冷たい風を感じる頃になると、恋しくなるのは温泉宿。その土地の恵みとエネルギーをいただく温泉宿の進化が今、加速しています。
雑誌『Precious』2月号の別冊付録【この冬、大人を満たす「感動の温泉宿」へ】と題し、心身を整え、癒やし、口福を味わい、知的好奇心をくすぐる…、欲張りな大人の女性をフルで満たす、最新の温泉宿をご紹介しました。
今回はその中から、伊豆・天城(あまぎ)で150年の時を紡ぐ温泉宿「おちあいろう」をお届けします。
おちあいろう[伊豆・天城]〈2025年9月リニューアル〉
職人の技と知恵、熱狂を体感!文人が愛した温泉と川のせせらぎ、“文化財に泊まる”醍醐味を味わう
到着した瞬間、聞こえてくるのは川のせせらぎと鳥のさえずり。豊かな自然に恵まれ、伊豆で最も歴史のある湯治場として知られる湯ヶ島の老舗湯宿「おちあいろう」は、1874年創業。
本谷川(ほんたにがわ)と猫越川(ねっこがわ)が合流する狩野川のほとりに位置し、その2本の川が合流する地に位置することから、旧幕臣の山岡鉄舟により「おちあいろう」と名付けられました。
敷地内のどこにいても、雄大で静かな渓流の音が心を鎮め、喧騒を忘れさせてくれます。田山花袋や島崎藤村、川端康成、北原白秋、林芙美子など名だたる文人墨客に愛されてきたのも納得です。
2019年のリニューアルに続き、2024年12月、敷地内の登録有形文化財の建物を一棟貸切別邸「石楠花」としてオープンしました。新たに専用露天風呂とサウナを備え、創業家が長く住んでいた貴重な建物での滞在は、老舗湯宿ならではの気品と歴史、文化に触れる稀有な体験となるでしょう。
最高峰の匠の技を楽しみ、最新のサウナでととのう贅沢
江戸時代から温泉が湧き出るこの地は、明治時代は金の鉱脈として賑わっていました。創業家は鉱夫たちが宿泊する宿を営んでいましたが、なんと自身が良質な金脈を掘り当て、莫大な資産を得ることに。その資金をもとに、世界恐慌により停滞した伊豆の経済を復興させるため、宿を大改装したのが現在の「おちあいろう」の始まりです。
“時間もお金もいくらかかってもいい”、そんな創業家の声は、腕のある職人たちの士気を上げ、最高峰の技術を集結させることになりました。現代の職人が見ても惚れ惚れする、卓越した技と意匠を凝らした装飾や精緻な細工…。職人たちの熱量が伝わってきます。
同時期に敷地内に建てられた創業家の住まいも同様に、当時にしてはモダンを好んだ創業家(『LIFE』など洋雑誌を愛読していたとか)の意向もあって和洋折衷の意匠に富んだ建築美を楽しめます。
この貴重な自宅を、貸切別邸「石楠花(しゃくなげ)」としてオープンしたのが2024年12月。3階建ての建物がまるごと登録有形文化財のため、改修はその歴史的価値をできるだけ残しながら必要最低限に。
新たに露天風呂と専用サウナも設置し、食事はダイニングキッチンでシェフが調理をして提供。シェフズキッチンを楽しめます。また、寝室が3つ、それぞれシャワールームが併設されているため、3家族でプライベートを保ちつつ楽しめるのも一棟貸しの「石楠花」ならでは。
建築美に加えて、渓流沿いという立地を生かし、良質な温泉と多様なサウナが楽しめるのも「おちあいろう」の魅力です。
2025年9月には、人気の洞窟風呂を水着着用で男女、ファミリーで楽しめるサーマルスプリングに一新、最新のバレルサウナも新たに設置しました。そのほか、美しい岩風呂で楽しむ露天風呂付きの客室も増設されたほか、名作漫画を取り揃えた漫画ラウンジも開設!
暖炉の温もりと共にフリーフローで飲み物を楽しめるバーや、アナログレコードを静かに堪能できる読書室など、歴史ある建物の趣を残しつつ、幅広い世代がくつろげる宿として、アップデートし続ける「おちあいろう」。
滞在中は、温泉やサウナでととのいつつ、建築美をじっくり味わい、伊豆の旬の味覚を堪能。4000坪という広大な敷地内の庭園を散策したり、美しい吊り橋から川を眺めたり。思い思いにときを過ごすことができるはず。なにより、朝、昼、夜と刻々と変化する川のせせらぎは最高のBGM! 1泊2日ではもったいない。訪れるなら連泊がおすすめです。
【おすすめの過ごし方】
有形文化財を巡るツアー(無料)はぜひ参加して。建築好きにはたまりません。
DATA
- 伊豆・天城「おちあいろう」
- 一棟貸し離れ「石楠花」¥300,000~(最大12名まで/12名利用の場合はひとり¥100,000)、
「常夏」¥96,000~(共に1泊2食付き、2名利用時1名料金/税・サービス料・入湯税込) - TEL:0558-85-0014
- 住所:静岡県伊豆市湯ケ島1887-1
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- PHOTO :
- 長谷川 潤
- EDIT :
- 田中美保、奥山碧子・佐藤友貴絵(Precious)

















