード オン ア ロック バイ ティファニーについて

親愛なるシュランバージェの美しきバードの世界がより身近に!ハイレベルの職人技が光るファイン ジュエリーコレクション

『バード オン ア ロック』を進化させたダイヤモンドジュエリーが、『バード』と『ウィングス』のふたつのスタイルで新登場。細部へのこだわりが随所に光る、創意に溢れた立体的造形美に魅了されます。

■BIRDS|ボディ、翼、襟、ヘッド、羽飾り、目、くちばしと7つの構成要素からなる3Dの『バード』。丹念な手仕事で時間をかけて製作されます。

ティファニー『バード』コレクションジュエリー
リング/上『バード リング』[PT×YG×ダイヤモンド×サファイア]¥3,135,000・下『ラブバーズ リング』[PT×YG×ダイヤモンド×サファイア]¥5,445,000・ペンダント『バード ペンダント』[PT×YG×ダイヤモンド×サファイア]¥3,135,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)

飛翔する華麗なバードの生き生きとした姿が身近なファインジュエリーに!

バード オン ア ロック バイ ティファニー コレクション

■WINGS|上向きの翼のシルエットが、上昇気流に乗って大空を舞い上がるバードの姿をイメージさせる『ウィングス』。彫刻的な技法を用いた羽の質感が美しい。

ティファニー『ウィングス』コレクションジュエリー
バングル『ウィングス ワイド バングル』[PT×ダイヤモンド]¥8,580,000・リング『ウィングス ワイド リング』[PT×ダイヤモンド]¥3,135,000・ピアス『ウィングス ピアス』[PT×ダイヤモンド]¥5,005,000・ペンダント『ウィングス ロロ ペンダント』[PT×ダイヤモンド]¥1,144,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク)

3種類のダイヤモンドセッティングを駆使し、繊細な輝きを表現。

バード オン ア ロック バイ ティファニー コレクション

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
※文中の表記は、PT=プラチナ、YG=イエローゴールドを表します。

問い合わせ先

ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク

TEL:0120-488-712

PHOTO :
大原敏政(aosora)
EDIT&WRITING :
下村葉月、木村 晶(Precious)
画像提供 :
Tiffany & Co.
取材協力 :
本間恵子