食事の作法といえば、まずお箸や食器の使い方を思い浮かべますよね。しかし、割り箸を入れていた「箸袋」にも、マナーがあるのをご存知でしょうか? 同じく、おしぼりやストローの袋の扱いにも、その人の品性はしっかり現れます。

割り箸もおしぼりもストローも、どちらかといえばカジュアルなお店で提供されるものですが、これらの袋をずさんに扱っては、お店の雰囲気に関係なく、一緒に食事をしている人から「この人って結構、粗雑なのね……」という印象を持たれかねません。洗練された大人の女性たるもの、いつ何時でもエレガントに振る舞いたいものですよね。

そこで今回はマナー講師の瀬尾姫民さんから、箸袋、おしぼり袋、ストロー袋の正しいマナーについて教わりました。

「箸袋・おしぼり袋・ストロー袋」が手元にあるときのマナー5選

■1:箸袋で「凝った箸置き」はつくらない

箸置きがなければ、箸袋でつくればいいけれど……
箸置きがなければ、箸袋でつくればいいけれど……

お店で「提供されたお箸が割り箸で、箸置きがない」場合、箸袋を折って代用すればよいというのは、よく知られていますよね。あなたはどのように折っているでしょうか?

ネット上でも箸袋の折り方はさまざまな方法が紹介されていますが、かわいい箸置きをつくろうと躍起になって、あまり凝りすぎるのは考えもの。箸置きの代用を、手でベタベタ触るのは衛生的ではありません。箸袋で箸置きをつくる場合は、「山折り」や「千代結び」など、シンプルなものにしましょう。

■2:「食後は箸を箸袋におさめる」などして、箸先の汚れを隠す

食事が終わったら、汚れた箸先を見せないようにするのがマナーです。箸先の汚れを隠すのに、箸袋を活用しましょう。

(1)箸袋を折っていない場合

箸袋で箸置きをつくっていない場合、箸袋の端(閉じのほう)を折ってから、箸を箸袋に収めます。箸袋の箸を折るのは、箸が使用済みであることや、「ごちそうさま」の意をお店の人に伝えるという配慮からです。

(2)箸袋を「山折り」にした場合

箸置きの代用として山折りにした箸袋は、まず元の状態に戻します。そのうえで、(1)と同様に箸袋の端を折ってから、箸を箸袋に入れましょう。

(3)箸袋を「千代結び」にした場合

千代結びにした箸袋は、山折りとは異なり、元の状態に戻しません。結び目の部分に箸先を入れて、汚れを隠しましょう。

■3:おしぼり袋は「おしぼりを上に載せて」テーブル隅に置く

おしぼりは袋の上に置きましょう(つまりこの写真は逆、NGです)
おしぼりは袋の上に置きましょう(つまりこの写真は逆、NGです)

レストランや喫茶店でおしぼりが提供された場合、開封後の袋が食事中に邪魔に感じられることって、非常に多々ありますよね。おしぼり袋はどのように扱うのがよいのでしょうか?

「おしぼり袋はテーブルの隅のほうに置くと、食事の邪魔になりにくいでしょう。また、使用済みのおしぼりは紙製でも布製でも袋に戻さず、”袋の上”に置いておきます」(瀬尾さん)

おしぼりは適当に放置しない。使い終わったら袋の上に置けば、袋がテーブルから落ちるのも防げますね。

■4:おしぼり袋などのゴミは「一箇所にまとめる」

以前、Twitter上で「飲食店の人がゴミ処理しやすいように、おしぼり袋の中に紙ナプキンやストローの袋などを詰めて口を縛る」という投稿が話題になりました。このように、おしぼり袋をゴミ袋がわりにするのは正しいマナーなのでしょうか?

「ゴミをひとまとめにするという配慮はよいのですが、ただ、地域によってはゴミ出しのルールでビニールと紙を分別する必要もありますので、おしぼり袋の中に紙のゴミを詰めるのは、やりすぎだと思います。お店の人への心配りということであれば、ゴミをテーブルの隅の一箇所にまとめておくだけで十分でしょう」(瀬尾さん)

親切のつもりの行為が、かえってお店に迷惑になるおそれもあるのですね。また、おしぼり袋などのゴミをお皿の上や中に置いたり、コップの中に入れたりするのもマナー違反! 食器はあくまで食事をするためのもので、ゴミ箱ではありません。

■5:ストロー袋は「折るか結ぶか」して小さくまとめる

ストロー袋の処理は大丈夫?
ストロー袋の処理は大丈夫?

見落としがちですが、ストロー袋はどのように扱うのがエレガントなのでしょうか?

「ストローを取り出した後の袋を、無造作にテーブルに投げ出しておくのは、あまり上品なふるまいとはいえませんよね。二つ折りや四つ折り、あるいは千代結びするなど小さくたたんで、おしぼり袋と同様、テーブルの隅に置いておきましょう」(瀬尾さん)

ストローを取り出した後のさりげない所作によって、印象がかなり異なりますね。また、ゴミをテーブル上に散らかさず、一箇所にまとめておくという心遣いも、ぜひ押さえておきましょう。

箸やナイフやフォークの使い方ももちろん大切ですが、箸袋、おしぼり袋、ストロー袋といったミニマムなアイテムも優雅に扱いたいですよね。細部にまで心を配って、ワンランク上のマナー美人を目指しましょう。

瀬尾姫民さん
マナー講師
(せお ひさみ)Seo Total Academy代表。一般社団法人日本プロトコール&マナーズ協会認定サロン。1993年イメージコンサルタント資格を取得。2005年Seo Total Academyを設立。カラー、ファッション、ブライダル、プロトコール&マナーの分野において個人及び企業向けコンサルティング、セミナー、研修、育成を行う。ホテルナゴヤキャッスル主催キャッスルアカデミー「トータルビューティーレッスン」や主催するエレガントマナー講座、和の作法&テーブルマナーレッスンも毎回キャンセル待ちと好評。ブライダルやデパートイベントのプロデュース、TV出演、人気女性誌での掲載など多分野で活躍する美のスペシャリスト。『なごやの冠婚葬祭』監修。著書に『お食事から身につける美しい日常』がある。Seo Total Academy
この記事の執筆者
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WRITING :
中田綾美
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