日々の疲れを洗い流し、心身共にリフレッシュできる温泉旅。天然資源である温泉はその土地ごとの個性があり、ただ体が温まるだけでなく、全身の凝りがほぐれるのを感じられたり美肌に近づけたりなど、普段の入浴では得られないさまざまな恩恵をもたらしてくれます。

そうした温泉のポテンシャルをしっかりと実感できる北海道の名宿を、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんがピックアップ。今回ご紹介するのは、支笏洞爺国立公園内にある「奥札幌の秘湯 湖畔の宿支笏湖 丸駒温泉旅館」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

湯の鮮度が抜群!支笏湖と向き合う露天風呂で心身をリセットする

日本有数の透明度を誇る湖、北海道・支笏湖。その湖畔の景観と調和するように佇むのが、今回ご紹介する「丸駒温泉旅館」です。新千歳空港から車を走らせること約1時間。湖と原生林に囲まれた秘境の一軒宿では、ロケーションを生かしたダイナミックな湯浴み体験ができます。

「丸駒温泉旅館」の外観
支笏湖に面した「丸駒温泉旅館」。
ロビー
ロビーラウンジからも支笏湖の美しい景色を眺めることができる。

「『丸駒温泉旅館』のシンボルともいえるのが、支笏湖に面した天然野湯です。その大きな特徴のひとつは、湯量が湖の水位と連動すること。支笏湖と水路でつながっていて、雨などの影響で湖の水位が高いと浴槽の湯面も上がり、逆に湖の水位が下がると湯面も低くなるという、人の手を加えない自然任せの温泉に入れるのが格別です。

そして、もうひとつの特徴は、足元湧出温泉であること。足元湧出とは、浴槽の底から温泉の湯が直接湧き出してくることで、日本全国でも30か所あるかないかという稀少な存在です」(植竹さん)

天然野湯
「天然野湯」からの眺望。

「泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉。天然の保湿成分をサポートするメタケイ酸や、肌のダメージを回復させるといわれるメタホウ酸も豊富に含んだ、マルチコスメのような湯です。

『天然野湯』に浸かると、目の前を遮るものなく広がるのは雄大な支笏湖ビュー。足元に視線を落とすと玉砂利の隙間から源泉が気泡のようにぷくぷくと湧き上がってくるのも神秘的です。一度も空気に触れていないフレッシュな湯は還元力が高く、酸化・老化のスピードを緩めるともいわれており、生まれたてのピュアな湯から大地の恩恵をダイレクトに享受して、心身をリセットすることができました」(植竹さん)

大浴場内湯
大浴場内湯。

丸駒温泉旅館には、天然野湯以外にも浴槽のバリエーションが充実しています。まず、男女別大浴場は、それぞれ内湯、露天風呂、そして本格的なサウナを完備。露天風呂はもちろんのこと、内湯も大きな窓越しに支笏湖を眺めることができる開放的な設計です。

バレルサウナ
本格仕様のバレルサウナ。

サウナは、本場フィンランド式ロウリュが可能な本格仕様。熱された身体をクールダウンさせる水風呂には、水質日本一を誇る支笏湖の天然水が惜しみなくかけ流され、極上の「ととのう」感覚をもたらしてくれます。

展望露天風呂
展望露天風呂。

さらに、湖と山々が織りなすパノラマを一望する展望風呂や趣きの異なる2種の貸切風呂もあり、名湯と絶景を味わい尽くすのに好適です。

囲炉裏端で北海道の旬を五感で味わう愉悦のひととき

夕食はスタンダードな和食会席か、囲炉裏会席の2種から選ぶスタイル。なかでも囲炉裏端で地元の味覚をいただく囲炉裏会席は、炭火で食材を焼き上げるライブ感が魅力です。

囲炉裏会席の食事処
囲炉裏会席の食事処。

ヒメマスや山女魚といった川魚や旬の野菜などをじっくり炙ると、外は香ばしく中はしっとりとして噛むほどに自然のうま味が広がります。また、冬のメインは鴨鍋で、鴨から出る深い出汁と地元の野菜が調和した風味豊かなスープが体に染み渡ると好評です。

囲炉裏会席
囲炉裏会席コースの一例。

炎のゆらめきや炭火の弾ける音、香ばしい煙なども絶妙なスパイスとなる非日常的な食体験は、体にも心にもポジティブなエネルギーを満たしてくれることでしょう。

朝食バイキング
朝食バイキング。

以上、「丸駒温泉旅館」をご紹介しました。支笏湖と連動する天然野湯にじっくりと浸かり、大自然のエネルギーをチャージしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)