虚構が真実に変わる瞬間がある――
「これは、相当キツい闘いになりそうだ」
竹内さんにとって5年ぶりとなるミュージカル『奇跡を呼ぶ男』の稽古が始まってすぐ、こう本音を漏らした。
「半年前から、ドラマの撮影と並行してボイストレーニングを始め、同時に内面的な理解を深めてきました。でも、どれだけやってもまだまだ、なんです。膨大なセリフに複雑なメロディ…とても時間が足りません。だからこそ、舞台ではテクニックだけではなく、仲間と対話を重ね、信じ合って、愛情を注ぐことが大事になる。それができたとき、魂がひとつになって、まさかと思う“奇跡”が起こったりするんです。演じるほうも観るほうも、虚構であるはずの物語が、まるで真実であるかのような錯覚に陥る。そのために、本気でぶつかり、本気で信じさせに行く。さて、今回はどんな奇跡が起こるのか…」
ミュージカルの稽古前にも竹内さんはある“奇跡”を体験していた。それは、『10DANCE』(Netflix映画)でのこと。
「映画の終盤、ブラックプール(イギリス)でのダンス大会の撮影で。前日の練習まで一度も完璧にできなかったのに、本番で初めてできたんです。集中し愛情を注げば、本当にそういうことが起こるんだなと」
そこに至るまでの失敗の数々は、恐れる対象ではない。むしろ、“失敗を迎えに行く”のが、竹内さんのやり方だ。
「失敗を乗り越えるには、まずは恥ずかしい思いを取っ払って、全力でぶつかる。ひとつ乗り越えたら、きっと、もっと強くなれるはず。その変化を感じながら稽古をするのは、いちばん幸せな時間です」
トレーニングはリラックス法でありデトックスでもある
作品に合わせて肉体をつくり上げるのも、竹内さんならではのやり方。そのためにも、ベースとなるコンディションは常に整えておくという。
「ジムでトレーニングをするのは、ごはんを食べるのと同じようなもの。リラックス法でありデトックスでもあり、そしてエネルギーチャージです。オフの日も撮影中も、続けている唯一のルーティンかもしれません。どんなに体が疲れていると思っても、実は頭のほうが疲労しているだけ、ということもよくあります。だから、そんな状態の頭を整えるためにも、体を動かすんです」

つくり上げた肉体は、ひとつの表現ツールとなって、舞台で大きく躍動する。それに対する感想は、シンプルに“おもしろかった”がいちばんうれしいのだと言う。
「あえてキツいことに挑み、もがき続ける。観る人をおもしろがらせ、飽きさせないためには、それを続けるしかありません。これが、僕の理想とする年の重ね方です。失敗する怖さと向き合い、自分と対話を重ねて、何が欲しいのか、どうしたいのか、自分に素直になって選択します。これもひとつのトレーニング。それでも迷ったら、“楽しい”ほうを選ぶんですよ。そうすれば後悔もないはずです」
自ら切り拓く力が、舞台の上だけでなく人生にも奇跡をもたらす――そう信じている竹内さんに怖いものはない…のではなく、怖さを知っているからこそ挑戦に夢中になる。その過程を竹内さんは「自分の新しい一面を探す旅」と表現して締め括った。
■ミュージカル『奇跡を呼ぶ男』東京ほか、大阪・福岡・愛知で公演!
【東京公演】 2026年4月4日(土)~24日(金) /会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
※追加公演 ・2026年4月23日(木) 18:00回
【大阪公演】 2026年5月1日(金)~3日(日・祝) /会場:フェニーチェ堺 大ホール
【福岡公演】 2026年5月8日(金)~10日(日)/会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【愛知公演】 2026年5月15日(金)~17日(日) /会場:名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- PHOTO :
- 黒沼 諭(aosora)
- STYLIST :
- 徳永貴士
- HAIR MAKE :
- 吉村 健
- WRITING :
- 南ゆかり
- EDIT :
- 福本絵里香(Precious)

















