職場では毎日、上司・部下・同僚・取引先等、さまざまな人とすれ違う機会があります。また、職場以外でも公道や駅、公共施設など無数の人々が行き交う場で、あなたはどのように振る舞っているでしょうか?

すれ違いざまの何気ない挙動で、日ごろお世話になっている人によくない印象を与え続けているとしたら非常に残念ですよね。また、見知らぬ人との間では、自分が知らずにやっているマナー違反で思わぬトラブルを招くおそれがあるかもしれません!

そこで、今回はマナー講師の金森たかこさんから、人前でやりがちだけど実はNGなすれ違いマナーについてお話をうかがいました。

職場でやるとひんしゅくを買う「NGすれ違いマナー」5選

まずオフィス内で人とすれ違う際は、下記のNGマナーに注意しましょう。

■1:廊下の真ん中を堂々と歩く

オフィスでの廊下の歩き方は?

職場で人とすれ違う場所といえば、まずは廊下ですが、人がいない状況でも真ん中を堂々と歩くのはやめましょう。廊下の中央は、お客様が歩く上座。人が来てから譲るのではなく、いつでも他者に譲る精神を示すべく端を歩くようにしましょう。

そして、前から人が来たら必ず自分から挨拶すること。基本的には立ち止まって相手に体を向けて挨拶するのがマナーですが、お客様の案内中などは会釈するだけでOKです。

■2:廊下や階段で走って人を追い越す

多くの案件を抱えるキャリアウーマンは、社内を駆け回って業務をこなさなければなければならないこともあるでしょう。しかし、どんなに急いでいる状況でも、廊下や階段を走るのは危険ですし、「何事か」と周囲の人に余計な心配をかけるおそれもあります。はやる気持ちを抑えて早歩きにとどめましょう。また、やむを得ず、人を追い越す際は、「失礼します」とひと声かけることもお忘れなく。

■3:階段で目上の人よりも高い位置からあいさつする

階段でのあいさつマナー

階段でも人とすれ違う際は、もちろんあいさつするのがマナーですが、自分が下り、目上の人が上りのタイミングでは注意が必要です。

上司の姿が見えた瞬間、条件反射的にあいさつしたくなる気持ちは理解できますが、目上の人を見下ろすかっこうでお辞儀をするのは失礼にあたるおそれがあります。気づいた時点では軽い会釈にとどめ、相手に通路を譲りつつ、同じ段に並んだときにしっかりあいさつするようにしましょう。

■4:エレベーターをドアの前で待つ

降りる人・乗る人のすれ違いが発生するエレベーターにて、押さえておくべき大原則は「降りる人が先」。降りる人を優先させるべきなので、エレベーターを待つ際に、ドアの真ん前に立つのはNGです。ドアの前は空けて、脇で待つようにしましょう。

■5:エレベーター内に誰もいないのにお客様を先に乗せてしまう

エレベーターでのすれ違いでも要注意

エレベーターのもうひとつの原則は「お客様が優先」。つまり、乗る際にはドアを押さえながら「お先にどうぞ」と声をかけ、お客様に先に入っていただき、降りる際は開ボタンを押しつつドアを押さえて先に降りていただく。きっと「これくらいは常識」とわきまえている人が多いことでしょう。

ただ、このルールには例外があり、エレベーター内が無人の場合は、お客様を先に乗せるのはマナー違反にあたります。中に誰もいないときは、安全を確認するという意味で、案内人が先に乗り込まなければいけません。この場合は、「お先に失礼します」と断ったうえで先に入り、開ボタンを押しながらドアを押さえてお客様を迎え入れましょう。

職場や公道・施設などで「NGなすれ違いマナー」4選

公共の場でのマナーは数多くあります。そのなかでもすれ違いに関しては、下記4つのNGマナーに注意しましょう。

■6:混雑した場所で音楽を聴きながら通行する

雑踏での通行は細心の注意を

お店や駅などの雑踏においては、歩行者同士がぶつかったり、足を踏んだりなど、すれ違いざまのトラブルがとかく起こりがちです。

そうしたトラブルを回避するためにもっとも重要なのは、五感を働かせて周囲の状況をよくよくチェックすること。視覚が奪われる歩きスマホの危険性はたびたび指摘されますが、音楽を聴きながらの通行も五感のうちの聴覚が遮られ、大変危険です。

公共の場でのいざこざ防止、また危険回避のためにも雑踏での歩きスマホ、音楽を聴きながらの通行は控えましょう。

■7:雨の日に傘を傾けずに人とすれ違う

雨の日のすれ違いマナー

これからの季節に特に気をつけたいすれ違いマナーとして、傘の使用時に関するものが挙げられます。狭い道で、正面から人がやってくるのに、傘をまっすぐさしたまま突っ切るのはNG。相手に傘をぶつけたり、傘のしずくをかけてしまったりするおそれがあります。

傘をさしながら人とすれ違う際は、相手に傘をぶつけないよう相手と反対側に傘を傾けるようにしましょう。また、閉じた傘を手に持っている場合は、向かってくる相手と反対側に携えるようにするとスマートです。

■8:自動車に道を譲ってもらった際に会釈をしない

道路交通法によれば、横断歩道の通行においては車両よりも歩行者が優先。また、ショッピングモールの駐車場など、人と車が行き交う場所では、横断歩道以外でも、基本的に歩行者は車両から道を譲ってもらうことが多いでしょう。

その際、「歩行者だから当然」とばかりに知らん顔して通り過ぎるのはマナー違反。マナーとは相手に立場に立って考え行動すること。そして、その場をスムーズに進めるためにあるものです。道を譲られた方、譲った方、双方が良かったと思えるよう、車に止まってもらったら、ドライバーに向かって軽く会釈してから道を渡るようにしましょう。

■9:ランニングで歩行者を猛スピードで追い越す

歩行者を急に追い越さない

健康意識の高まりでランニングがブームになっていますが、ランナーにも守るべきマナーがあります。

ランナーズハイ状態でうっかりやりがちなマナー違反は、歩行者を猛スピードで追い越してしまうこと。ランナー側は爽快なのかもしれませんが、歩行者の立場からすれば、自分の脇をいきなり疾風のごとく駆け抜けられると非常にこわい思いをします。歩行者を追い抜く際は、真横を通らずなるべく間隔を空けること。道幅が狭く、距離をおけない場合はスピードを落として追い越すようにしましょう。

上記のすべての共通項は、「自分本位にならず常に相手や他者を配慮する」ということ。今回ご紹介した以外にも、人とすれ違うシチュエーションは無数にありますが、他者への配慮、気遣いというマナーの原則に立ち返れば、どんな状況でもきっと適切に振る舞えることでしょう。

金森たかこさん
マナー講師、話し方マナーコミュニケーション講師
(かなもり たかこ)一般社団法人マナー教育推進協会代表理事副会長。ウイズ株式会社社長。officeT代表。大阪府出身、京都市在住。大手食品メーカー人事部にて人材育成・秘書業務などに携わった後、フリーアナウンサーとして独立。その後、マナーコンサルタント西出ひろ子氏に師事し、ビジネスマナー講師として、企業、行政機関、教育機関、病院・歯科医院などの医療機関にて、講演・研修・コンサルティングを行う。著書に『入社1年目ビジネスマナーの教科書』『入社1年目 人前であがらずに話す教科書』(2冊とも西出ひろ子監修)がある。
ウイズ株式会社
この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美