【目次】
- 「うま味調味料の日」とは? 意味・いつなのかを解説
- うま味調味料とは? 原料や成分、うま味との違いを解説
- 「うま味」は5つ目の基本味|発見の歴史と池田菊苗博士
- うま味調味料は体に悪い? 安全性や誤解されやすいポイント
- うま味調味料とだし・天然うま味の違いとは?
- 「うま味調味料の日」に知っておきたい豆知識
【「うま味調味料の日」とは? 意味・いつなのかを解説】
■7月25日は「うま味調味料の日」
1908(明治41)年7月25日、東京帝国大学(現在の東京大学)の池田菊苗博士が、昆布だしのうま味成分であるグルタミン酸を主成分とした「調味料の製造法」の特許を取得したことに由来するのが、7月25日の「うま味調味料の日」です。「滋養のある粗食をおいしくすることで栄養補給に貢献したい」との強い志から、昆布だしのうま味成分の研究を進め、グルタミン酸が「うま味」の本体であることを突き止め、使いやすい調味料にすることに成功した記念日なのです。
■うま味調味料は日本が誇る発明品!
「グルタミン酸塩を主成分とする調味料製造法」が特許化された翌年、調味料として商品化・発売され、現在に至ります。池田博士はこの功績によって「日本の十大発明家」に選ばれ、その商品化は、明治時代において、画期的な産学連携の成功例と捉えられているのだとか。さらに、最近の研究によって「うま味」には基本味のひとつとしての生理学的な意義があることが明らかになり、池田博士の熱い想いは科学的にも証明されつつあります。
■「うま味」は5つ目の「基本味」
池田博士は「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」のいずれにも当てはまらない昆布だしの味に着目し、その主要成分がグルタミン酸塩であることを解明。この味を「うま味」と名付けました。この発明は、のちの「味の素」などのうま味調味料誕生につながり、現在、うま味は5つの基本味のひとつとして世界的に認められています。
■記念日制定の背景
「うま味調味料」と「化学合成品(化学調味料)」が混同され、うま味調味料は長らく誤解を受けてきました。日本うま味調味料協会は、うま味調味料を正しく理解してもらいたいとの思いから、博士の特許取得の日にちなんで7月25日を「うま味調味料の日」としたというわけです。この記念日には、池田博士の偉業と日本の「うま味文化」をたたえる意味が込められているのです。
【うま味調味料とは? 原料や成分、うま味との違いを解説】
■「うま味調味料」とは?
昆布、かつお節、シイタケなどがもつ「うま味成分」を、デンプンを原料とした発酵法や、酵母を用いた方法でつくった調味料のこと。代表的なうま味成分には、昆布などに多く含まれるグルタミン酸、かつお節や肉、魚などに含まれるイノシン酸、干ししいたけなどに含まれるグアニル酸があります。
これらのうま味成分を混ぜたものもあり、特にグルタミン酸とイノシン酸を合わせるとうま味が強くなるといわれています。昆布とかつお節による合わせだしがおいしいと感じやすいのは、単体よりうま味が強くなるからなのですね。
■「うま味調味料」と「うま味」の違い
「うま味調味料」と「うま味」は混同されやすいのですが、「うま味調味料」は食品(製品)、「うま味」は味覚です。
【「うま味」は5つ目の基本味|発見の歴史と池田菊苗博士】
■「うま味」の元は昆布だし!
日本では古くから料理に昆布だしが使われてきました。科学的根拠ではなく、昆布に含まれる成分においしさの元があると経験的に知っていたのですね。これに注目した池田菊苗博士は、昆布だしの味の正体を明らかにする研究を開始。1908年に、昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功しました。グルタミン酸塩が昆布だしの主要なうま味成分であることを突き止め、その味を「うま味」と名づけました。5つ目の基本味の元は、昆布だしのグルタミン酸というわけです。
■「UMAMI」は世界共通語に
グルタミン酸に続き、かつお節に含まれるイノシン酸、干ししいたけに含まれるグアニル酸もうま味をもつことが解明されました。これらの研究成果は国際的な場でも取り上げられ、1985年に開催された第1回うま味国際シンポジウムなどを通じて、うま味に関する研究は国際的に広がりました。現在では、日本語に由来する「UMAMI」が、英語をはじめ世界各国で基本味を表す言葉として使われています。
【うま味調味料は体に悪い? 安全性や誤解されやすいポイント】
■「化学調味料」という名称が生んだ不信感
「化学調味料無添加」や「添加物不使用」という商品を選ぶことはありませんか? 「化学」や「添加物」に、ネガティブな印象をもつ人がいるのは、それらに石油や化学薬品から合成された危険なものというイメージを持たれていたから。
しかし、現在、グルタミン酸ナトリウムの多くは、サトウキビなどから得られる糖質を原料に、微生物のはたらきを利用した発酵法で製造されています。また、食品添加物の安全性は「天然か化学合成か」という区分ではなく、物質ごとの科学的な評価と使用基準に基づいて判断されます。
■「化学調味料」は現在の食品表示基準にない名称
「うま味調味料」と「化学調味料」を混同し、「うま味調味料は体に悪い」という間違ったイメージがついてしまったようです。「化学調味料」は、かつてJAS規格で使われていた名称ですが、1989年に削除され、現在の食品表示基準には規定されていません。消費者庁は、「化学」「天然」「人工」などの言葉を食品添加物の不使用表示と組み合わせると、実際より安全性や品質が優れているとの誤認を招くおそれがあるとしています。
現在は一般に「うま味調味料」と呼ばれ、加工食品の原材料表示では「調味料(アミノ酸)」や「調味料(核酸)」などと表示されます。
■「うま味」と「おいしさ」も混同しがち
日本うま味調味料協会によると、「おいしさ」という言葉と「うま味」は混同して使われることがあるのだそう。両者は大きく異なる言葉です。
「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」とともに「うま味」は「基本味」のひとつでしたね。基本味とは、他の味を混ぜ合わせてもつくることのできない独立した味のことをさします。一方、味そのもの(味覚)だけでなく、料理の見た目(視覚)や、香り(嗅覚)、食感(触覚)、噛んだときの音(聴覚)、食事の雰囲気や環境など、「おいしさ」は五感を総動員して感じるものなのです。
■うま味調味料の安全性
現代のうま味調味料は、サトウキビなどを発酵させてつくられているため、昆布やトマトに含まれるグルタミン酸ナトリウムに含まれるグルタミン酸と同じ成分です。WHO(世界保健機関)やFAO(国連食糧農業機関)などの専門機関で安全性が評価されています。もっとも、どの食品や調味料についても、必要以上に偏って摂取するのではなく、適量を用いることが基本です。
【うま味調味料とだし・天然うま味の違いとは?】
混同しがちな「うま味」界隈。ここで整理しておきましょう。
■うま味
「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」に次ぐ5番目に発見された「基本味」。多くの食物に含まれています。「うま味を基本味と考えるのは日本だけ」「うま味を感じるのは日本人だけ」というのは誤りで、アメリカ心理学会APA Dictionary of Psychologyにも記載されるほど。うま味は基本味のひとつとして世界的に認識されています。
■うま味調味料
うま味をもつ成分、あるいはこれに近いものを、単独、あるいは2~3種混合したもの。料理にうま味をつけるための調味料を言います。
■だし
だしとは、昆布やかつお節、煮干し、干ししいたけなどの食材から、うま味成分や香り、その他の呈味成分を水に抽出したものです。食材によって含有するうま味は異なりますが、多くはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸のいずれか、または併有します。日本のだしの材料の代表的なものは、かつお節と昆布。関東ではかつお節のだしを主として昆布を従として用いることが多く、関西は昆布が主、かつお節が従とするのが一般的です。ただし、だしの取り方や配合は、地域や料理、家庭によって異なります。
■天然うま味
天然の食材(昆布、かつお節、野菜、肉など)の中にもともと含まれている、自然な状態の「うま味成分」のこと。科学的には、抽出された分子そのものは天然のうまみも精製されたうま味調味料と同じですが、「食材そのものの風味や、複数の成分が合わさった奥行きのある味」を指す言葉として使われるようです。
【「うま味調味料の日」に知っておきたい豆知識】
■各国のうま味の食材
うま味は日本で発見されたものですが、世界各地でその土地の食材や調理法、料理によってさまざまなうま味が用いられています。アジアでは豆や穀類、魚介類を原料にした発酵食品やしいたけ、昆布、魚介類の乾物などのうま味が主流。ヨーロッパでは同じ発酵食品でも生乳や肉を原料としたチーズや生ハムなどが。最近話題になることが多いのが、イタリアで古くから利用されてきたトマトのうま味。さまざまな形で料理に使われていますね。
■アジアの発酵調味料
タイのナンプラーやベトナムのニョクマム、日本でいえば「いしる」や「いしり」などの魚醤類、そして味噌や醤油に代表される穀醤類は、アジアの国々で古くから愛用されてきました。
これらは発酵調味料で、魚や豆類、穀物などの原料を塩漬け、発酵させたもの。発酵の過程で原料中のタンパク質がアミノ酸に分解されることで、うま味物質であるグルタミン酸を豊富に含んだ調味料ができ上がります。特にアジアの水田稲作地帯では、これらはうま味と塩味を加える調味料として毎日の食事に欠かすことができません。
■「トマトだし」は世界に浸透
南米原産のトマトがヨーロッパに持ち込まれたのは、コロンブスの新大陸発見によるものとか。なんと最初は薬用として使われていたんですよ。イタリアで品種改良が行われ、食用として用いられるようになりました。イギリスではトマトを始め沢山の野菜を原料にウスターソースがつくられ、やがてトマトソースやペーストとともにアメリカ大陸に渡り、それがケチャップやチリソースの誕生に繋がったとされています。今では、トマトは世界で最も生産量の多い野菜のひとつとか。トマトのうま味は洋の東西を問わず、世界各地で愛用されているのです。
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うま味調味料は、日本のだし文化と科学の探究から生まれ、今では世界の食卓にも広がっている発明です。うま味とはどのような味なのか、うま味調味料はどのようにつくられ、安全性はどう評価されているのか。7月25日の「うま味調味料の日」を機に、身近でありながら意外と知らない“うま味”の知識を、正しく整理しておきたいですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/日本うま味調味料協会( https://www.umamikyo.gr.jp/ ) :

















